作詞 岡本真夜＆真名杏樹 作曲 岡本真夜 編曲 岡本真夜＆西垣哲二
解説 岡本真夜さんの11thアルバム『Tomorrow』の3曲目に収録。勿論この様なサイトを見て下さる方々には説明不要の真夜さんのデビュー曲をセルフカバーしたものである。
アルバム付属の冊子を見る限り、歌詞内容は元祖「TOMORROW」と全く変わらない。だが、実際の収録内容は冒頭とラストにて粋なアレンジが為されている。
冒頭は真夜さんの歌唱ではなく、福島県飯舘村の被災者約600名よるコーラスである。内容はサビである「涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く 花のように 見るものすべてに おびえないで 明日は来るよ君のために」で、それに対して真夜さんが「すごい上手〜。」と感想を述べて歌唱に入る。
歌詞解説ではなく、背景解説になってしまうが、2011年12月25日、真夜さんは福島県川俣町にて飯舘村村立幼稚園、小学校の卒園・卒業式に参加した。
飯館村は同年3月11日の東日本大震災に端を発する原発事故の影響で避難区域になっている。その為川俣町公民館で挙行された訳だが、真夜さんは「TOMORROW」を含む7曲を歌唱。その際、会場の約600名から返礼ともいえる先の大合唱が起こり、これに感動した彼女はコーラス収録を考案した。
勿論このことが『Tomorrow』の制作に繋がり、タイトルが『Tomorrow』となったこととも大きく関連しているであろうことは想像に難くない。
奇しくもデビュー曲でもある元祖「TOMORROW」が、真夜さんのデビュー＆リリースの4ヶ月前に起きた阪神大震災で被災した人々、それに心を痛めた人々の勇気となったことは今更言うまでもないことだが、勿論この曲に勇気付けられたのは飯館村だけではない。
真夜さんが震災発生直後に特に心を痛めたのが震災の前年にライブを行った宮城県牡鹿郡女川町である。女川町の惨状に「涙が止まりません」と語っていた真夜さんだが、直後に女川町の人々が「TOMORROW」を大合唱する姿に逆に勇気を貰った、と震災11日後に行われた新歌舞伎座新開場ライブにて語っていたのをダンエモンは直に耳にしている。
ともあれ、17年の時を経て同じ曲が打ちひしがれる人々を勇気づけたのは偉大にして、皮肉な話である。某都知事の暴論（←名前出しているのと同じやな）のようにこの震災が「天罰」だというなら仏教徒のダンエモンでも御仏に抗議するし、天罰を落とすべき相手も間違っているであろう。間違っても飯館村や女川町で「TOMORROW」を合唱し、必死に生き残ろうとする人々に落とされるものではない！
ちなみにラストのアレンジだが、サビの部分が「涙の数だけ強くなれるよ 見る者すべてに おびえないで 涙の数だけ強くなろうよ 自分をそのまま信じていてね 」と途中「アスファルトに咲く 花のように」と「明日は来るよ 君のために」と「風に揺れている花のように」を敢えて抜いて歌われ（該当箇所はハミングに置き換え）、最後の最後にて「明日は来るよ」の後に溜めを置いて「君のために」が伸ばして歌うも、余韻抜きで締められている。
このアルバム『Tomorrow』収録曲の副題や歌詞には「明日」という文字が頻発しているが、改めて『Tomorrow』=「明日」に向かう大切さと痛感するとともに、被災地の、日本の、世界の「明日」が明るくあって欲しいと願われてならないものである。勿論「TOMORROW」にはいついつまでも人々の勇気であって欲しいが、三度この様な出番が回ってこないことを強く祈る次第である。
余談 女川町では御当地出身の中村雅俊氏が有名だが、中村氏もまた故郷の被災に深く心を痛め、日本放送協会(NHK)が行っている震災支援プロジェクト「NHK東日本大震災プロジェクト」のテーマソングである｢花は咲く｣に参加し、宮城・岩手・福島出身、または縁の深い歌手・お笑いタレント・スポーツ選手・俳優諸氏が入れ替わり立ち替わり歌う中、そのトップバッターを務めてられている。
「TOMORROW 〜明日の君へ〜」と直接関係のある話ではありませんが、復興支援に尽力する真夜さんを応援する意味からも、真夜さん同様に被災地を応援する人々について触れさせて頂きました。
花は咲くプロジェクト参加者（五十音順・敬称略）
秋吉久美子、荒川静香、生島ヒロシ、イケメン’ズ(伊東洋平・横山真一郎)、岩井俊二、岩田華怜(AKB48)、梅沢富美男、大友康平、加藤茶、門倉有希、狩野英孝、かの香織、菅野よう子、熊谷育美、佐藤B作、さとう宗幸、沢田知可子、サンドイッチマン(伊達みきお・富澤たけし)、涼風真世、鈴木京香、千昌夫、中村雅俊、仲谷明香(AKB48)、新沼謙治、西田敏行、野村克也、畠山美由紀、原田直之、本田武史、マギー審司、村上弘明、森公美子、杜けあき、山川恵里佳、遊佐未森、由規
真夜の間へ戻る 平成二四(2012)年一一月二〇日 最終更新