デルザー軍団 全員が大幹部

 古代より人間の世に災厄をもたらした遠い魔の国からやってきた魔人達が改造魔人となって、ブラックサタンの壊滅を皮切りに人間の世界の征服に乗りだした魔の組織である。
 素材が人間ではない為、彼等は戦闘員からして強かった。更に強さだけではなく、組織としての在り様も特異である。一言で言ってヒエラルキーが存在しないのである。厳密には終盤にマシーン大元帥が指揮権を独占したりもしたし、最後には大首領もいたわけだが、発足当初はブラックサタン壊滅に貢献したジェネラル・シャドゥの手柄を認める形で彼を仮のリーダーとし、仮面ライダーストロンガーの首を取った者が真のリーダーとなることに合意した。
 つまりは改造魔人達は合議制を採っていた事がうかがえる。似たような例を挙げると、源頼朝死後の鎌倉幕府かもしれない。十三人の御家人達が合議制で政治を執り行う一方で、暫定的リーダーである北条氏が豪族同士の権力争いを巧みに裏で糸引き、潰し合わせ、権力を我が物にした図式は13人と言う数(デルザーの数の構成の基本)からして似ているところがあるとシルバータイタンは考える。勿論、シャドゥが北条時政である。とすると最終的に政敵を潰し、権力を独占した北条義時はマシーン大元帥と言ったところだろうか?
 そんなわけで、デルザーの改造魔人達は全員が大幹部候補であり、従来の悪の組織の既にその地位に就いていた大幹部達とは一線を画する物がある。部下も戦闘員しかいないわけだし。但し、大幹部クラスの力を持つ彼等が率いる戦闘員はいわば直属の戦闘員であり、仮面、武器、戦闘方法にその特色が現れており、改造魔人と戦闘員達の関わりは深いと言えよう。
 指揮を下すのが一般の戦闘員のみなので、部下に対する接し方としては他の組織の大幹部達ほどには参考にならないかもしれないが、役職持ちの同僚(に見える競争相手)達との接し方や、最下層の多勢の率い方など、やはり見るべき面はある。

1.ジェネラル・シャドゥ(声:柴田秀勝)

 ブラックサタン編から引き続き登場する彼はこのデルザー編においてはリーダーと言うより、謀略者としてのカラーを見せてくれる。
 ブラックサタン壊滅に大きく貢献した彼は、会議の席上で、出席していた7人の改造魔人全員の承諾を得て(一部不満を漏らしたが)、ストロンガーを討ち取るまでの仮のリーダーとなった。とはいえ、ストーリーは真のリーダーを決定する為にストロンガーの抹殺に乗り出すし、その為改造魔人達は我こそリーダーにならんとして独走し出すので、リーダーそのものが形骸化した物になっている。
 シャドゥがやることは苦戦に陥った改造魔人や戦死した改造魔人が出たときに次の改造魔人に出撃を促すことである。勿論シャドゥを初め全員が腹に一物を持っているので、指令も形だけのものであり、シャドゥもそれは百も承知である。
 つまるところストロンガー攻撃には順番があるので、シャドゥの指令はその順番を、攻撃役であることの正当性を与えることにある。
だがその正当性の裏にはシャドゥの改造魔人同士を潰し合わせる陰謀があるのは言うまでもなく、ドクターケイト、ドクロ少佐、オオカミ長官は明らかに気付きつつも自分達なりの陰謀に利用していた。
 しかし権力争いはどうあれ、デルザーの目的は世界征服が目的で、その邪魔となるライダーストロンガーを抹殺しないことには話にならない。ストロンガー抹殺が進まないまま改造魔人達は次々と倒れ、シャドゥは本来の目的の為に自分の片腕とも頼むヘビ女を派遣するもストロンガーとV3の前に彼女を失い、マシーン大元帥の膂力にその指揮権を奪われる。指揮権をなくしたシャドゥは一個人、一謀略家、一戦士としてストロンガー抹殺に執念を燃やす。
 そこには率いる部下すら持たない一人の男がいるだけで、独断専行のために組織内でも孤立、ストロンガーを倒す以外に生きる道をなくし、死を意味する占断を抱えて出撃する。
 結果、ストロンガーに超電子エネルギーを使い果たせるほどの大重傷を追わせるも、自身も超電稲妻キックを食らい、「デルザー軍団、万歳!!」の雄叫びを残して爆死して果てた。雇われ幹部としていい様に利用され、組織交代の勲功により仮のリーダーとして陰謀を尽くし、膂力の前に束の間の権力を失い、一戦士として散ったこの男の最期の台詞が軍団賛美とは何処か皮肉である。
 元々シャドゥは卑怯な手段を嫌う男である。雇われ幹部も仮のリーダーも仮の姿と通過点に過ぎず、大幹部としてのジェネラル・シャドゥはこの書の趣旨に反する存在なのかもしれない、が、それこそがこの改造魔人の魅力であることも間違いない。
 ジェネラル・シャドゥの声を当てたのは声優・柴田秀勝氏である。多くの特撮・アニメで様々なキャラクターの声を当てており、つい近年まで「水戸黄門」のナレーターも勤めていたのは記憶に新しい。また「仮面ライダーBlackRX」のジャーク将軍の声を最後の2回のみ氏が務めていた。
 慣れ親しんだ、加藤精三氏の声がいきなり変わったのは納得のいかない物もあるが、柴田氏のジャーク将軍が悪かったわけではない、またマスカーワールドに関わって欲しい人の一人である。

