仮面ライダーアマゾンの必殺技

指定必殺技:大切断


仮面ライダーアマゾンと大切断
 今でこそ、「原点に近いライダー」として、ヒーローとしても、ストーリーとしても評価の高い『仮面ライダーアマゾン』並びに仮面ライダーアマゾンだが、初めて観た時はその異形に面食らう人は少なくない(道場主の妹がアマゾンライダーを初めて観た時の台詞は、「何?こいつ?」である)。
 それは見た目だけではなく、アクションとしても同様である。
 通常、白兵戦となると、拳で突く、足で蹴る、両腕で投げ飛ばす、が基本で、豊富な攻撃パターンを持てば肘・膝・肩・体当たりが加わり、そこに全力疾走、大ジャンプ、ライディングアクションが掛け合わされる。
 しかし、アマゾンライダーは噛み付く(ジャガーショック)、引っ掻く(モンキーアタック)が基本で、拳や蹴りは後々次第に入るようになり、投げ技に至っては『仮面ライダーストロンガー』での客演時にヨロイ騎士戦闘員の一人の頭を抱えて払い飛ばすように投げ飛ばしたのが最初で最後である。

 そしてそのようにして徐々に戦闘スタイルが多様化する中、最初から最後まで変化しなかったのが、とどめの際に用いられる、アームカッター・フットカッターと呼ばれる鰭での切り裂き技・大切断である。
 放映開始当初はアマゾン(岡崎徹)自身が日本語を解さなかったこともあり、技の名前は呼称されなかったが、第13話で日本語をマスターした後からは「大切断!」と上空から高らかに叫ばれるようになった。

 技名呼称の始まりは、技としての定着の始まりでもあり、当初、大切断を受けたゲドンの獣人達は重傷を負うも、アジトに逃げ帰る余力があった。まあ逃げ帰ったところで十面鬼ゴルゴス(声:沢りつ夫)に殺されるだけなのだが。
 それが第6話の獣人ヤマアラシからは大量に血や体液を迸らせるようになり、第10話のクロネコ獣人は早くも断頭されている。そしてその切断力=破壊力は相手がゲドン獣人からガランダー獣人に変わっても増大こそすれ、衰えることは無く、身体的に特別な能力を持つイソギンチャク獣人やオオサンショウウオ獣人等の例外を除けば一撃でその命を奪われている。
 文字通りの必殺技にして、仮面ライダーアマゾンを代表するステータスとしても名高い大切断を以下にて考察する。
考察1 大切断の戦績
 文字通り一撃必殺の技である。それでなくても古代インカの長老・バゴー(明石潮)によって改造され、ギギの腕輪を持つ仮面ライダーアマゾンにとってゲドン獣人もガランダー獣人も敵ではなかった。
 まずは例によって大切断の戦績を、下表を参考に見てもらいたい。
登場怪人死因
クモ獣人十面鬼による焼殺
獣人吸血コウモリ配下に食い殺される
カマキリ獣人自決
ムカデ獣人大切断
獣人ヤマアラシ大切断
ヘビ獣人大切断
ワニ獣人大切断
カニ獣人大切断
クロネコ獣人大切断
獣人カタツムリアマゾンキック
トゲアリ獣人大切断
獣人ヘビトンボ大切断
十面鬼ゴルゴス大切断
ハチ獣人大切断
ゲンゴロウ獣人大切断
ガマ獣人大切断
ハンミョウ獣人大切断
フクロウ獣人大切断
キノコ獣人大切断
イソギンチャク獣人アマゾンキック
モモンガー獣人アマゾンキック
オオサンショウウオ獣人ビームランスでの処刑
ゼロ大帝(影武者)転落死
ゼロ大帝(謎の支配者)スーパー大切断
アマゾンライダーとの戦闘率100.00%
決着率79.17%
大切断による必殺率78.95%

 数値こそ若干8割を割っているが、直接の死因が大切断ではない中にも、クモ獣人・獣人吸血コウモリ・イソギンチャク獣人・オオサンショウウオ獣人のように、大切断で戦闘不能・戦意喪失状態に追い込まれた例を加えるなら83.33%に上昇する。

 その威力は当初、敵に大きめの斬撃を与える程度だったが、それでも頭部や頸部に決まれば相手を死に至らしめ、急所に決まらずとも深手を負って戦闘継続不能に追い込むのに充分だった。
 そしてその破壊力は鋭さを増したのか、急所をより巧みに捉えるようになったのか、大動脈を断ち切ったとしか思えない大出血(体液?)を伴うようになり、更には首や胴まで両断するに至った。
 加えてその威力には十面鬼やゼロ大帝と言ったラスボス達さえも致命傷を免れることは出来なかった。

 大切断が単純に数多くの勝負を制した功績も文句のつけようがないが、蹴り技による決着を主体とする全ライダーの中に在って仮面ライダーアマゾンを仮面ライダーアマゾンたらしめる確固たるステータスを築いた功績も見逃せない。


