Twisty Love(セルフカバー)

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Beingスタッフ

解説 大黒摩季さんの初のセルフカバー・アルバム『LUXURY 22-24pm』の2曲目に収録。思えば原曲はれっきとした摩季さんのオリジナル曲なのに摩季さん名義ではないアルバム『愛と疑惑のサスペンス』だけについぞ耳にすることが少なくなりがちだから聴いた瞬間、何とも形容しがたい覚醒感に捕らわれたものである。  「本気はルール破り」「違う誰かに抱かれる程」といった歌詞が背徳感を感じさせるので、歌詞としては好きな曲ではないのだが、原曲リリース時に比して老成された摩季さんの声がこの歌詞の主人公に対して、何故にこのような立場にあるのか?主人公の真なる望みはどこにあるのか?等が自然と考えさせられる。


 最初に原曲の「Twisty Love」の解説を書いた時は主人公を高級娼婦としたが、改めて聞いてみると注目するのはタイトルの「Twisty」にもある二律背反性である。
 「もう何も言わずきつく抱き締めて 幻を忘れたい」という歌詞がある一方で、「So〜 違う誰かに抱かれる程 幻を愛してる」という矛盾する歌詞がある。
 初めて聴いた時は意味を図りかねてかなり頭を痛めたが、幾星霜を経た今なら一時の「幻」であっても、ルール違反である「本気」になることで、その時だけでも現実にしたい、という想いであることが想像できる。だからこそ上記2つの一見矛盾する歌詞が、心の中では矛盾なく存在できるのだろう。


 快楽に酔うその場限りの夜は決して長いものではない。だが、人間の性で、楽しい時間は早く短くて、辛い時間は遅くて長い。主人公は本気になってはいけない時間だからこそ、敢えて本気になることで辛い時間を突っ切ろうとしているように思ってしまう。
 なかなかな本音や本気で生きられない世の中で私達も恋愛に限らず「Twisty」を利用したり、「Twisty」に身を委ねたりすることもあるだろう。だからこそ「本気」も常に念頭に置いておきたいものである。それが「幻」を現実にする為だとしても、「幻」と割り切る為だとしても。


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平成二一(2009)年四月一一日 最終更新