Spotlight

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 池田大介

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc1「FIGHTING MUSCLE」の8番目に収録されている。
 この曲の歌詞に関する感想を簡単に述べれば、「細い一条でも強く照らす「Spotlight」の如く在りたい。」というものである。

 空間的にも、精神的にも「暗闇の真っ只中」と思っていたところに「一条の光」が差せば、それが物凄く明るく、眩しく映るのは想像に難くない。
 サビの「闇の中一途に差す Spotlight 君が眩しくて」の歌詞はそれを端的に示していよう。同時にそれはとても貴重で、閉めにも使われている「You’re the one Yes, It’s the special one We’re the one Just the only one」「You’re the one We’re the one Every hearts will be as one Love is the one」で連呼される「one」という言葉に濃密に凝縮されている。

 注目したいのは、主人公と「君という 光りに出会う」までずっと孤独と思っていたのが、実は孤独ではなかったと云うところである。「いつの間にか 咲いてた薔薇」「独りきり戦って来たつもりの私だったけれど」「やっと会えたふたりだから」といった歌詞から、主人公と「Spotlight」の如き想い人は昨日今日知り合った訳ではなく、近い距離に身を置いてそれなりの時を経て知らず知らずの内に惹かれ合ったのだろう。
 他のアーティストの例で恐縮だが、AKB48の名曲「365日の紙飛行機」の歌詞に「人は思うよりも一人じゃないんだ すぐ側の優しさに気付かずにいるだけ」という歌詞をこの曲と連想するのだが、本当に大切なものは身近にあって気付かないものなのかもしれないことをこの二曲は教えてくれる。

 そして歌詞の冒頭に「いつの間にか 咲いてた薔薇 閑散としていた僕の部屋に 気高く強く」とあるように、この歌の曲調は「気高」さと荘厳さにも溢れている。
 「揺るがない愛に包まれずっと 幸せあったことを 気づかせてくれたあなたは尊い人」とあるように、苦しい時を経て、意外と近くにあった大切な愛に気付き、それを大切に誇りに思うからこそ、「私の居場所をくれる あなたの 美しい切なさを 守り続ける」「闇の中 一途に差す Spotlight 互いを照らして 愛や未来 掴めた奇跡を集めて 明日へと降り注いで行こう」と云った歌詞に在る様に、その愛を永続なら締めようとの意志が漂っているのも心地良い。

 最後に触れたい歌詞は「光は闇があるから アーチライト 輝き照らせる」である。
 「光」「闇」という対を為す概念にあって、前者が概して希望、温もり、救いの象徴として尊ばれることが多いのに対し、後者は暗く、冷たく、心やましい象徴として忌み嫌われる。いっそ「闇」など滅び、常に「光」が溢れている世界であることを渇望した記憶はダンエモンにも数限りなくある。
 だが、世の中には対となるものがあって初めて存在し得る概念が多いのも事実で、「闇」があってこそ「光」があることを気付かせてくれるとともに、「闇」の中にある「光」が如何に尊いかを気付かせてくれることにかけて、摩季ソングにあってこの曲は「One Way &Two Hearts」と双璧を為すとダンエモンは見ている。


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令和五(2023)年一月二〇日 最終更新