仮面ライダーBlackRXの必殺技
指定必殺技:リボルケイン
仮面ライダーBlackRXとリボルケイン
怪魔界からやって来たクライシス帝国によって仮面ライダーBlack への変身機能を破壊され、宇宙の藻屑となるべく大気圏外に放擲された南光太郎(倉田てつを)が、太陽の光を浴びたキングストーンの反応により、「太陽の子」として転生したのが仮面ライダーBlackRX である。
単純比較で仮面ライダーBlack の三倍の身体能力を持ち、かつてはゴルゴム次期創世王候補の証として、忌まわしい存在でもあったキングストーンは、意思を持つ石(注:洒落ではない)として、光太郎の良きアドバイザーであり、命ともなった訳だが、そのキングストーンを内蔵したとして変身ベルト:サンライザーは、腹部のサンバスクより取り入れ、蓄積された太陽光エネルギーをもって、RXに凄まじい戦闘能力を与えた。
そのサンライザーにて集中された太陽エネルギーが結晶化することで生成された、光の剣状の杖こそがリボルケインである。
同じ杖状の武器でも、仮面ライダーXのライドルスティックのように戦闘時の初めから用いられることはなく、多くは相手をかなりグロッキーに追い込んだ果ての、止めを刺さんとする時にサンライザーから取りだされた。
渾身の力を込めて怪魔獣人・怪魔妖族・怪魔ロボット・怪魔異生獣の腹部にリボルケインを突き刺さしたRXは、敵に致命傷を与えたと見ると、手早くリボルケインを引き抜き、頭上において右手で一回り旋回させ、一瞬左手を添え(その際に乾いた音がする)、右手下段に振り払っていた。
その時には敵は爆破四散しており、この流れが殆どすべてに近い怪魔獣人・怪魔妖族・怪魔ロボット・怪魔異生獣を葬り去った(この為、この技を呼称とは別の「リボルクラッシュ」の名で呼ぶ人もいる)。
リボルケインを喰らった敵は、エネルギーの奔流の為、貫いた先から火花が噴出する。そしてRXがそれを抜いてその場から距離を取った後に、体を仰け反らす等のアクションで苦悶の態を示した後に倒れ伏して爆発四散するのが多い。
必然、この悶絶中に、通常の怪魔獣人・怪魔妖族・怪魔ロボット・怪魔異生獣なら断末魔の叫びが、百目婆ァの様な難敵はそれに相応しい捨て台詞が、ボスガン・ジャーク将軍・クライシス皇帝の様な首領・幹部は敗北の悔しさ、好敵手・帝国・主君への賛美、宿敵への呪詛等を叫ぶこととなった。
考えてみりゃ、結構残酷な技である。
では、その戦績・ステータス・存在意義などを考察しよう。
考察1 リボルケインの戦績
まあ、何といっても、前作である『仮面ライダーBlack』が「それしか技が無いのか?」と言いたくなるぐらい、ライダーキックが決着の殆ど全部を担った訳で、ロボライダー・バイオライダーへの多段変身とその技が他書の幅を利かせたことにより、前作程ではないとはいえ、リボルケインという一つの技が決着を占めた割合はかなり高いものがある。
例によって、その戦績は下表を参照して頂きたい。
登場怪人 | 死因 |
スカル魔スター | 自爆 |
キューブリカン | リボルケイン |
ガイナギスカン | リボルケイン |
ガンガディン | リボルケイン |
ガイナガモス | リボルケイン |
キュルキュルテン | リボルケイン |
武陣 | リボルケイン |
ガイナマイト | リボルケイン |
アッチペッチー | リボルケイン |
ドグマログマ | リボルケイン |
スクライド | リボルケイン |
ズノー陣 | リボルケイン |
フラーミグラーミ | リボルケイン |
デスガロン | ボルティックシューター |
ネックスティッカー | ボルティックシューター |
トリプロン | バイオブレード |
ムサラビサラ | リボルケイン |
クロイゼル | ボルティックシューター |
ビャッ鬼 | バイオブレード |
バングコング | バイオブレード |
アントロント | リボルケイン |
ガイナバラス | リボルケイン |
リックバック | リボルケイン |
ガイナカマキル | リボルケイン |
ガイナギンガム | リボルケイン |
マットボット | リボルケイン |
ギメラゴメラ | リボルケイン |
ムンデガンデ | リボルケイン |
メタヘビー | リボルケイン |
エレギトロン | リボルケイン |
岩魔 | リボルケイン |
ガゾラゲゾラ | リボルケイン |
シュライジン | リボルケイン |
