29 Twenty-nine

         作詞 麻生圭子 作曲 大内義昭 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さん8thシングル曲で、アルバムではフォースアルバム『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』の2番目に収録されている。道場主は1999年12月24日のモーダ・ポリティカでのライブで椎名さんがこの曲を歌っているのを直接目の当たりにした思い出がある。
 歌詞の内容はかつて恋人だったが別れてしまった当時の「あなた」と同じ年になって過去を振り返った主人公が若き日の我がまま出会いとやさしさの意味も解さなかった自分を悔やみ、もう遭えない「あなた」にその悔やみ、内省している気持ちを伝えたがっているものになっている。
 歌詞から推察できるのは主人公はあなたより年下で、年齢差は3年はあったようである。もしかしたらもっとあるかもしれない。「Twenty-nine こんな大人じゃないのね 自分がなってみると」とあるので。どうやら別れた当時主人公は29歳である「あなた」が自分よりかなり成熟した人物と見ていたようなので。
 ダンエモンは周知の通り女性と付き合った事がないが、今まで惚れた女性で見ても最大年齢差は2年5ヶ月なのだが、それでも年上の女性は(当時未成年だったが)かなり大人に見えたものである。ま、相手が先輩だったという事もあるのだが…。そして自分がその年齢になってみるとたいして大人に思えない不思議な気分には誰しもが一度は捕われるものと思われる。
 話は逸れるが、故ジャイアント馬場氏が還暦記念試合で「子供の頃、60といえば『随分年寄りだなあ。』と思ってたけれど、自分がなってみればなんだ、まだまだやれるじゃないか。」と言って観衆のウケを取っていた。なるほど若き日や幼き日からみた年齢のイメージと実際にその年齢になってからのそれではギャップがあるものである。それにしても亡き馬場氏がその後2年を経ずして御逝去されたのは惜しまれる…。
 話を戻すが、注目したいのは主人公が若き日のワガママだった自分を「あなた」に謝りたい気持ちを「あなた」とよりを戻したい気持ち以上に滾らせている事である。そしてより注目したいのが、失った恋とその後の経験を通じて主人公が「やっと人を本当に 愛すること」「やさしさと愛の行方」を知ったことを伝えたい、としている事である。
 ダンエモンがこの曲を知ったときは29歳より若く、この「菜根道場」の解説に着手した時は丁度29で、この解説を書いている今現在は31である。今現在が1年1年の相違を重く感じている時なのかもしれないのがこの曲を聞く度に思い起こされる。
 結論、若き日の過ちを年齢を経て、自らがその年齢に至って実感している様が秀逸である。この曲を教訓に時間の流れに伴う後悔―例えるなら「遠い Good−Luck」―を避ける人生を送りたいものである。


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