2.鋼鉄参謀(声:市川治)

 デルザー軍団改造魔人の一人で、改造魔人がいかに恐ろしい存在であるかを視聴者にアピールした。大幹部というよりは豪傑といったタイプで、名前の通り、鋼鉄の肉体を持つ頑丈さと怪力が売り。
 太い鎖に繋がれた巨大な鉄球を獲物としており、「鋼鉄戦闘員」も鎖を武器とし、集団先方による殴打・絡め取り・吊るし上げ・締め上げを得意とする。反面、謀略や共闘は苦手で、筋を通そうとする為に卑怯な振る舞いをする荒ワシ師団長に実力行使に出る際も仮のリーダージェネラル・シャドゥに相談するなど、その動きは鈍い。
 そのために一番名乗りからストロンガー抹殺の一番手の権利を掴みながら、生捕りにしかけたストロンガーを二度も荒ワシに横取りされ、返還を強要するとダミーを掴まされる体たらくである。
 ドクターケイトには手柄を焦って人質を横取りしたために彼女の毒ガスが弱点であることをストロンガーに暴露され、5戦3勝一敗1引き分けの輝かしい対ストロンガー対戦成績を持ちながらその1敗のためにストロンガー電キックを食らって爆死した。結論、直情的で謀略の苦手な彼は典型的な猛将タイプで悪の組織には向かない(笑)。
 鋼鉄参謀の声を担当したのは市川治氏。少し高めの声を持つ彼は「仮面ライダー」で藤岡弘氏不在時の仮面ライダーの声を担当したこともあり、ナチスの残党・ハインリッヒ、ショッカーライダー2号、とその幅は広い。
 また市川氏の担当する怪人には知的なイメージが強く、間抜けな怪人は少ない。指揮官としてなかなかに魅力的な声を持っている。後にマシーン大元帥の声も担当したのも納得のいく物がある。

3.荒ワシ師団長(声:安原義人)

