空の向こう〜君の手をとって〜

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川ともじ

解説 岡本真夜さんの6thミニアルバム『Happy Days』の2曲目に収録。一曲目に収録されている「Happy Days」と似ていて、それでいて対照的な曲である。

 似ているのは、共にいることを喜ぶ曲であること、対照的なのは、誤解を恐れず表現すれば「Happy Days」が想い人に気持ちをぶつけているのに対し、この「空の向こう〜君の手をとって〜」の主人公は「君」の力になろうとしている側面が強いことである。
 そしてそれは決して独り善がり、一方的なものではなく、「君とがいいな」の歌詞に見られるように、「君」が共にあることに意義があるのである。

 歌詞全体から察するに、「希望だけは捨てないよ」「強いわけじゃない」「立ち止まっても」と云った歌詞から、主人公は然程恵まれた環境にある訳では無いのだろう。
 「空の向こうで待ってる未来」「奇跡を起こすなら」と云った歌詞からも「希望だけは捨てないよ」しつつも、具体的な明るい未来が見えている訳でもないのだろう。

 また「自分よりも大切な人 初めて思った人」とあることから、これまで出会った恋人や想い人には理想を叶えられる者も無かったのだろう。
 ただ、思うのは、理想とする人物に出会えた今、どんな不幸も主人公と「君」に絶望を与えることは無いと思わせる静かな強さがこの曲にはある。

 それを示すのが、「君のため息を ひとつも見逃さないように」「どんな涙も 笑顔に変えて I’ll be there for you希望だけは捨てないよ」と云った歌詞で、ただただ幸せを求めるだけではなく、不幸もしっかり共に受け止めようとしている強さが心地いい。
 それだけに、どんな不幸に見舞われたとしても、主人公は「立ち止まっても そばにいるから」状態である限り、「雨が降っても 風が吹いても」という逆境にもめげず、日常のささやかな出来事に「幸せのカケラ 集めて」ともに歩き続けるのだろうと傍目にも確信を抱けるのである。

 タイトルでもあり、歌詞に度々出てくる「空の向こう」が未来を比喩した単語であるのは誰の目にも明らかだと思われるが、未来という、悪い云い方をすれば不確かな者に対して、希望だけではなく、逆境をも見据えている様が、それこそ広大無辺な存在である「空」と見事にマッチングしていると思うのはダンエモンだけであろうか?


真夜の間へ戻る

令和六(2024)年四月一五日 最終更新