考察2 爆発シーンを控えさせた原点回帰と裏事情
 『仮面ライダーアマゾン』が放映されたのは昭和四九(1974)年一〇月一九日〜昭和五〇(1975)三月二九日で、当時の日本は第一次オイルショックによる影響で、エネルギーの節約が重視された時代だった。
 その為、この『仮面ライダーアマゾン』でも、同時期に放映された『ウルトラマンレオ』でも火薬の節約が重んじられ、前者ではキック技を食らっての爆死がたった1回で、後者でも手刀や蹴りによる決まり技が数多く見られ、爆破回数はかなり減らされた。

 一方で、『仮面ライダーアマゾン』は仮面ライダーシリーズの原点回帰として、「異形」・「獣性」が重んじられた作品でもある。アマゾンライダーの噛み付き技・ジャガーショックは有名だが、仮面ライダー1号の口腔部にしてから鎖を噛みちぎる程の力を持つ「ライダークラッシャー」という設定を持つことは意外に知られていない。
 アマゾンライダーとは、『仮面ライダー』初期の怪奇色の強いライダーが求められ、更には前作の『仮面ライダーX』が全35話という中途半端な話数で終わった後を受け、有名な「TV局の腸捻転」の為端から全24話であることが上層部で決められていたことからも、短期間で強烈なインパクトを見せつけることが求められたライダーでもあった。

 事情はどうあれ、仮面ライダーアマゾンが個性・インパクト共に強烈なライダーとなれたことは言を待たない。「怪我の功名」や切羽詰って打った手が功を奏したように見える一方で、御大・石ノ森章太郎のこだわりが原点にあったことが時代を超えて嬉しいものを感じさせてくれる。

 結果、仮面ライダーアマゾンの大切断は、時代の流れの中で減らされた爆破シーンを遙かに上回るインパクトと個性を保ち続けた。道場主がリアルタイムで観た最初の大切断は『仮面ライダー(スカイライダー)』の第28話における怪人�鏡ど�隊との戦いで、キノコジンの首をすっ飛ばしたシーンだが、その衝撃は昨日のことのように覚えている。直後に再生怪人の凄まじいまでの弱さも初めて観て愕然としたのだが(苦笑)。


考察3 「飽き」とは無縁のワイルド・アクション
 コンドルジャンプで第一期ライダーズの中で最高のジャンプ力で跳躍し、40メートルの上空から繰り出される大切断は、ゲドン・ガランダー獣人の多くを討ち取り、十面鬼やゼロ大帝(中田博久)による処刑で抹殺された獣人の中にも、この技の前に戦闘不能に追い込まれたものは少なくない。

 ここで一つの疑問が湧く。

 普通、これ程までに一つの技が決着の多くを決めると、「他に技は無いのか?」とのツッコミを入れたくなるのだが、アマゾンライダーと大切断に対してはそれを全然感じないということである。

 理由ははっきりしている。
 大切断の与えたインパクトが余りに強烈且つ、余りにアマゾンライダーにはまっていたからである。
 例えるなら、故山田康雄氏の声がルパン�契い離ぅ瓠璽犬閥�烈にマッチングしているのに匹敵するものがある。

 加えて、ジャガーショック・モンキーアタックといった歴代ライダーにないワイルド・アクションが、マンネリズムを無視する程の個性を為し、アマゾンライダーでしか見られない大切断に『水戸黄門』の印籠並に「無くてはならない」イメージを抱かせる素地を作ったと言える。

 正直、特撮ヒーローが持つ必殺技のワンパターン振りとステータスの相関関係を考察するのが目的の本作だが、大切断に関しては問答無用で「仮面ライダーアマゾンのステータス」の考察しか許してくれなかった。
 大切断は獣人達と共に仮面ライダーのマンネリズムまで一刀両断にしたと言えるだろう…否、一刀両断にしたとしか言えないだろう。


総論 『仮面ライダーアマゾン』終了後のライダー作品では、仮面ライダーアマゾンは他のライダー達と一線を画すワイルド・アクションで強烈な個性を発揮するものの、以外に大切断は登場しない。
 戦闘員や再生怪人に対して双腕を振るうアクションの端々にはアームカッターでもって敵を切り裂く様子も見せるのだが、『仮面ライダー(スカイライダー)』を除けば大切断の名前さえ出て来ない。

 正直、アマゾン(山本大介)を演じた岡崎徹氏が俳優業を廃業せず、後番組にもっと客演し、「全ライダーの中の仮面ライダーアマゾン」ではなく、「主人公ライダーと共闘する仮面ライダーアマゾン」として登場していれば、大切断は多くの怪人達の首を刎ねたと思われる。

 以外に直接登場の少ない大切断に対して、一抹の寂しさを感じても来たが、『仮面ライダーSPIRITS』及び『仮面ライダーディケイド』で仮面ライダーアマゾン最強の大技・スーパー大切断が再登場したの見るに及んで、仮面ライダーアマゾンと大切断の不可分なる絆を改めて感じたようで、得も言えぬ感慨を覚えた瞬間は今後も折にふれて思い出したいものである。

 全くの余談だが、この文章を仕上げたのは本編でアマゾンを演じた岡崎徹氏と、『仮面ライダーディケイド』でアマゾンを演じた坂本エンリケ氏の誕生日である12月3日のことである(2009年同日、岡崎氏は還暦に、坂本氏は27歳になった)。


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平成二二(2010)年二月一五日 最終更新