Shooting To Lover

作詞 椎名恵 作曲 渡辺博也 編曲 渡辺博也
解説 椎名恵さんファーストアルバム『MISS YOU』の3曲目に収録されている。一夜限りの、それでも熱い恋のターゲットとした相手を「Shooting」するスナイパーの如く狙う様を描いた一曲である。
 ダンエモンが注目する歌詞は二つ。一つは「凍りつくような衝撃」である。直前の歌詞から「はじめてみかけた時の」という歌詞から一目惚れの「衝撃」を書いた歌詞と思われるのだが、概してそういった「衝撃」は炎の如き熱さか、雷撃の如き強さが用いられるのを、相手の「Coolなまなざし」を重んじて「凍りつくような」としているのは興味深かった。
 もう一つは殆どバックコーラスに含まれそうな「slave」という動詞であり、名詞である。名詞的には当然「奴隷」で、動詞では「(奴隷の様に)あくせく働く」で、「隷属」と取れなくもない。
 しかも主人公は「I slave to you night」=「今夜あなたに隷属する」とか、「You shoot me like a slave I shoot you like a slave」=「あなたは私を奴隷の様に撃つ 私はあなたを奴隷の様に撃つ」とどこか危ない表現をしている。
 勿論近代社会において「奴隷」そのものが非人道的システムとして避難される上に、よほど野蛮な時代に遡らねば奴隷だって「shoot」するような真似は只では済まなかったのである。となると敢えて「slave」と出てくるのは……下品だがダンエモンにはSMプレイしか思い浮かばない……。
 では何故一歩間違えれば危ない表現が物の例えとはいえ敢えて用いられるのか?それはこの恋がそれこそスナイパーやハンターが獲物を「Shoot」する時の様な刹那的な物だからではないだろうか?
 「やがて夜は動き出し 浮かれすぎた星さえも 朝が来るまでは ずっと飾り続ける」とあるようにそんな一夜限りの刹那的な物だから互いに隷属さえしてしまう様な激しさが前面に出てくるのとダンエモンは見ている。
 正直ダンエモンは恋愛には誠実さとまじめさを望んでいる(こう見えても)。故に本来一夜限りの恋とは好きなものではない。だが、長い、永続的なものを求めるからこそ、要所要所の一瞬を軽視しない為にもこの歌をもっと拝聴して、思考の糧としたい。


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