雪が降るまえに 雪が降るまえに
作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 摩季ネェのセカンド・マキシシングルにして月曜日20:00のTBSドラマ『こちら第三社会部』の主題歌である。『水戸黄門』、『大岡越前』と同じ時間帯に流れるとは「熱くなれ」がアトランタオリンピックのNHKでのイメージソングにされたのに匹敵する名誉、とするのは云い過ぎだろうか?
歌詞の語るストーリーはよくある恋人に会いたくて会えない気持ちを歌ったものである。会えない理由は「止まってしまった二人の 時」や「どんなに祈ってもあなたは 来ないの」といった歌詞から、彼氏の気持ちにあるようだが、タイトルにあるように「雪が降るまえに」と時間制限を設けていることからも、なにがしかの目的か可能性が感じられるが、イマイチ判然としない。
しかし確かなものがある。
何もかもかなぐり捨てて会いに行きたい気持ちである。
少し季節と状況はずれるがどこか「BLUE CHRISTMAS」のイメージがダブる。「笑っていますか。 無理してませんか。」や「今の自分を好きだと言えますか。」のように本音に呼びかけている歌詞は恐らくは主人公自身にも呼びかけているものだろう。
そして主人公が本音とするところは「何もかも捨てて きっと会いに行くよ」である。
それにしても主人公の願う事柄はダンエモンが「あなた」の立場ならそれこそ主人公同様に「何もかも捨てて」体で受け止めたいことばかりである。愛で包んで眠らせてあげたいし、「飛びこんで」来るなら体ごと受け止めてあげたい。「雪が降るまえ」だからこそ体でぶつかり合う、温かみに繋がる愛情の確認を求めるのだろうか?
別の視点から見ると主人公は強がりを否定している。「弱さを知って成長すると言うけど だって寂しさに勝てるわけがないでしょう?」という歌詞は一般論として理屈が役に立たないことを主張している。「長い夜に願った 例えすれ違っても 変わらずに話して」という歌詞はどう触れ合うか以前に「まず「二人」ありき」を示している。寒い季節には二人でいることの温かみを基とした抱擁で身も心も暖めたい、と改めて思う。
令和五(2023)年九月二一日 最終更新