空色のドア

作詞 椎名恵 作曲 椎名恵
解説 椎名恵さんのセカンド・マキシシングル曲。実に六年ぶりのリリースで、ダンエモンにとってはライブ会場(渋谷Jz−Brat)で入手した3枚目のCDでもある。後にファースト・ミニアルバム『君よ、永遠にあれ』の3曲目にも収録。
 この曲は椎名さんが地元・北海道の雄大且つ明媚なる青空をイメージし、反映させた曲で、2005年6月30日の渋谷Jz−Bratでのライブで椎名さん自身がそう述懐した約10分後に、その日のライブの開演前にダンエモンが提出した、「北海道をイメージして作られた曲はどの曲ですか?」の質問が読み上げられ、バッドタイミングで無意味化した質問内容にこっ恥ずかしい思いをした(苦笑)。
 前説(?)はこれぐらいにして、歌詞の解説に入るが、まず挙げたい歌詞は「本当はちゃんと分かっている できる事はまだまだあると 誰かの力なんかじゃなく 痛みは自分で越えること」である。
 メグミズムが見事なまでに凝縮されている一節である。「がんばれ!」にも歌われているように結局は自分でやるしかないという事実とその意義−それは取りも直さずそれを望むのが自分自身であり、自力で為されなければならない事、為されて最も嬉しいのが自分自身であることに起因している。
 そしてそれと同等かそれ以上に大切なのが自分自身への偽りの不可能性で、「本当はちゃんと分かっている」であることは言うまでもない。
 広大な青空には不思議な作用がある。つまらないしがらみやくだらない意地から解放され、心が洗われる気にさせてくれるものがあり、何かを誓いたくなる。それこそが新たなスタートラインであり、目に見えない扉=「空色のドア」が見出されるのだろう。デビューニ十年を目前にした椎名さんがそんな初心忘れない気持ちをあらわにしているのはファンとして嬉しい物がある
 その点を突き詰めて注目したい歌詞が「空色のドアがある 違う風が吹いてる」である。「ドア」を通る以上は「ドア」の向こう側には此方と違う何かを求める気持ちがあってのこと、それに対する期待には様々なものがあるが、何よりもその「ドア」を通過するに当たって、「向かうか留まるかは そう 気持ち次第」「開けるか開けないかは そう 勇気次第」「近いか遠いのかは 心次第」と言った歌詞に心の持ち様の肝要さが溢れている。
 凡そ希望や願望を持たない人間なんていない。裏切られることを恐れて最初から抱くまい、とする人もいるだろうけれどそこから始まる物はない。何故に望み、何故に動くのかの意味をまた改めて椎名さんに教えられつつ、その希望を雄大且つクリアな心で持てることを感謝したい一曲である。


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平成一九(2007)年一月五日 最終更新