私達のための午後

         作詞 椎名恵 作曲 椎名恵 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんの7thアルバム『VOLAGE』の二曲目と15thアルバム『S』の6曲目に収録。非常にプラトニックな意味で大人っぽさが異彩を放つ曲である。
 恋愛と結婚はイコールではないとする人が多いが、この曲は三年という充分な「恋人同志」としての期間を経て、言葉にこそ出さないものの、明らかに結婚を意識している。先の「恋人同志」の歌詞と絡んで「きっと恋人同志と 呼ぶにはそろそろ 似合わない歳になるね わたし達」「きっと恋人同志を 卒業するには ちょうどいい歳になるね わたし達」からも明らかである。
 注目したいのは「あなた」が平日は多忙な人らしいことである。「もう3年もこうしているから だけど月曜日の朝の顔だけ あなたは一度だって見せてくれないね」から容易に推測のつく話だが、「久し振りに腕を組んで歩」くように、普段は若いカップルの様にイチャついたりしない、互いが側にいることに幸せを感じられるような静かな付き合いをしているのだろう。
それゆえに多忙な日常が始まる月曜を恨めしく思っているようである。とにかくこのカップルの互いの幸せを噛み締める様は嫉妬の鬼であるダンエモンが微笑ましく思うのだからたいしたものである(笑)。
 タイトルが「私達のための午後」とあるが、勿論「午後」という時間を二人が独占できるという意味ではない。「やっぱり秋は一人じゃない方がいいわ」とあるように、「青く澄み渡った空」も舞い散る「枯れ葉」も二人でいると全てが幸せに感じられる、それを指して全てを共有されることを指して「私達のための午後」と納得でき、またその納得できるの心地いい。
 若年層の方々には申し訳ないが、こんな深みあり、精神的に心地いい雰囲気はガキには出せまい(笑)。


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