美しき人
作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 建部聡志
解説 岡本真夜さんの6thマキシシングル曲で、9 thアルバム『再会〜君に綴る〜』の3曲目に収録。5 thマキシシングルのタイトルが「かけがえない人よ」で、肉親にかける愛情がベースに立っている点が共通する。
「かげがえない人よ」が母から幼い我が子へ愛情を注ぐ曲なのは明らかなのだが、この曲では断言するのは難しく、「洗剤で荒れた母の手 何より美しい」や「少し形の悪いコロッケ 何よりあたたかい」からは明らかに母親からみる視線ではないし(どちらかと言えば受ける方)、最後の「早朝の新聞配達 道路工事のおじさん 畑を耕すゴツゴツした手 何より美しき人」に至っては一生懸命頑張る人全員が対象か?とも思ってしまう。
故にこの解説では「美しき人」の具体的な対象は定めない。歌詞の語る様に、「熱き想い 貫く強さ」を持ち、「想いのまま 君は君のまま」で「無邪気な子供のように」一生懸命に頑張る人が「美しき人」なのだろう。
思えば、世の中に金や権力に依存しない、「きれいな服や 宝石」よりも大切で尊いものは数多くあり、それに不自由していない人にはその有難味が気付きにくい物が数多くある。それが何なのかは余りにも月並みだから敢えて触れないが、ともすれば忘れ勝ちになる物である事に間違いはない。
注目したいのは歌詞の中に「汗で濡れたユニフォーム」、「洗剤で荒れた」、「泥だらけ」、という活動の上で伴う汚れに対比させて「美しき」としている点だろう。見た目にとらわれない、と言おうか汗や汚れにまみれた努力の中にこそある物に注目していると言おうか、それらを統合的にみると、途中に出てくる「時には矛盾もあるけど」という歌詞に考えさせられるものと、締めに出てくる「美しき人」の前に「何より」と置かれるのが非常に納得ができる。
生まれ持った美しさは良くも悪くも一生変らないし、身に付ける物の美しさはまさに身に付けている時だけの物だ。相手の生涯を思えばこそ、最も大切な「美しき」を備えた「人」に育てる為に語りかける詞・曲が心地いい事に触れて締めとしたい。
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