別れたいなら そう言えばいいじゃない

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川知司
解説 サードアルバム『Smile』の6曲目に収録されたこの曲は暗い曲である。ズバリ失恋を歌ったものだが、厳密にはまだ失恋していない。つまりは冷えきった関係を嘆き、「あなた」「好きな子」ができた兆しをきっかけにこの恋を終わらせたがっている「あなた」の本音に迫ろうとしている曲である。
 この手の歌詞の話になった時、ダンエモンにとって何が頭が痛いかと言うと、冷えきった関係と言うものがイマイチ理解できないことにある。つきあったことがないから(苦笑)。男同士の友情のパターンに置き換えて類推するしかないのだが、そう考えると辛うじて形骸化した関係を続けるよりは思いきって断ち切ることも大切であることがおぼろげながら見えてくる。
 冷えきった関係を見るに何が悲しい要素を生んでいるかと言えば、「あなた」の無関心さにある。「あやふや」「こままま 会えなくて ずっと 会えなくなって それでも あなたは平気なのかな」と言った歌詞に現れている。何より無関心を表す一番の歌詞は「どうして できないの 連絡 1つぐらい」だろう。
 話が少し逸れるが、どんな社会にも話が面倒になったり対人関係のトラブルに直面した際に二言目には「関係ない」という台詞を吐く人間がいる。大抵は極端に辛辣か極端に無感情に吐かれるわけだが、実の所、言葉に出す奴は言葉ほど無関心ではない。潜在意識の中で関心のあることをわかっていながら責任や後ろめたさから逃れる為に、それを宣言する故に「関係ない」という台詞が出るわけであって、本当に心底無関係だと思っていれば関係の有無が思考の中に浮かばないので、台詞そのものが生まれないはずなのである。そう言う意味で反応・行動の見られない「あなた」に主人公の希望の持てない気持ちは理解できるものがある。
 この曲の歌詞を追って得た結論に愛する人の如何なる反応をも重視したい,と言うものがある。例え自分にとって好ましからざる反応や行動であっても言葉や形がある以上何らかの想いが存在し、そこに事態好転の糸口があると信じられるから…。


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