 デルザー軍団の二番手…というより一番手の鋼鉄参謀にちょっかいを出してストロンガーに絡んでくる(笑)。トマホークと盾で武装した鷲の改造魔人である彼はその飛行能力が武器で、配下の荒ワシ戦闘員も飛行・滑空の能力を持つ。
また胴に十字架があり、かつて十字軍遠征で多くの兵士を死に誘った魔人の子孫とする説があるが定かではない。
 性格ははっきり言ってせこい。自ら頭を指差して泄奄驕B閨Aその狡さを避難する鋼鉄参謀にもストロンガーにもどこ吹く風である。そのせこさはブラックサタン壊滅後のデルザー軍団の会議の場を取り仕切るシャドゥにボソッと「へっ、いつのまにかリーダー気取りだ。」と釘を刺すところにも表れている。
 鋼鉄参謀との戦いで気を失ったストロンガーを二度に渡って脇から掻っ攫い、膂力で返還を要求する鋼鉄参謀にダミーを渡し、本物を処刑しようとするが、絶縁体の網に絡め取られたストロンガーは滝壷に自ら飛び込んで帯水させて通電可能となった網を破り、同様に電気技に耐性を身に付けていた荒ワシ師団長も滝壷に引き摺りこまれ帯水したところを水中エレクトロファイアーで倒された。
 リーダーとしても個人としても彼は謀略家である。無駄な労力は極力避ける。但し同僚の評判は最悪で、シャドゥも彼の死を笑っていた(ドクロ少佐が死んだときはその予想外の事実を訝しがっていた。少なくともシャドゥは荒ワシに対してはストロンガー抹殺の成功を期していなかったところがある)。
 彼のタイプの人間がリーダーとして大成するには、そのせこさを承知の上で謀略の効果に絶大の信頼を置かれる必要があるだろう。少なくとも処刑場に選んだ滝壷が敵の地の利となるようでは最悪である。強敵集団デルザー軍団最初の犠牲者になってしまったのも必然である。
 声の担当は安原義人氏。他の声優に比べて怪人の声を担当した例は少ない。独特のだみ声が狡賢い怪人のイメージを巧妙に形成している。後にオオカミ長官の声を後半担当したのも狡賢さを漂わす荒ワシ師団長とダブるところがあるからではないかと思われる。

4.ドクターケイト(声:曽我町子)

 彼女の知名度は凄まじい。何といっても「タックルと相打ち」という歴史上の重要な事実が彼女の知名度を嫌でも磐石な物にしている。その影響を受けたのか彼女の戦闘員は何の取り柄もなく、小学生にも叩きのめされる弱さ(笑)で、リーダーとして彼女の部下教育力には甚だしい疑問が残る。
 鶏頭の改造魔人である彼女の最大の武器は全身に漲らせた毒素で、同じデルザーのドクロ少佐が「俺でも寒気がする。」と述懐し、鋼鉄参謀・岬ユリ子(岡田京子)もこれが元で命を落とした。
 また、毒ガスを発する頭部、毒液を発する鶏頭をあしらった杖、相手に被せて動きを封じてナイフで刺殺する為のマント、と武器や戦略も多彩だが、仲間を平気で落とし入れる冷酷さも武器と言えなくもない。
 手柄の独占欲が強く、ドクロ少佐との共闘も断り、自分の行動を妨害した鋼鉄参謀やからかったドクロ少佐にも敵意を剥き出しにし、同じ女性である岬ユリ子を徹底して狙う、というのが彼女の性格である。
 毒液を浴びせ、ユリ子に致命傷を追わせ、執拗な攻撃を加え、半死半生のユリ子を人質にストロンガーにも毒ガスを吸わせて勝負を優位に運ぶが、死を覚悟したタックルの最終秘技・ウルトラサイクロンを食らって爆死した。
 うーん、個性やタックルとの確執があまりにも強いため戦闘員との絡みも殆どなくリーダーとしての彼女の姿がつかめない…。しいて言えば部下を省みないワンマン型だろうか?
 名前に対して一言言いたい。ケイトは魔女、つまり女である。となると、「ドクターケイト」ではなく「ドクトレスケイト」と名乗るのが正しいと思う。  CVは曽我町子女史。独特のだみ声は悪女役、不気味な老婆役にぴったりで、素顔でも「電磁戦隊デンジマン」、「太陽戦隊サンバルカン」の女王へドリアン役が特撮マニアの間ではあまりにも有名である。

5.ドクロ少佐(声:山下啓介)

