作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜
解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Close To You』の8曲目に収録。「生まれ変わる」という一大変化をタイトルに持つ割には曲調は穏やかである。その一方で歌詞の随所に真夜ソングの名台詞が見え隠れしているのが何とも嬉しい一曲である。
歌詞が織り成すストーリーは孤独の内にいた主人公が「あなた」と出会ったことで「笑顔」・「明日」・「未来」と言ったポジティブシンキングを思い出すという有り触れたものだが、そこに秘められた想いは穏やかでも強いものがある。
実際、タイトルと歌詞で「生まれ変わるように」と宣言している主人公が決意の表れとして取ったアクションは「両手広げて 息を吸って」という深呼吸でしかなく、おおよそ力強さを感じさせることはない。
それでありながら出会いが生みだす変化の偉大さと、疑問形で綴られながら明確化していく想いと、愛しい人の側にいることの喜びとを見事に歌いあげた一曲も珍しいのではないだろうか?
繰り返すが、曲調は決して塚ら強さに溢れたタイプのものではないのである。
また前述したように、この曲の歌詞は部分部分で他の真夜ソングを思い起こさせるものが見られ、それもまた心地いい。
例を挙げると「置き去りだった未来予想図」からは「置き去りの約束」と「スタートライン」が思い起こされ、「木漏れ日」と言えば「プリズム」・「つむぎうた」が、「両手広げて 息を吸って」と言えば「FOREVER」・「大丈夫だよ」が思い起こされる。
そう思いながら歌詞を追うと、主人公は「あなた」と出会い、「あなたのそば」で「笑顔」でいることによって失った様々なものを取り戻しているような様を見ていると、「生まれ変わる」と言うよりは「生まれ直った」(?)気がした。
出会い一つで人が変わることなんてそうそうはあり得ない一方で、間違いなく実在する事象でもあることを知る故に、この曲の主人公には力が伴わずとも、人を愛することで持ち得る強さを永久保持して欲しいと願われてならなかった。 勿論、自分がそういう出会いを得たいと思うからなのだが(苦笑)。
真夜の間へ戻る 平成二四(2012)年一月七日 最終更新