ウィル鬼 | リボルケイン |
バルンボルン | リボルケイン |
ガイナニンポー | リボルケイン |
天空 | リボルケイン |
スピングレー | リボルケイン |
ガイナジャグラム | バイオブレード |
百目婆ァ | リボルケイン |
ゲドリアン | エネルギー過重により粉砕 |
ゲドルリドル | リボルケイン |
ガテゾーン | RXキック |
ヘルガデム | リボルケイン |
ボスガン | リボルケイン |
グランザイラス | 内部からの攻撃 |
ジャークミドラ | リボルケイン |
マリバロン | クライシス皇帝に倒される |
クライシス皇帝 | リボルケイン |
BlackRXとの戦闘率 | 100.00% |
決着率 | 93.88% |
リボルケインによる必殺率 | 80.43% |
最初に登場した怪魔妖族スカル魔及び怪魔妖族スカル魔スターは怪魔兵団にあって、戦士というより諜報員としての役割が強かった為に仮面ライダーBlackRX との決着はつかなかった(正確には自爆した)が、次いで出てきた怪魔ロボットキューブリカンを始め、その後続々と繰り出された怪魔兵団の尖兵達は次々とリボルケインの前に討ち取られた。
第15話〜第17話における怪魔界での戦いにてロボライダー・バイオライダーへの多段変身習得後こそ、一時的にボルティックシューター(別名:ハードショット)やバイオブレード(別名:スパークカッター)に止めの役割を譲った時もあったが、地球に帰還して程ない第22話以降は殆ど100%に近い割合でリボルケインが決着をつけるようになった。
結局のところ、リボルケインは最終回に至るまでメイン必殺技のステータスを譲ることなく、リボルケイン以外の技で倒されたのは、バイオブレードに討ち取られた怪魔獣人ガイナジャグラム、道連れ自爆の為に首だけにて戦線離脱した所にRXキックを喰らって果てた機甲隊長ガテゾーン、ミクロ化したバイオライダーのバイオブレードにて内部から破壊された最強怪人グランザイラスだけなのである。
そう、リボルケインの前には海兵隊長ボスガンはもとより、最強怪人ジャークミドラ=地球攻略兵団最高司令官・ジャーク将軍、クライシス皇帝さえもが死を免れなかったのである。
つまりリボルケインは登場頻度だけではなく、必殺力でもかなりステータスを占めていることが断言出来る。リボルケイン以外の技で倒された敵も、リボルケインが使用される前に他の技で倒された訳で、リボルケインの直撃をものともしなかったのはグランザイラスしかいないのである。
そのグランザイラスが「皇帝陛下の最終兵器」と称され、仮面ライダー1号〜仮面ライダーZXの10人の猛攻をも簡単に凌ぎ、逆に圧倒していた戦闘能力を考えると、破られたり、とはいえ、リボルケインが如何に文字通りの「必殺」技であるかが窺い知れるというものである。
かように、リボルケインの必殺技としてのステータス及び能力に疑いの余地はない。しかしながら、シルバータイタンは仮面ライダーBlackRXがリボルケインだけのライダーとは思っていない。リボルケインに確かなステータスを持ちつつも、それと対比しつつ主人公と作品を盛り上げた技・能力・設定があった訳で、その辺りは別の考察に譲りたい。
考察2 リボルケイン以外の決着
この作品におけるリボルケインに限らず、すべての作品においてたった一つの技がすべての勝負の決着となった例は皆無である。リボルケインにした所で、全勝負における決着率は前述したように80.43%で、単純計算で5体に1体は別の技で倒されている。
その詳細に触れると、怪魔ロボットデスガロン、>怪魔ロボットネックスティッカー怪魔ロボットクロイゼル
がボルティックシューターで、怪魔ロボットトリプロン、怪魔妖族ビャッ鬼、怪魔異生獣バングコング、怪魔獣人ガイナジャグラム、グランザイラスがバイオブレードで(グランザイラスだけスパークカッターとは様相が異なるが)、ガテゾーンがRXキックで、討ち取られている。
また、正式な勝負にカウントしなかったが、諜報参謀マリバロンの妖術で甦った霊界怪人8体(スカル魔スター、キュルキュルテン、ズノー陣、アントロント、ガイナカマキル、メタヘビー、エレギトン、ガイナニンポー)を金の羽による機能停止後に一網打尽にしたのはバイオブレードである。
