夕闇を見ていた

解説　虚無感の漂う寂しい曲である。いな、寂しささえ希薄なのが寂しいというべきか？ファースト・アルバム『MISS YOU』の。道場主はバラードコレクションのアルバムでも所持している。
　背景を見ると別れを決意した主人公が「あなた」と最後のときを過ごしているわけだが、別れの原因は「あなた」の浮気にあるようだ。「その女性によろしく伝えてね　私ならだいじょうぶよ　一人で」の歌詞が椎名ソングにはめずらしい皮肉っぽさを醸し出している。
　果たしてこれは愛する人のことを想えばこそ未練を残さない様に敢えて強がっているのだろうか？それとも二股をかけたがっている完全に愛想を尽かした「あなた」にとどめを刺す為のものなのだろうか？
　わからない…。少なくとも「抱きよせたり」している「あなた」には未練がうかがえるのだが、「会えば傷つけあうだけの　恋人」とあるのだから、「あなた」が主人公に執着するのは相手から別れを切り出されたくないプライドだろうか？
　ダンエモンは不幸以上に虚無を嫌う傾向がある。果たして主人公は「夕闇」の中に何をみていたのだろうか？何かを見ていて欲しかったとは想うのだが。ゆえにこの曲は嫌いにならぬまでも好きにはなれない。


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