STAR〜愛は輝いている〜

解説　椎名恵さんの記念すべき20thシングル「Angel tell me」のC/W曲であり、アルバムでは16thアルバム『Tell me』の5曲目に収録されている。このCDのジャケットの椎名さんはブラジルのコルトーバの丘のキリスト像の様に両手を水平に広げて大空を見上げているのだが、これはA面の「Angel」とB面の「STAR」のどちらに対面しているのだろうか？
　歌詞の主旨は夢に向かってがんばろう、との意志をあふれさせたものである。少々具体性を感じさせるものに欠けるのがこの曲の特色を薄れさせていて残念である。
　個人的に注目したい歌詞は「大人になったつもりでいた　若く青い１９の頃」である。「最初の恋　最後の恋」、「２９　Twenty-nine」、「１４時間遅れの誕生日」等と椎名ソングには２０歳、３０歳というきりのいい年の一歩手前を取り上げたシチュエーションの歌詞が時折見受けられる。殊に未成年最後の年である「１９の頃」はなるほど歌詞にあるように自身は大人になった気でいるが、振り返れば青さの目立つ年頃である。それでもその頃の情熱は失いたくないもので、その気持ちは「心だけはいつも　柔らかなままでいて」にも現れている。
　この歌の歌詞が主張したいのは愛を永遠なものならしめたい気持ちだろう。そしてその象徴が「星」である。勿論厳密には星さえも永遠ではない寿命ある存在である。だが人間の視点で見れば「輝き続けている」もので、同じぐらい不変の「愛」を得れればたいていの人は不満は抱くまい。
　「恋の終り　空しい夜　変わりのない毎日　綺麗になる努力なんて　ずっと前に忘れていた」という無気力さを匂わせつつ、「愛はどこにも逃げないから　見つかる時がくるさ　愛はいつでもそばに居るよ」、「夢はどこにも逃げないから　あきらめたりしないで　夢はいつでもそばに居るよ」と信じて進めると主張しているのがこの曲の主旨だが、煮詰めて語るなら「そばに居る」ことにそのコアがある。つまりは心の持ち様である。 　それは権力・暴力・財力とは関係なしに人間誰しもが自然に持ち得る心がその人間の幸せが如何なるものかを決めるものである、ということを語っている様で秀逸である。そう、その人間が幸福かどうかを決めるのは他ならぬその人自身なのだから。


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