shyなboy

作詞 椎名恵 作曲 渡辺博也 編曲 渡辺博也
解説 椎名恵さんファーストアルバム『MISS YOU』の1曲目に収録されている。記念すべきファーストアルバムの第一曲目の貫禄か、それから11年の時を経て改めて18thシングルとしてリリースされ、15thアルバム『S』でも再びトップにエントリーされた。
 初期の椎名さんはデビューしたてとしては年を取っている(失礼!)しかしながらアーティストとしてはまだまだ若年という始まり方をしたためか、当時の写真を見ていてもかなり目つきも全身から発散させるオーラもぎらぎらしたものがある。
 しかしながら椎名ソングは初期から強がっているようで決して心の奥にある寂しさを隠してはいない。しっかりとそれらと向き合って、意志と繊維をみなぎらせて歌うから椎名ソングは大地に根を張るが如き強さに溢れているのだろう。強がることと強いのは似て非なるものである。
 いつになく前置きが長くなったが、この「shyなboy」にはそんな椎名ソングの醍醐味が内包されている事を述べたかったのである。
 タイトルじゃないが、人間は老若男女問わず、程度の差こそあれ、皆「shy」=恥かしがり屋である。「いーや、そんなことはない!あいつは恥の概念の存在しない奴だ!」と言いたくなる人間が誰しも知人の中に一人や二人はいるだろうが、それは言ってみれば「何を恥と感じるか?」の問題に論点の相違が見られるだけで、そういう意味でも全く「shy」の存在しない人間はいない。
 この曲でも主人公は「遊び上手なふりはやめて」とか「私だって孤独なDancing Lady」といった歌詞をメインに、強がって素直になれない「Boy」に主人公が自分もまた「孤独」である事をカミングアウトし、全てを忘れて共に踊り明かすようにありのままの自分で動き回りたい気持ちを歌詞全体で表している。
 ダンエモンは相変わらずの年上好みなので、「さあおいでShyなBoy」「走って来てよ」「今夜は涙ひとつぐらい 受け止めてあげる」といった相手のお姉さんぶった台詞に妙な快感を覚えてしまう(笑)。
 人間社会に生きる上で義務と責任、モラル、エチケットは大事だが、かと言って心の内面にまである「何もかも忘れて」という衝動を無視する必要はないと思う。
 人や社会に迷惑をかける行為を慎めば良いのであって、それさえ守って素直な心で生きれば「みつめる瞳の奥は 済んだまま」で生きられると思う。「Take your heart heart この街では ひとりじゃいられない Take your heart heart 寂しいのはあなただけじゃない」−そしてそれゆえに欺瞞と虚飾を脱ぎ捨てた素直になれる場、素直になれる相手は極めて重要である。
 そんな場を持てれば恐らく富貴は幸せを図る尺度としてさしたるものではなくなるだろう。時には本当の意味で「shy」で居なくて良くなる場を考察したいものである。


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