すずめとジェラシー

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川知司
解説 ファーストアルバム『SUN&MOON』の6曲目に収録されているこの曲はタイトルに「すずめとジェラシー」とあるように、嫉妬がテーマになっていて、ダンエモンにはグサリと来るものがある(苦笑)。
 歌詞の解説とは少し話が逸れるが、嫉妬にも色々な形がある。恋愛感情に基づくものや境遇・能力・金銭・名誉に関連するものとその対象は様々である。勿論恋歌に歌われるものは恋愛感情がベースになっていて、ダンエモンもそっち方面の嫉妬深さは尋常ではないものがある(それ以外ではさほどでもないのだが)。
 更に恋愛感情にしても立場と度合いによって嫉妬の許容範囲は大幅に増減する。ダンエモンのように片想いばかりの場合は惚れた相手がその恋人とデートしようが、同棲しようが、ラブホテルから出てこようが、嫉妬に正当姓はなく、抱いてもやり場のない激情に苦しむだけである。ここで話が解説に戻るのだが、この歌の主人公の場合「"彼女"という指定席あっても 不安」という状態にある。
 つまり正当な「"彼女"」である以上、「ダーリン」が恋人としかしない事を主人公以外の人とすることには正当な怒りを抱く権利を有するし、干渉やクレームも寧ろ行うべきである。が、その一方で、あまりに些細なことに目くじらを立てるのはかえってその人間の度量の狭さを見せることになる。愛する人の他人との接触をどこまで許せるか?その嫉妬と度量の境界線は男女の中にあって非常に難しい問題である。
 そこでこの主人公の嫉妬を追う事はダンエモンにとって自分自身の為にも真剣にならざるを得ない(苦笑)。まず、「友達の笑い声に 八つ当たりしちゃった」「電線で いちゃついてる すずめのアベックに 石ころ投げたい」という行動・感情は正当とは言えないだろうし、主人公もそのみっともなさは自覚している。
 その一方で彼女は「女の子とただ お喋りしてるだけだから 大きくなってくジェラシー 押さえなくちゃ」に見られるように「ジェラシー」と戦ってもいる。嫉妬の惨めさは抱いている本人が実は一番よくわかっていて、それでいて止め難いから性質が悪いといえるだろう。それにしても「お日様」にまで当たってしまう遣り切れなさは傍目にも嫌な物がある。ある意味、ラブホテルから彼氏と出てきた片想いの相手を目撃したダンエモンが側の電柱や石壁に蹴りを入れまくった時の感情と通づるものがある(苦笑)。
 ここで少し弁護が入るが、一方的に惚れて勝手に苦しんでいるダンエモンならともかく、主人公を正当な「彼女」として付き合っている「ダーリン」には主人公に要らざる嫉妬を抱かせないよう気遣う義務が少なからずある。
 その責任の所在割合は当事者同士にしか知り得ないことではあるが、そう考えると「ジェラシー」を発揮する権利を有し、多少の責任転嫁が可能な主人公は少し羨ましくすらある。なればこそ主人公にはすずめのカップルごときに妬くことなく「彼女」としての王道を歩んで欲しいと願われてならない。


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