 特撮界でも屈指の醜悪な容貌は子供なら戦慄を覚えるだろう。ジェネラル・シャドゥ曰く「デルザー軍団切っての殺し屋」であり、超電子ダイナモ内蔵手術を受ける前のストロンガーの電気パワーでは決して勝てない存在だった。
 大鎌とドクロ忍び戦法を武器に戦う姿はさながら死神であり、彼に従うドクロ忍び戦闘員も手裏剣や撒き菱を使って城茂を苦戦させた。ドクロ少佐は時に茂達の追跡を戦闘員に任せると思いきや、茂の居所を探る為に立花藤兵衛のすぐ近くに自らその身を伏せるなど部下もよく動かすし、自らもよく動く。さながらその姿は中忍である。
 ドクターケイトに共闘を申し出て対ストロンガー戦に参戦したドクロ少佐は後半自らの能力を過信した機来がある。タックルをなくし失意のストロンガーを襲撃し、奇襲と怒りを持って全力でぶつかるストロンガーさえも軽くいなしてグロッキーに追いこんだが、岩石男爵(勿論シャドゥの差し金)の妨害でストロンガーを取り逃がす。立花藤兵衛を張り込んでストロンガーの居所を突き止め、彼を匿っていた正木博士(小笠原弘)を焼殺したが、その間にストロンガーに為されていたパワーアップを知らず、チャージアップして超電子人間となったストロンガーの超電子ドリルキックに断頭され、爆死した。
 要所要所で戦闘員を駆使する彼の用兵はなかなかのものである。戦闘員の定め(笑)でストロンガーには勝てないが、他のデルザーの戦闘員に比べて決して見劣りするものではない。難を言えば一度城茂の謀略にはまって戦闘員全員が彼の姿を見失ったことと、岩石男爵の妨害の隙に逃げた茂の潜伏先を突き止められず、ストロンガーのパワーアップを見落とした点にあり、それが身の破滅となった。
 声の担当は山下啓介氏。初登場時は沢りつ夫氏や八代駿氏がちょこっと担当したが、実際の出番が回ってきてからは山下氏オンリーである。重さに欠けるもののねとつくようなだみ声を発する氏の声は怪奇色充分である。幹部クラスの怪人の声の担当は少ないが、標準的な怪人から三枚目までその声の幅は広い。

6.岩石男爵(声:沢りつお)

 こいつは面白かった!リーダーとしても個人としても。スフィンクスの子孫と称する岩石男爵はジェネラル・シャドゥ曰く、「救いようのない単細胞と柄の悪さだが、あれはあれで使い道がある。」というえらい言われようだが、その通りの男なのである(笑)。
 岩石の塊の体がこれまた岩石の集合体である棍棒を得物にした彼は岩に変身してカモフラージュしたり、攻撃したりする岩石戦闘員を率いてデルザー軍団の「親分」の地位を目指す彼ははっきり言ってバカである。シャドゥやオオカミ長官の入れ知恵にすぐ影響され、うまくいかないとすぐに短気を起こす。ストロンガーを取り逃がした戦闘員をわけのわからん訛りの怒声で叱責して特訓を課すのはいいのだが、その特訓は崖の上からでんぐり返しでひたすら転がるのを50回(笑)。好意的に見て、彼の配下の戦闘員はさぞ根気を身に付けたことと思われる。
 シャドゥの指示でドクロ少佐の死を見届けるべく現場に急行し、ストロンガー危うしと見るやいきなり妨害し、激昂するドクロ少佐に平然と決闘を受けて立たんとする豪胆さを見せる。
 その直後ストロンガーを匿っている車を怪しいと睨んだのはいいのだが、車の中を落石を装って調べながら野菜の中に埋まっていた茂を見落としたのは間抜けだ(笑)。その後、オオカミ長官の入れ知恵でシャドゥが拉致していた立花藤兵衛をこっそり奪ってオオカミ長官と共に城茂と謀ってシャドゥを亡き者にしようとするが、藤兵衛を攫ったことを気付かれないように牢屋内の残したダミーが只の泥人形のため即行でシャドゥにばれる(笑)。
 陰謀がおじゃんになってぶちぎれた彼はひたすらストロンガーに挑むが、超電子ドリルキックに断頭され、残った胴も超電三段キックを受け、爆発四散した。
 声のあてたのは沢りつ夫氏。詳細はゲドンの十面鬼ゴルゴスを参照してほしい。

7.オオカミ長官(声:峰恵研)

