作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Yohey Takasaki
解説 同名である摩季ネェのデビュー30周年記念ベストアルバムで同名の『SPARKLE』Disc.1「New Songs」の2番目に収録されている。TVアニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマで、かつて摩季ネェがエンディングを唄った『SLAM DUNK』にて摩季ネェの次にエンディングを担ったWANDSの元ギター担当柴崎浩氏がフューチャリングしている。
大雑把に云えば、「自己を取り戻せ!」的な曲である。
誤解を恐れず述べれば、この曲の主人公はかなりやさぐれている。「雲一つない 青い空 爽やか過ぎて やるせない」や「無邪気な声が戯れるSUNDAY PARK 朗らか過ぎて 突き刺さる」とあるように、本来、爽やかだったり、朗らかだったりする耳目に心地良い情景を鬱陶しく思っている。
加えて、「甘い言葉 熱いメッセージ うざくなり出した」とあるように、自分を応援してくれている筈の声にすらうざいものを感じているから相当重症である。
何せ、主人公は期待を抱かない安全志向でいる。言葉悪く云えば、「端から期待しなければ傷つくこともない。」という小知恵に囚われている。それは「失うことに慣れて 望まなくなってしまった」や「強がることに慣れて 独りが楽になりだした」や「時には切り捨てることも大事と 納得した」の歌詞からも明らかだろう。
勿論、主人公は最初から無気力だった訳でも、努力して来なかった訳でもないのだろう。「尽くして傷ついて 強くなると誓って スキルと笑顔に幾らかけただろう」や「もう一度 心を燃やしたい」とあることからも頑張ってきたのは明らかである。
だが、恐らくは挫折や、報われなさを感じて来たのだろう。「使われてばかりの人生」や「“いい女”なんて楽しくない」や「誰かの手柄になるだけの未来」とあることからも、周囲からそこそこ必要とされつつも、体よく利用されるような日々の中で、「どこに向かって走ってるのか わからなくなってしまった」や「ごめんだわ」といった想いを抱くようになったのだろう。
ただ、それでも主人公は過度な期待を抱かないものの、限定的な「“いい女”」、「“パーフェクト☆”」な、都合の良い存在としてそれなりに周囲と無難にやってきたのだろう。だが、それに納得していないのが他ならぬ本人であることが「私らしさって何・・・ 生きた証って何・・・?」の歌詞に現れている。
そして、「「いつか」も「未来」も残り少ないなら」というタイミングで、「LET’S TAKE OUT!!恋しくて 恋しくて 灼けるくらい もう一度 心を燃やしたい」、「LET’S BREAK OUT!! 好きで 好きで 泣けるくらい もう一度 誰かを愛したい」という想いを燃やす様になったのだろう。
期待が出来ないからと云って、自己の本音を偽って生き、どれだけ周囲を騙せても己自身は誰も偽れない。詰まる所、「SO,消費期限と賞味期限は違う 自分で狭めてしまっていたかも」とある様に、諦観の中に自分を閉じ込めてしまっていたのは主人公自身なのである。そしてそんなのは自分じゃないとばかりに現状の殻を打ち破ろうとする様が「永遠の夢に向かって」の「うわべの安全な幸せ かなぐり捨ててしまえ 死んでもいいと思えるような 何かに向かってツッ走りたい」という歌詞がダブるのである。
最後に触れたいのは、歌詞の内容からもこの歌はそれなりの年配の女性を指したものになるのだが、だからこそ、「好きで 好きで 泣けるくらい もう一度 誰かを愛したい」という執念を燃やしているところである。
摩季ネェ自身、不妊と、それに伴って相手を思うが故に離婚を切り出した悲しい過去がある。恋愛に障害を感じることもあると思われるし、余程のことがない限り再婚は厳しいことだろう。だからこそと云うと辺かも知れないが、そんな摩季ネェが力強く、今からでも、「愛したい」と叫んでいると勇気づけられるものがあるのである。
ああ、令和6(2024)年11月7日現在、独身のダンエモンは「Welcome!」ですよ、摩季ネェ(笑)。
摩季の間へ戻る 令和六(2024)年一一月七日 最終更新