遠い空できっと
遠い空できっと
解説 アルバム『MOTHER EARTH』収録曲の第9番目の曲である。一言で言えば「青春している曲」である。スポ根アニメの主題歌にぴったりと思うのはダンエモンだけか?
野球部(別にサッカー部や卓球部でもいいのだが)の元マネージャーがスランプに落ち込んでた恋人をそっと影から見守っていた青春を懐かしんでいる様である。恐らくは母校を訪れていて過去を回想していたと見える。また現在はそれぞれの進路から別の道を歩み、日常的に顔を合わせているようなことはないとうかがえる。
シチュエーションの解説はそんなものにして歌詞の魅力に迫りたい。やはり最も注目したいのはサビの部分である「泣けばいい 逃げてもいい 立ち上がれないほど辛いことなら いつの日も抱き締めた 心の光り もう 自分で消さないで」である。
傷つくことに対して全く躊躇わずに逃げ出す人間でも、逃げること自体が好きな人間はそういないと思われる。が、全てのことから逃げずに全力で戦い尽くした、と断言できる人間もまたそうはいないと思われる(「退却」じゃない、「転進」だ、という言い訳は受け付けない)。
出来るなら逃走などしたくないが、所々逃げてきた、というのが殆どの人の人生ではないかと思う。だが、どんな逃げ名人も自分自身からは逃れられない。
逃げていないフリをしても、逃げたのではないと言い聞かせても自分の本音までは偽れない。大事なのは逃げないことではなく、本当に乗り越えられないことからは逃げてもいいが、自らを偽ることなく、自分の本音で望むものにいつまでも立ち向かっていくことなのだということをこの歌は改めて教えてくれる。
その自分から逃げる行為こそ、「心の光り」を「自分で消」すことなのである。それだけはしないで欲しいという主人公の気持ち、泣かせるじゃあありませんかっ!
別の視点から見てみたい。「迷ううちにタイムリミットに押され とりあえず決めてしまうよね」の歌詞である。正直、初めて聴いたときはドキリとした。
何でも自分の本音で選択し、常に自分の夢に向かって邁進しているつもりでもタイムリミット、言い換えれば卒業や年齢制限に前に不本意な選択をすることも少なくはない。
確かに一度敗れればそれっきり、という夢も世の中には確かに存在する。それゆえにそんなときに人は別の夢を探すわけだが、そのとき大切なことが「自分らしさということを 信じて生き」ることだと、この歌は主張している。
ダンエモン自身は大黒摩季さんとは面識はない(「ダンエモン」という名を0.01%ぐらいの可能性で知っていてくれているかもしれないが)。しかし摩季さんが「遠い空で きっと 応援して」くれていると勝手に想像するのは何とか出来そうである(苦笑)。そんな歌詞で構成されているこの歌に感謝したい。
摩季の間へ戻る