 精鋭・狼部隊を率いる彼は色々と見せてくれる。狼男の子孫として高いプライドを持つ彼はシャドゥを「成り上がり者」として蔑み、デルザー軍団のリーダーになるのは勿論、邪魔者となる彼の抹殺も同時に目論む。陰謀に荷担させた岩石男爵をどう思っていたかは推して知るべしである(笑)。
 短槍(何故かブーメランにもなる)と歯型爆弾(要するに入れ歯が爆発する)と満月プラズマエネルギーが武器の彼は狼の集団攻撃を模した集団戦法の精鋭狼部隊を長槍で武装させて敵を襲う。更に目的の為には敵―ストロンガーと手を結ぶことを厭わず、城茂が立花藤兵衛を人質に取られてシャドゥを攻撃できない旨を告げると岩石男爵を焚き付けて藤兵衛を横取りし、それを条件にストロンガーにシャドゥを誘き出させてシャドゥ抹殺を図るなど、自らの手を下さない辣腕ぶりも注目したい。
 岩石男爵の間抜けさの為に(笑)陰謀が露見した後は満月時のプラズマエネルギーのフルチャージを力にストロンガー抹殺を企む。ストロンガーを罠に掛け、眠らせると満月パワーの充填を待ってとどめを刺そうとする。途中隊長ブランクの邪魔が入るが、ブランクのプライドを言葉巧みにくすぐって殺意を殺ぐが、、「俺、お前信用できない!」と断言され結局そのいざこざで逃げられる。その直後プラズマエネルギーを物にした彼はストロンガーの超電子ドリルキックにすら平然としていたが、満月が雲に隠れるやパワーダウンし(笑)、超電稲妻キックの前に戦死した。
 声は前半を峰恵研氏が、後半を安原義人氏が担当。安原氏は荒ワシ師団長の項を参照していただくとして、峰氏は怪人声優の中では出番をさほど多くないものの、ガラガランダ(地獄大使の正体)、吸血マンモス(キバ男爵の正体)といった主要怪人の声も担当している。有名所では「サザエさん」のいささか先生がある。ライダー怪人といささか先生とはそのギャップが笑わせてくれるものである。

8.隊長ブランク(声:辻村真人)

 例えて言えば岩石男爵2号(笑)。彼ほどバカではなく、オオカミ長官の狡賢い性格も見抜いてはいたし、約束を反故にするほどの狡さを持ってはいたが、たどたどしい言語不明瞭な物言いとフランケンシュタインの末裔であることのプライドをくすぐられるやすぐに煽てに乗るなど、おおよそ利発さには程遠い。
 弾丸の変わりにナイフが飛び出すライフル銃と怪力を武器とした彼は配下にも同じ装備をさせている。もっとも喋ることがあまり得手でない彼は配下への指令も少なく、極めてオーソドックスに正面からストロンガーにかかっていくので特筆すべき事柄もなく、軍団内においてもその影は極端に薄い。最期は超電急降下パンチを三発頭部に受けて地面に首まで埋められたところで掘り出すように投げ飛ばされて爆死した。
 CVは辻村真人氏。詳細はブラックサタンのデッドライオンの項を参照していただきたい。

9.ヘビ女(声:瀬能礼子)

 ジェネラル・シャドゥが自らの片腕と称し、信頼する改造魔人。蛇への変身能力、催眠術、蛇状の鞭、電気エネルギーを吸収するマント、毒が武器で配下の戦闘員達も蛇への変身能力を持つ。
 シャドゥの片腕としての存在感が強い為、リーダーとしての彼女の存在感は薄い。同時に隊長ブランクが挑んでいたが、一切共闘するシーンはなかった。このコーナーとしては何とも扱いづらい存在である。彼女自身者ドゥの懐刀に徹していた(シャドゥに対して「ジェネラル−」、「―様」と尊称をつけて接していた)し、シャドゥもまた、そんな彼女がストロンガーとV3の挟撃に遭いかけたときは即行で駆けつけ、V3と戦うなど、他の改造魔人には決して見せなかった一面を見せていた。
 シャドゥの援軍虚しく超電大車輪キックに倒れる。シャドゥはその死を深く悲しんだ…、うーんリーダーとしての彼女が見えないよ−(泣)。
 ヘビ女の声は瀬能礼子女史が当てた。「仮面ライダーX」でムカデヨウキヒの声を担当した以外にこれと言った印象がないのが残念。

