太陽の国へ行こうよすぐに~空飛ぶ夢に乗って~

太陽の国へ行こうよすぐに~空飛ぶ夢に乗って~

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 大野愛果


解説 19枚目のシングルで、ドラマ「ニュースキャスター霞涼子」の主題歌に使われた曲である。一言で云えば「リスタートの曲」と云える。
 背景としてうかがえるのは、日常の苦労の中で安らぎが欲しい、と思う一方で、夢と未来の目指すところ―「太陽の国」に行かんとしている願望だが、抽象的な歌詞の様で「太陽」という誰もが知っていて、それでいて暖かさと雄大さを象徴している存在を持ち出すことにより、明るい未来を想像させる歌詞が麗らかな気持ちにさせてくれる。
 注目したい歌詞は二箇所ある。その一つは「いつしか慣れて行くんだ 常識 成り行き 受身 調和 思い入れ ささいな事に 心揺れるのは 疲れてる証拠ね」である。
 「常識・成り行き・調和・思い入れ」は人生においてつきまとうことであり、自身の意にそぐわなくてもどこかで妥協しなければならないことは多々ある。
 そしてそれを受け入れるのに軽く受け入れれるときもあれば、断腸の思いで受け入れるときもある。なるほど「ささいな事」が心揺らさずに受け入れられないときは精神的に大きな負担を抱えこんでいる―「疲れている証拠」なのかもしれない。

 不本意ながら数々の妥協を繰り返している人も世の中には多いと思われるし、ダンエモン自身も思い当たる節は数多くある。
 自分を偽った妥協を避ける為にも本当の「疲れ」を見極める目が大切であることを教えられた。

 もう一つは「自由な時代の 心地よい束縛」という、一見矛盾した歌詞である。
 矛盾しているようで実はよく出来ている。というのも自由には二つの種類があるからである。
 一つは何物にも縛られない自由である。
 この「自由」を「勝手気侭」と勘違いしている人間が多く、社会としては自己の自由を大切に思うなら他者の自由も同等に尊重する義務があり、自己の自由に責任を負うことを今一度認識しなくてはいけない、と思うが、それが軽視されているからこそ自由主義の自由は本質からかけ離れたものとなってしまっている、と思われる。
 もう一つは自らの信条や良心に従う自由である。
 つまりは「何物にも縛られない自由」とは対照的に「好んで縛られる自由」とも云える。この歌で云われる「自由な時代の 心地よい束縛」はまさにここに通ずるとダンエモンは断言する。
 「自由」と「勝手気侭」は同義語ではない。摩季ネェファンにもし「自由」と「勝手気侭」を取り違えている方がいれば、是非ともこの歌詞を噛み締めてみ締めて頂きたい。
 歌詞とは話が逸れるが、この曲は大野愛果さんによって作曲されている。知る人には摩季ソングより倉木麻衣さんの歌の作曲者として馴染みが深いかもしれない。摩季ネェの作曲もいいが、ときには摩季ネェの作詞と大野さんの作曲によるこの歌のようなナイスなハーモニーを味わいたいもので、今後に期待したいものである。

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令和五(2023)年七月一九日 最終更新