Zoom Up ★feat.Booooze

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 原田喧太

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc2「RESTING MUSCLE」の10番目に収録されている。
 映画『写真甲子園 0.5 秒の夏』の挿入歌で、摩季ネェが講師を務める札幌放送芸術&ミュージック・ダンス専門学校の教え子でもあったハード・ロック・バンド Booooze が起用されて参加している。そしてそれを立てるかのように、1番はBoooozeがヴォーカルを担い、摩季ネェが歌い出すのは2番からである。
 だが、例によってダンエモンはBoooozeの皆さんのことを何も知らないので、本作が歌詞解説であることに託けて、Boooozeに関する言及が無いことをご勘弁願いたい(苦笑)。

 歌詞のコアだが、躍動感あふれる曲調とは裏腹にその背景は倦み疲れた日常である。冒頭からして、「何がいいんだか どれが正解なんだか やみくもに走る そんな毎日」とあり、他にも「間違い探しにやっきになる情報社会 Oops・・・ うんざりしながらチラ見すればParanoia」「別の道に目をとられるから 今張る道にも迷う Halation」といった日常が嫌になる歌詞が前提にある。
 だが、勿論、それを愚痴る歌ではない。そんな日常を前向きに生きる為にキーワードとなるのは、「この今」「ゴール」だとダンエモンは捉えている。

 個人的には刹那的なものの考え方は好きじゃない。刹那的な快楽や喜びを求めるのは人生が順調ではないからに他ならず、そこに根本的な解決はないと考える故に。だが、哀しいかな、人生は得てして苦悩に満ち、その苦しみから一時的にでも逃れるかのように人は刹那的な快楽を求める。勿論ダンエモンも例外ではない。
 そんな刹那的なものに対し、「世界も未来も無限じゃない だから この今を生きる」として、タイトル通りに「Zoom Up」せんとしているところが(個人として例外的に)心地いい。同時に、そんな刹那的な言動もゆくゆくは必ずあるとする「ゴール」に辿り着くことを見据えている点が、一時逃れ的な快楽とは訳が違うことを教えてくれている。

 価値観が多様化する一方で、様々な価値観が横行してそれこそ「何がいいんだか どれが正解なんだか」が見えなくなっている昨今の世である。勿論自分に都合の良い価値観を力(権力・財力・情報力・暴力・その他)でもって押し通さんとする輩はごまんと存在する。
 自分が有力でそれらを押し通せるなら都合の良い人生かも知れないが、そんな人間は一握りで、出来ても一面的なものに限られることが大半であろう。だが、だからといって勝利も成功も期待せず、生きていてもつまらない。最終的には勝者にも成功者にもなりたいし、最後だけ良ければいいと云うものでもなく、過程だっていいものでありたい。
 だからこそ刹那的な成功や喜びに「Zoom Up」しつつも、「ゴール」に辿り着きたいものであるし、同時「My Wish」「My Ideal」も見据え続けたいものである。


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令和五(2023)年一〇月一三日 最終更新