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解説 岡本真夜にとって結婚・出産後初にして6thアルバム『Dear…』の7曲目に収録。珍しく恋愛から離れた内容で「思い立ったが吉日」的な決意を歌い上げている。
他の真夜ソングでは「これからだよ」や「明日へ」が近いものがあるかもしれないが、若き日の決意を忘れまじー「初心忘れるべからず」的なところが特色となっている。「あれから何年も経って 僕たちは大人になったけれど がむしゃらだった頃の情熱だけは 忘れたくないよね」と言った歌詞からは体は老いても心は老いずにいられるものだ、と言うことを思い起こさせてくれるものがある。
人間は余程の才能と幸運に恵まれない限り成長する過程で数々の苦難に出会い、時に挫折や諦めを余儀なくされる。当然物の考え方や将来のビジョンもいつまでも学生のままではいられない。だが良くも悪くも学生時代の自分があって今の自分があるのである。そんな意味でも「卒業式の夜 広げた未来地図 Here we go! 思い出して 皆で誓ったはずさ」の歌詞はもっともっと深く噛み締めたいものである。
「うまくいかない続いても また日は昇るから 僕らの夢への挑戦は きっと信じることから始まる」−月並みなセリフの並ぶ歌詞だが、有り触れている言葉で綴られているからこそ、才能や金がなくても生きているただそれだけで頑張れることをこの歌詞、そしてこの曲は教えてくれていることも忘れてはならないだろう。
巧みな言葉の表現でその意味を深める歌詞もいいが、時にはこの曲のように単調でも月並みでも人間の根本にある決意を連呼することで深みを持つ歌詞もいいものである。
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