sigh of Love

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 高山和芽、西垣哲二&岡本真夜

解説 真夜さんの9thアルバム『seasons』の4曲目に収録。どこかなレトロな曲調が時代を超えて片想いの切なさを教えてくれるようである。
 最初にこの曲を聴いた時、「よくある、告白できないでいる片想いの曲」と捉えていたが、最後の最後の歌詞である「私じゃないのなら どうして キスしたの…?」の歌詞を聴いた瞬間に、「SECRET LOVE」を思い出し、「あなた」に対して、思った…


 「喧嘩売ってんのか、貴様?!」

と。

 背景を見るに、「なんとなく会って またねと手を振って いつまでこの繰り返し 重ならない想い」の歌詞から主人公と「あなた」は極日常的に顔を合わす関係にあることが推察される。

 実の所、「あなた」に特定の恋人がいるのかどうかは詳らかではないが、「あなたは誰を思ってる? 私じゃないのかな…」「連絡するのは いつも私から ずっとずっと 待ってるのよ すぐ来ない返信」等の主人公の自信無さ気な歌詞から「あなた」が主人公を第一に想っていないことは明らかだ。
 恋とは、叶わないからこそ囚われるのが世の常で、「追いかけて 追いかけて」「好きだよ 大好きよ」の歌詞に続けて、「答えのない恋ですか?」「叶えられない恋ですか?」といったネガティブな問い掛けをせずに居られない一人問答にもその切なさは色濃く現れている。

 そんな主人公の抑え難い想いに対して、深い愛情を抱いている訳でもなく、主人公の想いに応えた風でも無しに(恐らくは)刹那的に為されたような「キス」という行為に対して、ダンエモンは「喧嘩売ってんのか、貴様?!」と怒鳴りつけずにはいられない。
 主人公は「あなた」に弄ばれたとすら取れるのだが、主人公は「あなた」の心が得られていないことを思い悩んでいるものの、「あなた」への想いは募りこそすれ、些かも衰えてはいないのだ。全く、道場主が同じことをやったらよくてセクハラ、悪けりゃ強制猥褻で告訴…………ううわああああああぁぁぁぁぁぁああああっっ!!!(←道場主のハイジャック・バック・ブリーカーを食らっている)
 痛テテテテテテ……。まあいずれにしても主人公には明確な「愛」がありながら、「あなた」には「愛」が見られない。まさしく、「一雫」「ため息」の如く、儚い喜びに身を委ね、次はいつ会えるか、いつ来るか分らない切なさに耐えなくてはならない主人公の心中、察して余りあるものがある。
 同じ男として、いくら相手が喜んでくれても、心籠らない故に相手を苦しめる接触なら行ってはなるまい、と自戒する次第である……何?心配無用?誰も求めやしない?やかましいっ!!

 余談だが、タイトルにある「sigh」「ため息」という英単語を道場主はかつて「パタリロ!」という漫画で知った。
 その時のサブタイトルが「ピンクのサイ」で、最初はピンク色の犀でも出て来るのかと思われたが、ピンクという名前の女の子こそ登場するものの犀は出て来ず、話の最後で担当者が作者にタイトルの真意を問うていた。
 作者の魔夜峰夫氏は、ピンクが、幼馴染の少年・ブルーがチンピラ仲間と縁を切ったことに安堵のため息をついたシーンを指し、「ピンクちゃんがため息をついたでしょ?英語で「ため息」は「サイ」だから「ピンクのサイ」」と解説し、担当者を呆れさせるシーンがあり、道場主の中で「sigh」という単語は妙な印象で残っていました。
 「だからどうした?」と言われても返答に困るだけなのですがね(苦笑)。


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平成二三(2011)年三月八日 最終更新