10.マシーン大元帥(声:市川治)

 ヒエラルキーが存在しない筈のデルザー軍団内において唯一強権を発動できた存在。シャドゥも磁石団長もヨロイ騎士も彼には敬意を払っていた(シャドゥは上辺だけだが)。他のデルザー軍団同様独自の戦闘員を率い、他の改造魔人の上位に立ち、ストロンガーを始めとする仮面ライダー達との戦いだけでなく、テロの作戦立案・指揮も行っていた彼はリーダーとしてみるべき面が多い。
 ミイラ男の末裔、と設定にはある(しかしミイラやフランケンがどうやったら子孫を残せるんだ?)。額から発する怪光線(魔のレッドピラミッドパワーらしい、常人なら砂と化す)、機関銃、ライダーキック(1号)やV3キックにも耐え得る頑健な体(グロッキーにはなったが)を武器に四日市コンビナート爆破作戦、富士ダム破壊作戦、ジェット燃料爆破作戦、東京水没作戦、そしてそれらに絡む仮面ライダー迎撃を立案・指揮し、その内の一部を成功させている。
 日本に乗り込むやジェネラル・シャドゥの仮の指揮権を奪い、前述の数々の作戦を指揮した彼はシャドゥに有無を言わせなかった。表面は従うシャドゥが作戦失敗を皮肉ってもすぐに次の策を出し、更に自らの作戦がシャドゥの妨害で失敗に終わった際もそれを看破して彼の背信をたてにストロンガーに挑ませた。結果シャドゥは戦死したが、超電子エネルギーを使い果たしたストロンガーを捕らえることに成功したのだから、部下の裏切りに対処する能力も優れていたわけだ。
 ストロンガーを先に捕えたV3、ライダーマンと共に捕虜にし、それを誇示するために立花藤兵衛の前にカブトロー、ハリケーン、ライダーマンマシーンで現れたりもした(後の二台は磁石団長・ヨロイ騎士が運転)。
 しかしこの直前に彼はとんでもなく間抜けなことを言っていた。3人ライダーを捕え、ストロンガーを囮に残るXライダーとアマゾンライダーを捕えようとしたところ、ヨロイ騎士が「仮面ライダーには1号と2号というのがいたそうだぞ。」といった時にマシーン大元帥は「そんなのは只の伝説だ。」と言い放った。彼は仮面ライダーV3の「3」の意味を一瞬たりとも考えはしなかったのだろうか?この為にストロンガーを囮にXとアマゾンを捕えようと罠を張った大元帥は二人のライダーが救出に来ず、ヨロイ騎士達の作戦を妨害しているとの報に触れ、困惑している隙に1号、2号にストロンガーを奪われた。
 その後Wライダーに一時捕虜になるも隙を見つけて逃れた彼は逆にWライダーを罠に嵌めるが、これは回復したストロンガーに妨害された。そして虎口を逃れた3人ライダーはマシーン大元帥に襲いかかり、2号が彼と対峙し、ストロンガーは磁石団長の破壊工作を妨害し、それを迎撃しようとしたヨロイ騎士には1号ライダーが立ちはだかった。三者三様の戦いの果てに磁石団長はストロンガーの、ヨロイ騎士は1号の捕虜となるが、さすがにマシーン大元帥は2号を討ち取らんばかりに攻め立てるが、二人の捕虜を連れたライダーに止められる。このときも大元帥たる彼は即座に人質交換を申し出て交渉の優位を取り戻す。しかし、持ち駒だったV3、ライダーマンはX、アマゾンに救出され、7人ライダーの前にデルザーは全滅かと思われた。
 大首領の助力を得てその場は二人の捕虜を連れて逃げた大元帥は続く大首領の復活宣言で甦った再生怪人を率いて7人ライダーに挑むが、磁石団長・ヨロイ騎士・再生怪人軍は6人ライダーに敗れる。万策尽きた彼はストロンガーを道連れに自爆せんとするが、電パンチにふりほどかれ、「聞けいっ!7人のライダーども、デルザーは、デルザーは滅びぬ!!」と叫び、爆死した。ちなみにこの時の自爆は具体的な自爆への動きが見られなかったために一部のマニアは彼が只のパンチの前に死んだと考えているが、シルバータイタンはライダーキックにも耐えた彼の体がチャージアップもしないストロンガーのパンチだけで死ぬとは考え難い。やはりストロンガーに組み付いた瞬間に体内の自爆装置を起動させていたのだろう。
 かくてデルザーは岩石大首領を残して全滅した。ライダー第一シリーズ最期の大幹部とも言えるマシーン大元帥の声を担当したのは市川治氏。詳細は鋼鉄参謀の項を参照のこと。