直接RXに討ち取られた訳ではない例を挙げると、怪魔異生獣ゲドルリドルにRXを打倒させる為に自爆覚悟で自らの体を媒介としてクライス要塞のエネルギーを送り続けた為にエネルギー過重によりその身を一塊の砂塵と化して果てた牙隊長ゲドリアン、クライシス皇帝の怒りを買って処刑されたマリバロンがいる。
まあ、実際に一つ一つの例に触れても大してスペースを取らないことからもリボルケインの決着占有率が良く分かるのだが、それでもシルバータイタンが仮面ライダーBlackRX をリボルケインだけのライダーとは思わないのは、数えるほどしかないリボルケイン以外の決着にも見るべきがあるからである。
詳細は後述するが、多段変身後のロボライダー・バイオライダーによるボルティックシューター・バイオブレードによる決着もカッコいいものがあるし、何といっても主要な戦いの決着にそれなりの考慮が為されている所に注目したい。
主要な戦いとなると、勿論終盤における、四大隊長・最強怪人・ジャーク将軍・クライシス皇帝との戦いを差すことになる。
都合7体の内、リボルケインで倒されたのはボスガン・ジャーク将軍・クライシス皇帝の3体である。残り4体の内、ゲドリアンは自爆に近く、ガテゾーンは肉弾技であるRXキックに敗れ、グランザイラスは内部から破壊され、マリバロンに至っては刑死である。
そう、リボルケインの前に敗れた者達以外は個々の死に様が全く異なるのである。ついでを言うと、純粋にRXに倒されたのかどうかさえ異なるのである。殊にゲドリアンは「RXに敗れた。」とは言えるが、「RXに倒されたとは」断言し難い。
こうしてみると、リボルケインは最期の敵をも打倒した必殺技として確かなステータスを持ちつつも、主要な戦いの一部を敢えて譲ることでその戦いを盛り上げ、作品のクライマックスの盛り上がりにも貢献した。
それ以前だけを見ると、「他に技は無いのか?」と言いたくもなるが(笑)、最後の盛り上がりと多様性を見れば、クライマックス手前まで愚直なまでに一つの技に徹したことにも一定の理解は認められるものである、とシルバータイタンは考える。
考察3 多段変身に見るリボルケインのステータス
前述したように、リボルケイン以外の決着となると、ロボライダーのボルティックシューター、バイオライダーのバイオブレードが大勢を占める。
実際、多段変身後のロボライダー・バイオライダーは能力に偏重が見られるものの、その特殊性と得意とする能力の高さは凄まじく、ボルティックシューターは、戦いぶりからも怪魔ロボット大隊の中でも最強クラスであることが容易にうかがえるデスガロンを瞬時に討ち破り、バイオブレードはデスガロン抹殺の密命を受けるほどの怪魔ロボットトリプロン1号・2号・3号をまとめて一刀両断にし、最後の怪魔獣人であるガイナジャグラムや、(金の羽による機能停止後ではあったが)不死身の霊界怪人や、10人ライダーが敵わなかったグランザイラスをも(体内からの破壊、という些か卑怯な戦術ではあったが)倒している。
さすがに己の肉体を駆使して行われる白兵戦に対して、飛び道具は卑怯な技の色合いが強いのか、果てまた通常の人間である佐原茂(井上豪)・ひとみ(井村翔子)の兄妹にも簡単に使用出来た為か、ボルティックシューターは決着技としては2回の出番で終わり、牽制技や、構造物の破壊としての役割に落ち着いた感があったが、それでもバイオブレードとともに、決まり技としてのステータスはリボルケインに返上したとはいえ、出番そのものは全く減らしていないことに注目したい。
つまりはロボライダー・バイオライダーがRXの戦術・戦略に適応したスタイルの位置に落ち着いて、決着の立場こそ本来のRXとしての姿に譲ったのに応じて、個々のスタイルにおけるフェイバリット・ホールドであるボルティックシューター・バイオブレードもまた同じ譲り方をリボルケインに対して行ったといえる。
仮面ライダーBlackRXにとってのリボルケインが、ロボライダーにとってのボルティックシューター、バイオライダーにとってのバイオブレードであったように。
その証左になるかどうかはい微妙だが、クロイゼルをボルティックシューターで、ビャッ鬼・バングコング・ガイナジャグラムをバイオブレードで倒した際のロボライダー・バイオライダーのポージングが、リボルケインを決めた際のRXのポージングと似たムーブメント持っていることを挙げておきたい。
総論 難を言えば、番組の始まりから終盤までの間、ごく一部を除いてリボルケインによる決着のみに偏重し過ぎたことだろう。
