そして

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 14thシングル「熱くなれ」のC/W曲である。この曲はダンエモンの中にあっても相当なお気に入りである!

 一言で云えば喜びの歌である。長い長い苦難を乗り越えた喜びと迎えると同時に、のみならずその数々の苦難さえも糧として今の喜びに繋げているところにこの歌の魅力がある。
 それを端的に表している歌詞は「そして きっとこれでよかったと思える時が来るはずよ」だろう。そしてそれは冒頭と締めである「あなたに逢えてよかった」に繋がると断言出来る。
 「逢えてよかった」という邂逅そのものを喜ぶ歌詞を用いた歌は多いが、この「そして」はそれらの曲に対しても全く遜色がなく、C/W曲ゆえの知名度のなさが惜しまれる。

 歌詞の構成としては、辛く耐え抜いた日々を思い起こし、その日々があるからこそ今があり、これからを信じて愛し合える気持ちを歌う内容になっている。
 辛いことが人生の糧になることは実際の人生においても往々にしてあることだが、本当に糧になるためには目先の打算や単純な理想論で終わらせない本気で生きている瞬間瞬間があってのことではないかと考えさせられる。
 「不安さえ気付かないほど まっすぐに追いかけていた夏」「惜しみなく抱き締めてくれた  誇れるもの何もなくても 愛の中で人は自由になれる」、といった歌詞には一途さや純粋さがが感じられ、何よりその愛が大切であることを訴えている。
 だからこそ、「裸の心が誰より好きだった」という歌詞も生まれるのだろう。この歌には只々その純粋さとひた向きさに心打たれるばかりである。自慢じゃないがCDを買った直後に七回連続で聴いたものである。

 この歌には偶然が生んだ思い出がある。それは平成10(1998)年の夏、BOOKOFFで立ち読みしていたときのことである。
 偶然店内に流れたのがこの曲だったのだが、道場主はこの時リリースされていた摩季ソングのアルバムはすべて手中にしていたものの、他の歌手の例からシングルに出てくる曲はC/W曲も含めてすべてアルバムに収録されているものだと思っていた。
 そこに聴いたことのない摩季ソングが耳に飛び込んできたのである。勿論驚天動地に陥った。が、すぐに好奇心が勝り(笑)、曲に耳を傾け、聞き惚れた後に即刻レンタルビデオ店に直行し、シングルを調べ、二つのことに愕然とした。
 一つはシングルのC/W曲の大半がアルバムに収録されておらず、自分の知らない摩季ソングがその時点でまだ多数あった事に、そしてもう一つはこの曲が「熱くなれ」のC/W曲であった事にであった。
 「熱くなれ」こそは道場主が最初に好きになった摩季ソングで、平成8(1996)年の夏、当時ウォークマンしか所持しておらず、好きな曲を何曲か聴きたくて、実家の妹にレンタルCDのダビングを依頼し、「熱くなれ」をいの一番にダビングしてもらったのだが、C/W曲はダビングしないよう妹に云った。
 それは道場主が自分自身のハマり易い性格をよく知っていて、必要以上の曲を耳にしないようにする姿勢を当時は持っていた。だが、「そして」「熱くなれ」のC/W曲と知ったときは心底後悔した

 ダンエモンの「そして」への熱愛ぶりを考えると、そのとき、「そして」もダビングしてもらえばもっと早く摩季ネェの素晴らしさに気付いて、もっと早くファンになっていた可能性が鬼の様に高かったからである。
 とまれ、この曲が摩季ネェファンとしての道場主に新たな奮起を呼んだのは間違いない。勿論この直後に道場主はシングルもすべて買い揃えた(笑)。

 「あなたに逢えてよかった 逃げないで すべて受け止めて 今 溢れ出す 熱い思いが 未来に変わるから」 この歌詞はそっくりそのまま摩季ネェに贈りたいのがこの歌に対するダンエモンの最も素直な感想である。

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令和四(2022)年六月五日 最終更新