song for you

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二

解説 岡本真夜さんの6thミニアルバム『Happy Days』の3曲目に収録。ダンエモンにとって、同アルバム収録曲の中では最も好きな曲である。
 『Happy Days』に収録されている曲はどちらかというと曲調的に大人しめの曲なので、アップテンポな曲調も心地いいこの「song for you」は個人的に特に存在感を感じる。

 タイトルに「song for you」とあるように、主人公は想い人である(とは限らないが)「あなた」を応援する一方で、逆境にある自らが決して諦めず、「明日」へ向かって今一度、何度でも挑み続ける決意を表明した曲である。

 冒頭の「一人で泣いてた 伝えたいこと言葉にできずに」を初め、「何度もくじけての繰り返し」「やめる勇気も 捨てる勇気もないなら」とあることから、主人公が失敗したり、悔しい思いをしたりしてきたのは1回や2回では効かず、現状にあっても下手に逃げることも出来ない状態にあるのだろう。
 そして「きっとね あなたもそう」とあることから、サビである「「大丈夫」 もう一度 信じるの もう一度 夢見るの」「目の前にあること 不器用でもひとつずつ 重ねて行けば」「あなた」にも、自分自身にも呼び掛けたものなのだろう。
 前者は直後に「私がいちばん 輝ける場所にいたい」という歌詞があるから、主人公自身への呼びかけに見えるが、「届けたい声 届けたい歌 届けたい人がいる ・・・あなたへ」と締められているから、やはり自分に呼び掛けつつ、その決意を「あなた」に伝えている……正に「song for you」であろう。

 少し恥を晒すとこの曲にはダンエモン自身の現状と照らし合わせて、思うところ、感じるところが多く、強かった。
 この解説を綴っている時点(令和6(2024)年4月19日現在)、ダンエモンは仕事上酷い状態にあった。詳細は語れないが様々なトラブルや対人関係の劣悪化を受けて入社9年目にして出世どころかいつ解雇されてもおかしくない状態にある。実際、周囲が「よく辞めないよな…。」と半ば呆れ、半ば感心しているのだが、単純に年齢的に再就職が厳しく、現職が入社6社目でそれこそ「やめる勇気も 捨てる勇気もないなら」無い状態である。
 一応、5月から別部署への異動が決定しており、幹部は環境変化による改善も期して下さっている。「私がいちばん 輝ける場所にいたい」と云えば大袈裟だが、一番の原因はダンエモンにあるとしつつも、現部署ではもはや改善が見込めないとの判断でもある。
 ここまでの体たらくとなれば、普通は解雇されるだろうし、実際に解雇された惨めな過去もある。それでも何とかしようとしてくれている、何とかするようアドバイスしてくれている上司には感謝しかないが、こうなると軽挙妄動的に逃げる訳にもいかないし、かと云ってうじうじと後ろ向きに落ち込んだり、不貞腐れたりしていても何も生まれない。どんな結果になろうとやれる限りやるしかないし、やる以上は前向きでありたい。歌詞から借りるなら「それでも消えない夢への思い 少しずつ前を見よう」の心境である。

 それ故に、「もう一度 信じるの もう一度 夢見るの 私がいちばん 輝ける場所にいたい あきらめない気持ち 持ち続ければきっと 笑顔に出会える」「いつか 叶えたい夢がある 見たい景色がある 滲んだ空でも いつか青く見える日が 負けたくない気持ち 持ち続ければきっと また笑えるから」の歌詞は身につまされつつ、何度も何度も脳裏と心にリフレインする。

 少し話が逸れるが、菜根道場の四つある房の中で、この楽曲房はここ数年すっかり更新を滞らせている。それというのも、敬愛するアーティストのCDを余り積極的に聴いていなかったという点がある。
 勿論真夜さんを初め、アーティストを及び楽曲への敬愛を失ったり、低減させたりした訳ではない。公私に渡って成功らしい成功もなく、惨めな思いを慰めて貰う感覚で楽曲を聴き耽る態度が真夜さん達に対して失礼に思えていたという想いが大きかった。
 だが、この「song for you」を聴いて少し認識が変わった。
 逆境や失敗や喪失や不調が簡単に解消されれば誰も苦労は要らない。努力がすぐに実るのであれば誰も努力を放棄しない。叶うのに時間が掛る、叶わないかも知れない夢でも追いかけたいから追いかけるという自分自身の想いと信念があってのことで、それゆえに未来を見据えないと何も始まらない。「この空の向こう 届けたい声 届けたい歌がある 明日へ」とある様に、まだ来ない「明日」だからこそ不安が拭えず確信も持ち難いかもしれないが、まだ来ない「明日」だからどんな現状にあっても希望を持ち続けることが出来る。
 この「song for you」に出逢って、甘えや慰めではなく、共感と決意をもって敬愛するアーティストの曲と改めて共に在れる様になれた気がした。ここは一つ、「you」の中にダンエモン自身も含まれれていると思い込みたいものである。

 令和6(2024)年4月19日現在、ダンエモンは真夜さんと2回握手したことがあるだけで、顔とダンエモンの名を覚えられている自信はない(大黒摩季さんと椎名恵さんには「覚えられている。」と自信を持って云えるのだ!)。だが、いつの日か、この曲に在る様な「笑顔に出会」う様に真夜さんと対面したいものである……否、対面して見せよう。


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令和六(2024)年四月一九日 最終更新