 

11.磁石団長(声:沢りつお)

 マシーン大元帥の日本着任に呼応するようにアマゾンからやってきた改造魔人。彼を追ってどのライダーが帰ってきたか説明の必要はあるまい(笑)。完全なマシーン大元帥の懐刀。磁石のSとNを両端につけたみょうちくりんな棍棒と改造人間の電気メカニズムを破壊するミニ磁石、更には増幅装置を利用してジャンボ機をも墜落させる磁力が武器である。
 ジャンボ機を墜落させたり、地震発生装置でV3を捕えたりするなど、けっこう活躍もしているのだが、いかんせん大掛かりな装置に依存するところが大きく、リーダーとしての彼にこれと言った特色は見当たらない。やっていることが只の怪人と同様に成り下がっているのが悲しい。また短気な性格からシャドゥともよく対立した。シャドゥもマシーン大元帥は表面上立てていたものの、彼の威を借る磁石団長には半ば侮蔑を持って接し、作戦密告を咎められたときは逆ギレしていた。
 マシーン大元帥の命令で一線でテロを行う為、終盤ストロンガーと戦ったのは殆ど彼で連敗した。主人公を敵に回した悲劇である(笑)。最期はヨロイ騎士・再生怪人軍団と共に6人ライダーと戦い、主に1号と激闘を繰り広げるが、他の怪人たちと共に原因不明瞭の爆死を遂げる。
CVは沢りつ夫氏。ゲドン・十面鬼ゴルゴス参考のこと。

12.ヨロイ騎士(声:池水通洋)

 磁石団長とよく似た経歴を辿る。主にヨーロッパで暗躍していた改造魔人で、ギリシャでライダーマン、スペインでXライダーとも交戦していたらしい。マシーン大元帥の日本着任に呼応して四日市で石油コンビナートを爆破して四日市を火の海にしようとするが、Xライダーとアマゾンの妨害に会う。このとき二人ライダーに敗れるものの、フェンシングフォイルと短剣を駆使し、二つの得物を交差させてそのスパークによる「高速熱線」でコンビナートの一部を破壊している。
 磁石団長同様、完全にマシーン大元帥の懐刀と化していた彼の任務は主に破壊工作に従事する磁石団長の妨害に来る仮面ライダーの迎撃である。作戦妨害のおいしいところは主役のストロンガーが持っていくので、その為にヨロイ騎士は2号ライダーを除くすべてのライダーと交戦し、ライダーマンには完勝し、X、アマゾンのタッグには連敗したものの堂々と渡り合い、V3とは最終決戦を飾った。1号ライダーには叶わなかったが、ライダーキックを受けて死ななかったのはさすがだし(気絶したが)、捕虜になって弱音を吐いた際もその直後に幾ばくかの潔さも見せていた。
 磁石団長同様の最期を遂げた彼は一改造魔人としてなかなかに活躍したが、7人ライダーが勢揃いする中では戦闘員にはスポットの当たりようもなく、彼のリーダーシップの程は不明である。全然関係ないが、彼及び戦闘員の掛け声である「カッチュウ、カッチュウ」には笑わせてもらった。
 CVは池水通洋氏。通常の怪人の声だけでなく、時にヒーローの声もやる。ショッカーライダーNo1や「仮面ライダー(スカイライダー)」でストロンガーの声を務めたのはなかなかのものだった。

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