時の向こう側

作詞 椎名恵 作曲 東郷昌和 編曲 渡辺博也
解説 椎名恵さんファーストアルバム『MISS YOU』の4曲目に収録されている。失った恋を懐かしみ、少し悔やむという椎名ソングによくある曲だが、初期の曲としては珍しい方である。
 「二人でいる事の 大切さも知らず かけだしてしまった事 憶えているかしら」という歌詞から、主人公の方から離れ、失って初めて有り難味に気づく、という黄金パターンを辿った事が伺える。
 注目したいのは「赤から青に シグナルの色が変わり 夢を覚ます」の歌詞で、ここから主人公が「懐かしいとき」「過ぎた日々」を振り返っていたのは時間にしてほんの短い時間だった事が伺える。
 恐らくは冒頭の「前にたたずむ 少し右下がりの肩」をした赤の他人相手に懐かしい人の面影を見出し、刹那的な空想の世界に居たのだろう。
 決して戻らぬ過去、まさに「時の向こう側」に去ってしまった人、「この胸に 感じる風は 同じになれない きっと」という確信があっても「ちがう街 あなたもどこか 歩いているはずね」という思いが過ぎる所に主人公の素直、偽らざる気持ちがあるのだろう。
 それに深く突っ込むのは野暮なので避けるが(笑)、決して手の届かぬ世界だから我々はかえって「Over the time」「時の向こう側」に思いを馳せるのかもしれない。


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