仮面ライダー2号の必殺技

指定必殺技:ライダーキック


仮面ライダー2号とライダーキック
 基本的に仮面ライダー2号の放つライダーキック仮面ライダー1号の放つそれと同等のものである。アレンジ技の数は1号に比べて圧倒的に少なく、「力の2号の呼称に相応しく、僅かな例外を除いてライダーキックは飛び蹴りそのままにショッカーの改造人間達を葬り続けた。

 このサイトを見ている方々の中には「仮面ライダー2号と言えば、ライダーパンチじゃないのか?」との異論を呈する方も少なくないと思う。
 確かに2号ライダーの放つライダーキック1号ライダーの放つそれに比べて存在感が薄い。後年、劇場版『5人ライダー対キングダーク』『仮面ライダー(スカイライダー)』での客演時に「2号ライダーキック」と呼称していたのもその存在感の薄さと無縁ではないだろう。だがシルバータイタンとしては、純粋に仮面ライダー2号が主役として戦った中で最も多くのショッカー怪人を地獄に追い返した戦績を持つ技としてライダーキックを挙げた(この選択基準は他のライダーにも共通する)。

 ここまでの論述だけを見ると仮面ライダー2号ライダーキックが個性に欠けるワンパターンな必殺技に見えるが、ここは「力の2号としての設定に注目したい。
 仮面ライダー1号「技の1号と呼ばれ、48の技を持ったが、言い換えれば基礎となる力だけで怪人を倒し切れず、アレンジ技や他の荒技を必要としたと言えなくもない。
 それに対して、仮面ライダー2号はあくまで基礎スペックに徹したと言える。つまりは力に優れる故に技を必要しなかった、という理論である。まあ、こういうと1号が弱く聞こえるが、結局は技にこだわったか、力にこだわったかの方法論の問題である。
 仮面ライダー1号は第52話と第53話の間でわざとショッカーに捕まり、再改造を経てパワーアップするとともに48の技を伴って戦場に立ったが、第52話のラストで死神博士を追って南米に旅立った仮面ライダー2号は第72話で現在の新2号としてのスタイルに変わるとともに特訓によるパワーアップを果たした。この辺り両者は好対照である。

 では、技に走らず、基本となるキック技に徹した仮面ライダー2号ライダーキックはどんなステータスを持つのか?「力の2号と呼ばれる設定、ライダーパンチとの比較等を交えながら見てみよう。
考察1 ライダーキックの戦績
 仮面ライダー2号が主役としてショッカーと戦った第14話から第52話の間に、純粋にライダーキックは下表に見られるように半数を超える怪人を倒している。

登場怪人死因
サボテグロン自爆失敗
ピラザウルスライダーキック
ヒトデンジャー水没
カニバブラーライダーパンチ
ドクガンダーライダーキック
アマゾニアライダーキック
ムササビードルライダーキック
キノコモルグライダーキック
地獄サンダーライダーキック
ムカデラスライダーキック
モグラング生コンへの突落し
クラゲダールライダーキック
ザンブロンゾライダーキック
アリガバリライダー卍キック
ドクダリアン火中への投げ飛ばし
アルマジロングライダーキック
ガマギラーセスナ破壊
アリキメデスライダーキック
エジプタスライダーキック
トリカブトマンションからの転落
エイキングライダーキック
狼男ライダーパンチ
スノーマンダブルライダーキック
ゴースターダブルライダーキック
ハエ男ライダー回転キック
プラノドンライダーキック
カビビンガライダーキック
ナメクジラライダー二段返し
ベアーコンガーライダーキック
トドギラーライダーキック
ヒルゲリラライダーキック
イソギンチャックダブルライダーキック
カメストーンライダーキック
ユニコルノスダブルライダーキック
ギルガラスダブルライダーキック
ライダー2号との戦闘率100.00%
決着率100.00%
ライダーキックによる必殺率54.29%

 35に及ぶ戦いの中、途中で仮面ライダー1号も加わって、共同で決着をつけた例を除くとなると、仮面ライダー2号が単独で戦った中でのライダーキックで決着をつけた率は65.52%となり、仮面ライダー1号と共にはなったライダーダブルキックを含めてキック技が勝負を決めた確率となると74.29%に及ぶ。

 上記の戦績を考察すれば、仮面ライダー2号とは2号の名が示す如く、仮面ライダーとしての在り様に忠実に徹したと見れる。
 前述したように「仮面ライダー2号と言えばライダーパンチ」という見方は根強く、正直シルバータイタンもそれを否定する気は更々無く、その点については後述するが、ライダーキック仮面ライダー2号の戦績を語る上において、アレンジ技であるライダー卍キックライダー回転キックとともに大きな存在感を持っていることは触れておきたい。


考察2 ライダーキックとライダーパンチ
 ライダーキック仮面ライダー2号の戦績の半数以上を占めるのに対し、ライダーパンチカニバブラー狼男を倒したに過ぎない。
 それにも関わらずライダーパンチ2号ライダーの必殺技としてライダーキックを遙かに上回る存在感を持っている。そしてそれを証明するかのように『仮面ライダーSPIRITS』にて仮面ライダー2号がいの一番に繰り出した技はライダーパンチだった(それも2頁を使った大画面で)。

 何故に、戦績で遙かにライダーキックに及ばないライダーパンチがこれほど注目されるのだろうか?

