YELL 〜君の声〜

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川ともじ

解説 岡本真夜さんの5htミニアルバム『Love Stoy』のトリである8曲目に収録。一言で云えば応援歌で、想い人である「君」に対して、「ガンバレ!」を連呼して、タイトル通り「YELL」を送っている訳だが、同時に「信じること 夢見ること 君が教えてくれた」「どんなときも「大丈夫!」って 背中を押してくれた」ことへの「感謝」を、「君に恋をしていたこと」を伏せて秘めたまま送ってもいる。

 他の収録曲でも触れているが、『Love Stoy』収録曲の多くは失恋をテーマにしていて、この「YELL 〜君の声〜」も恋が成就していないのだが、そもそも「君に恋をしていたことは 伝えないまま…」とあり、最初から最後まで「友達のまま」で、別れに際しても「いつものように手を振るよ」と自然体で見送った。
 それゆえ、「旅立つ前に」「遠く空」「新しい街で」の歌詞からも両者の別れは学生の卒業によるものと思われる。その辺り、背景に際はあるが、「また会おうね また会えるよね」「明日へ」がかぶる。

 詰まる所、友達としての交流と何気ない日常の中、苦しい時辛い時に元気づけてくれたことへの謝意と、その裏に秘めていた想いを込めて旅立つ想い人への声援をおくる歌詞構成な訳で、真夜ソングには時折みられるパターンであるが、その中で二点ほど注目したい箇所がある。

 一つは、再会への意欲である。
 「また会いたいからサヨナラは 言わない 元気でいてね」とあるから、別れに際して「またね。」や「じゃあね。」的なノリで挨拶を交わしたのだろう。そして「新しい街で 君のこと 探してしまうかもだけど…」ともあるから、再会の目途は立っていなくても意欲は強いのだろう。
 同時にその信念に迷いやブレが無いから「不安はあるよ でも負けないよ」と云い切る様が心地良い。

 もう一つはラストである。
 何度も「「ガンバレ!」」を繰り返していたのを、自分に対しても「ガンバル ありがとう」として決意と感謝を述べて締めている様もまた秀逸である。
 少し私情を交えるが、道場主は自分自身の性格や能力や立ち居振る舞いに嫌悪する点が多過ぎて困っているが、それでも人に感謝されたことを喜べる性格で良かったと思っている。同時に感謝されることが嬉しいから、素直な感謝も忘れたくはない。
 それ故にこの曲が相手への応援を繰り返した果てに自らも「ガンバル」としている様が喜べるのである。


真夜の間へ戻る

令和五(2023)年一月一二日 最終更新