ようこそ

         作詞 椎名恵 作曲 佐藤健 編曲 見良津健雄
解説 椎名恵さんの17thシングル「Change your mind」のC/W曲である。命令形で綴られるA面ほどの激しさはないが、未来を見据えた意志の強さは決してそれに劣るものではない。
 時系列を過去・現在・未来に区切って見た場合、この曲は「ようこそ」というタイトルから予想されるように現在→未来のベクトルに向いた歌詞になっているわけだが、その裏に隠れた過去を見据えないとこの曲の魅力を不充分にしか理解していない事となる。
 「新しい季節にようこそ」とあるように、何かをきっかけとして喜びの時を迎えた主人公が、その時を供に迎える「彼」の来訪と合わせて歓迎しているわけだが、当然「新しい季節」ができたと言うことはそれについとなる古き「季節」が存在したわけである。  では主人公は「彼」との時間に何を見出して、「新しい季節」としてその来訪を喜び、彼とともん歓迎しているのか?ヒントとなる歌詞が「これから先ケンカをして寂しい日がきても 好きでいれたら」とダンエモンは考える。
 人生に四苦八苦はつき物である。恐らく主人公は以前は「彼」との時間及び「彼」と出会う前の時間に存在した辛い時間の過ごし方を知らなかったのだろう。具体的な事は分からないが、二人で過ごし時間の中に何かが見えたから、嬉しい事も悲しい事も主人公は前向きに受け止めれるようになったと思われる。
 だからこそ「息を切らし走ってきた彼がいじらしく」想えるようになり、「他に何もいらない気」にもなり、「後5分できっと彼は」という僅かな時間にもときめき、「笑えるのが幸せだと 彼に出会って知った」ことにも気付き得たのだろう。
 歌の魅力をまとめると「ようこそ」の気持ちが出会いではなく、継続した交際の中での新たな局面の展開−二人が成長して、五感で感じる全て−に対して新鮮な気持ちで迎えて「ようこそ」と言えるところにあるのだろう。
 古く、長い付き合いの中に常に新鮮さと、それを歓迎する気持ちを持ち続けたいのは男女交際に限った話ではないだろう。
 卒業・退職・転勤・失恋・死別・etc……人と人が別れる要素は世の中に多々あるからこそ出会いのときは勿論、継続する交際の中でも何度も「ようこそ」の台詞を口にしたいものである。


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