 理由は2つ考えられる。
 1つはライダーキックが決まり技として多用されたことが個性を失っている点である。まだこのライダーキックが純粋オリジナルなら絶大な存在感を持つのだが、既に仮面ライダー1号が必殺技としてのステータスを確立させた後では分が悪い。
ウルトラマンシリーズでもウルトラマンジャックの放つスペシウム光線が初代ウルトラマンのスペシウム光線に比して必殺技としての存在感が薄い例と共に見てみると分り易いかと思う。

 もう1つの理由はライダーパンチが要所要所で使われたことにある。
 対戦したショッカー怪人の半数以上を倒したライダーキックだが、仮面ライダー2号が3番目に対戦したヒトデンジャーにして早くも通用しないケースが現れた。だが、このヒトデンジャーは間抜けにも弱点である水に触れて自滅してくれた。
 だが、次に控えていたカニバブラーライダーキックに耐えた後も仮面ライダー2号と戦い続けている(途中で逃げようとしたが)。そしてこの戦いに決着をつけたのがライダーパンチである。勿論それまでに蓄積したダメージもあるのだが、結果だけを見ればライダーキックで倒せなかった相手をライダーパンチで倒したことになる。
 また、ライダーパンチゾル大佐(宮口二郎)の正体である狼男を倒してもいる。つまりは「最初の大幹部を倒した記念すべき技」とのステータスを得ているのである。何事も一番手の存在感は大きい。

 上記以外にも最終回ではライダーパンチの連打(技の呼称は無し)で再生エイドクガーを倒している。
 実際の所、常人でもパンチとキックとでは、余程パンチ・手刀・鉄槌・裏拳・指拳に拘って鍛える格闘技の達人でもなければキックの方が強いだろう。
 しかしながら、仮面ライダー2号の場合、ライダーキックライダーパンチに劣らぬ戦績と必殺力を持ちながらも、ステータスを持ち得なかったのも、決まり技として中途半端に定着したことが、個性を無くした点に尽きよう。
 別の見方をすれば、基礎となるパンチ・キックの破壊力が仮面ライダー1号に勝る故に必殺力のあるパンチ技を持たない1号に無いものが2号に求められたのかも知れない。


考察3 仮面ライダー2号のアレンジ技
 当然のことだが、「技の1号に対して「力の2号が持つ技はシンプルである。
 実際、仮面ライダー2号の技は大きく分けて、ライダーキックライダーパンチライダー返しの3つに分けられる。

 ライダーパンチに関しては詳細を上記に記しているので繰り返さないが、ライダーキックにはアレンジ技として、ライダー卍キックライダー回転キックがある。
 ライダー卍キックアリガバリに敗れた敗残の身を奮い立たせて猛特訓を積んだ果てに会得した経緯もあって有名な技で、『仮面ライダーSPIRITS』での再登場を喜んだ方も多いだろう。また、ライダー回転キックで葬られたハエ男は素体となった人間からして子供を轢逃げして全く悪びれない冷血漢で、通常のライダーキックで倒せない特別な事情があった訳ではないが、ライダーキックをより強化した(と思われる) ライダー回転キックがわざわざ駆使されたことにも妙に納得がいく。

 一応ライダー返しについても触れておくと、(表にはないが)再生サラセニアンを葬り、ライダーキックに耐えたナメクジラがアレンジ技であるライダー二段返しで討ち取られている。

 このように、2号ライダーにも1号程ではないが、基本となるライダーキックでは討ち取れない相手に対して、基本技を強化したアレンジ技による決着が見られる。
 それらがあくまで基本を重視し、派手さは無くとも重厚感を増した姿が取られているのが「力の2号らしいと言えよう。


総論 今更語るまでもないことだが、仮面ライダー2号仮面ライダー1号本郷猛を演じていた藤岡弘(現:藤岡弘、)氏の撮影中の負傷により急遽誕生した。
 仮面ライダー2号一文字隼人を演じる佐々木剛氏は藤岡氏とは同じ劇団の同期で修業に励んだ親友でもあり、一度は「藤岡から主役の座を奪う訳にはいかない。」としてオファーを断っている。
 結局は「藤岡の怪我が治って復帰するまでの代役」との契約で一文字隼人役を了承した訳だが、そんな背景の中で仮面ライダー2号はあくまで「2号」で、『仮面ライダー』において1号を出し抜く(と言えば聞こえは悪いが)存在になるまじ、との作風を生んだのかも知れない。

 となると、「2号」に徹する為にも仮面ライダー2号仮面ライダー1号以上に目立つ技を披露することなく、基本となる技に徹した流れも容易に理解が出来る。
 「1号よりも2号の方が好き。」というファンにとっては物足りない展開への土壌となったかもしれないが、それが本郷猛一文字隼人との友情に劣らない藤岡弘、氏と佐々木剛氏との友情に裏打ちされたものならば、仮面ライダー2号の地味さは誠に素晴らしい、という他はない。
 両氏は役柄だけでなく、リアルの世界でも真の親友であることに端を発しているのだから。


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平成二二(2010)年二月一二日 最終更新