作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Yohey
解説 摩季ネェの15thアルバム『PHENIX』の10番目に収録されている。ファンとしては些か恥ずかしい話だが、どうも詩の意味が難解な曲である。
大意的には「ROCKs」ばりの「Stand up girls!」を呼び掛ける曲で、同アルバム収録の歌詞カードにも摩季ネェを含む三人の女性が寄り添う写真に「LIFE IS THE ONE TIME」(=人生は一度切り)と「CHANGE TIME WORLD」(世界を変えろ=)いう歌詞の一部が書かれた写真があり、女同士の友情・団結・奮起をアップテンポな歌詞で歌い上げられている(余談だが、この曲の英文字はすべて大文字で描かれている)。
以前にも書いたことがあるが、こういう摩季ソングを聴いた時は男に生まれたことを損した気分になる(苦笑)。
恐らく団結する3人の女性を「SISTER」に擬え、「肉食系」とする「長女」、「偏食系」とする「二女」、「天然草食系」とする「三女」とで異なる者達でも団結すれば大きなことを為せることを暗示している。
一般に「SISTER」と云えば、日本語に直せば「姉妹」だが、狭義には「修道女」を意味し、転じて同じ志を持った女同士を「SISTER」と称することも多い。まあ、男の世界でも同志を意味して「兄弟」と呼ぶのと似たものかな?
そして女という存在を強調するかのように、「SISTER」以外にも「DIVA」(=歌姫)、「アマゾネス⚔」(=女戦士)、「VENUS」(=美の女神)といった女性特有の名詞が歌詞中に現れ、絵文字にも「💄」、「🌹」、「💋」、「👠」と云った女性的なものが幾つも出て来る。
ただ、性別的な観点を別にして伝わるこの曲のコアもあり、それは「団結」と、「未来の変化」を重視している点である。
まず前者だが、「一人じゃ叶わない夢なら」、手分けして叶えるべしとし、それを為す為にも団結を重要として、「女同士のSOULはGROOVEし続ける 絆って、“切れたらただのロープ”ですから✋」とも呼び掛けている。
夢を叶えることは容易なことではない。容易に叶う事ならそもそもそれを夢見たりしないだろう。そして一人の力にはどんなに優れていても限界があり、逆に個々人の力が微弱でも固い意志の下に結集すれば容易に為しうることも珍しくなかったりする。
後者に関しては「生き方や暮らしを 今は変えられなくっても 目線が変われば 明日も未来も 世界さえも輝き出すから」の歌詞が注目される。夢を叶えることは容易ではないと論述したばかりだが、大きな力や強運や長い時間が無いと夢が叶わないとは限らないし、夢の達成に近付くステップには小さな一歩の積み重ねも多い。チョットした発想の転換で状況が大きく変わることもあり、正に「目線が変われば 明日も未来も 世界さえも輝き出すから」と云えよう。また、そうでなければ無能者、不運の持ち主、経済的弱者は常に夢を諦め続けなければならなくなる。
この辺りは「SISTER」を強調してはいても、セックスレス(性別無し)にこの曲を堪能・共感出来ると思う。
かつて、富士見ドラゴンブックの『ソード・ワールドRPGアドベンチャー』という小説の第5巻「ナイトブレイカーズ爆発!」にルミディアというメデューサが運命の壁を打ち砕ける人間はほんの僅かしかいないと云って、運命に対して個人が如何に無力であるかを説いたのに対し、主要メンバーの一人である女戦士レイハティア・アリアレートは、「たとえそうでも、一生壁を殴り続けたい。」と云っており、「運命に対して無力でも、それに反抗する意思を捨てる必要はない。」との勇気をもらったことがあったが、この曲の主人公にも同じ匂いを感じたものである。少し大袈裟かも知れないが(苦笑)。
摩季の間へ戻る 令和六(2024)年一一月六日 最終更新