多段変身習得直後や、クライマックスのように数回に一回程度の頻度でリボルケイン以外の決着を混ぜていれば、リボルケインの確かなステータス・インパクトを保ちつつも、「次回はどんな決着が為されるのか?」という楽しみが持て、作品を一層盛り上げたのではないか?との推測が悔やまれる。
殊にシルバータイタンが惜しむのはRXキックである。キューブリカンとの戦いをモニターしていたマリバロンはRXキックが仮面ライダーBlackのライダーキックの三倍の破壊力があることを瞬時に計測したが、キューブリカンが致命傷を負わなかったことを持って、クライシス帝国の手強さを示すのに使用された為か、多大な破壊力を持ちながら、RXキックは牽制技としてのステータスしか持ちえず、ガテゾーンに止めを刺したのが唯一の見せ場となっていたが、それでも、この時のガテゾーンがRXを倒す為に爆弾である自らのボディを捨てた後の首だけの姿であったことを考えると、致命傷を与えたことに間違いはないのだが、些かインパクトには欠ける。
こうして見ると、やはり『仮面ライダーBlackRX』は『仮面ライダーBlack』の後番組に相応しく、戦いよりも人情に重きが置かれた番組であることが分かる。
番組の経緯・背景を見ても、「クライシス帝国との遭遇と仮面ライダーBlackRXへの転生」→「一連の戦いと光の車・ライドロンの制作」→「怪魔界潜入(多段変身習得・霞のジョー(小山力也)との邂逅)」→「シャドームーンとの再会と別れ」→「査察官ダスマダー大佐 (松井哲也)の襲来と数々の基地建設を巡る攻防」→「霞のジョー・的場響子(上野恵・現:深山凛)の再会」→「幹部達との決着と10人ライダーの帰国」→「最終決戦」と、視聴者を飽きさせない見事な作りになっている一方で、単発ストーリーにも名作が多かった(一つ一つを挙げればきりがないので詳細は割愛)。
決して戦闘や技を馬鹿にする訳ではないが、ストーリーに重きを置かれたからこそ、必殺技は単調でも強力な位置付けを失わなかった偉大なワンパタを為した『仮面ライダーBlack』並びに『仮面ライダーBlackRX』に敬意を表するとともに、第3期シリーズがここで終わってしまっていたことが惜しまれる次第である。
さて、作品の内容に詳しい方なら、シルバータイタンは考察1で示したの表の中に、正式な戦いとして霊界怪人とともにもう一つ、重大な例を加えていいないことに気づかれていると思う。
それは影の王子・シャドームーンとの決着である。
前作で仮面ライダーBlackに敗れ、一度は死したシャドームーンは打倒仮面ライダーBlackRXの執念だけで過去の栄光と記憶のすべてをかなぐり捨てて甦ったが、都合2回の戦いの中で一度目はアントロントの、二度目はクライシス帝国四大幹部の妨害で水入りとなった。
最後はRXの「己の野望の為なら泣き叫ぶ子供も見殺しにするのか?そこまで堕ちたのか、シャドームーン!!」の一喝を受けたことと、キングストーンにリボルケインの一撃を受けたことをもって、勝負における敗北を悟ったシャドームーンは、クライシス帝国の陰謀を明かし、怪魔異生獣マッドボット退治をRXに託すと、二人の子供の救出に向かった。
子供達を救出した後に力尽きたシャドームーンだったが、前述したように、口頭上では負けを認めており、事前にリボルケインをキングストーンに受けて致命傷を負ったとも取れ、仮面ライダーBlackRXとの戦いの内に死したとも取れるのだが、シルバータイタンは敢えて無視した。
「信彦!?」の呼び掛けに言葉では断固として拒み、自らがシャドームーンであることと、いつの日か仮面ライダーBlackRXを倒すことにこだわったシャドームーンだったが、プライドや勝負よりも泣き叫ぶ子供の命を優先したその後ろ姿は、RX=南光太郎にとって、紛う事無き秋月信彦(堀内孝人)で、その決意に呼応するように、力尽きたシャドームーンは最後の最後で光太郎の両腕の中で信彦に戻っていた。
兄弟同然に育った二人の親友が、一面では運命に翻弄された宿敵であり、一面ではその能力・人格に敬意を払い合う好敵手であった。そんな二人が言葉では敵のままに終わったが、心では元の兄弟=大親友に戻ったのである。この結末に勝敗や技を持ちこみたく無かったシルバータイタンの心情を御理解頂ければ幸いである。特撮番組とは決して正義と悪の殺し合い番組ではないのである。
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平成二三(2011)年八月一七日 最終更新