作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 記念すべき20枚目のシングルで、摩季ネェが平成一二(2000)年の充電に入る前に出した最後のシングルでもある。
この曲には個人的な思い出も絡んで強い印象が尽きない。買った直後に千葉マリンスタジアムでこの歌を歌う摩季ネェを見れたことも関係している(もっともこの歌はドラマ「京都始末屋事件ファイル」の主題歌に使われていたので、歌そのものは購入以前から親しんでいたが)。
初めてこの歌を聴いた時、ダンエモンは「夢なら醒めないで」の間違いではないのか?と疑問に思った。悪夢を見ているわけではなく、将来に対する熱さを全体に漲らせているのに「醒めてよ」とはおかしな物だと思った。
だが、ダンエモンは一つ大きな勘違いをしていた。ダンエモンが考えた「醒める」は「冷める」という事だった。「醒めてよ」といっているのは情熱や希望としての「夢」に対して、「冷める」のではなく「醒める」―つまりは「夢」(希望・情熱)を「夢」(睡眠中に見る空想)のままにして置くまいぞ、という人間の決意の事だったという事にダンエモンは気づいた。
「情熱は美しく儚く時に流され消えゆく だからこそ今を強く生きてゆくのよ この世の終わりはいつもそこに始まりはその隣に もう止められない 止めたくはない 止まらない 夢なら醒めてよ」という歌詞はダンエモンに、「人間の心は移ろいやすく、弱さや甘さに流れ勝ちである。だから強さを失ってはいけない。死んだような腑抜けで終わるのも、逆境から這い上がるのも自分次第で、その差は偏に夢を実現せんとする心の熱さが決める。そう思えばここで立ち止まるわけには行かない、立ち止まりたくないし、止まってたまるものか!寝てみる夢ではなく、叶える夢のため、今こそ目覚めるときなのだ。」と訴えてくるようだった。
寝ているときと起きているときの二つの「夢」について考察したおかげで、今は「夢なら醒めてよ」を聞くのが今まで以上に楽しい。
ダンエモンの考察がこの曲を作った時の摩季ネェの考えと合致している保証はないが(苦笑)、前向きになれることを恐らく摩季ネェは認めてくれるだろう。
そしてこの歌がダンエモンに教えてくれた事はもう一つある。
それは「勘違いも人生には必要でしょう」、「思いこみこそ最大のパワーでしょう」の歌詞にある。なるほど、経験的にはダンエモンは自分に自信が持てない人間である。しかし自信の有る無しよりも大切なのは人生をどう生きるである。それに気付かされて、ダンエモンは一つの考えを得た。
「疑うのはいつでも出来るし、簡単だが、力を生みはしない。信じる事は難しく、裏切られる事に対する恐れもあり、辛い事もあるが、だからこそ力を、意欲を生むのだ。」と。
上記の考えを得るには、自信なく生きてきたダンエモンに自信を与えてくれた二人の女性が絡んでいる(意味深な書き方だが、読んでいる人が期待するような仲ではない)。名前は出せないが、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
夢を夢のまま終わらせない。
この文章を書き上げて改めてそう思う。
令和五(2023)年八月三日 最終更新