ウルトラマンAの必殺技

指定必殺技:メタリウム光線


ウルトラマンAとメタリウム光線
 ウルトラマンAのフェイバリット・ホールド(?)であるメタリウム光線は、名前からして、他のウルトラ兄弟同様、メタリウムという架空の物質を光線に載せて超獣を撃つ物と思われる。
 両腕を伸ばして体を左広報に捻って、正面に戻す際に気合いと共にL字に組んだ両腕から光線を放つ、というアクションを取り、明らかに今までのウルトラ兄弟よりも大掛かりなアクションは幼少の頃の怪獣ごっこを盛り上げてくれたものである(遠い目)。

 倒立体勢できりもみを交えながら宙を舞う、という派手なアクションを披露しながら、ウルトラマンAはパンチやキックや投げ技で勝負を決めることが少なく(例外:鬼超獣オニデビルを倒したエースリフター水瓶超獣アクエリウスを倒したウルトラ電撃キック。また、超獣ドラゴリーはドテッ腹をパンチで貫いて戦闘不能に追い込まれた)、メタリウム光線以外にも勝負を決めたのは光線を刃上に変化させて切断する技や、タイマーショットに代表されるエネルギー弾系の技が多かった。

 ウルトラマンAの光線技の多彩性はウルトラ兄弟の中でも随一と云っていい。視覚的には充分に楽しませて貰ったが、それでも肝心な所はメタリウム光線がかっさらって行った気がする。
 とはいうものの、スペースQバーチカルギロチンタイマーショットも有名だ。メインウェポンで倒れない強敵は格上の大技や、特別な手段で倒されることが多いが、多彩な光線技を持つウルトラマンAメタリウム光線と他の光線技をどう使い分けているかを比較するのもまた楽しい考察である。


考察1 メタリウム光線の戦績
 ウルトラシリーズ5作目にして、第2期ウルトラシリーズ2作目である『ウルトラマンA』に登場した敵は「怪獣を超える存在」として「超獣」と呼ばれた。
 その名が竜五郎隊長(瑳川哲朗)によって呼ばれる前に、その定義を証明するかのように、広島県福山市に現れたミサイル超獣ベロクロンはいきなり地球防衛軍を全滅させた。この経緯は過去の作品でも何度か触れているように、超獣を怪獣以上の難敵とした為に、TACは(少なくとも超獣退治の専門家としては)完全な雑魚扱いを受けた訳だが、そんな手強い超獣を、メタリウム光線を初めとするウルトラマンAの必殺技が屠ってきた戦果は下表のとおりである。

登場した怪獣・宇宙人死因
ミサイル超獣ベロクロンメタリウム光線
古代超獣カメレキングメタリウム光線
一角超獣バキシムウルトラスラッシュ
怪魚超獣ガランメタリウム光線
大蟻超獣アリブンタ鉢合わせ
地底エージェント ギロン人鉢合わせ
変身超獣ブロッケンウルトラギロチン
蛾超獣ドラゴリーメタリウム光線
幻覚宇宙人メトロン星人Jr.バーチカルギロチン
巨大魚怪獣ムルチ(二代目)ドラゴリーに倒される
忍者超獣ガマスパンチレーザースペシャル
一角超獣ザイゴンウルトラナイフ
変身怪人アンチラ星人TACに倒される
くの一超獣ユニタングウルトラシャワー
さぼてん超獣サボテンダーサーキュラーギロチン
殺し屋超獣バラバ鎌による斬首
異次元超人エースキラースペースQ
超人ロボット エースロボットエースキラーに破壊される
大蟹超獣キングクラブアタックビーム
牛神超獣カウラセット光線で元の人間に戻る
大蛍超獣ホタルンガメタリウム光線
大鳩超獣ブラックピジョンダイヤ光線
河童超獣キングガッパーバーチカルギロチン
大蝉超獣ゼミストラーメタリウム光線
天女超獣アプラサール元のアプラサに戻る
天女アプラサ白鳥座に帰還
暗黒超獣ブラックサタンメタリウム光線
銀星人 宇宙仮面 TACに倒される
異次元超人 巨大ヤプールメタリウム光線
地獄超獣マザリュース消滅
異次元人マザロン人詳細不明
古代超獣スフィンクスメタリウム光線
古代星人オリオン星人メタリウム光線
地獄星人ヒッポリト星人メタリウム光線
満月超獣ルナチクス火山への投擲による焼死
地底超獣ギタギタンガエースリフター
地底超人アングラモンハンドビーム
黒雲超獣レッドジャックメタリウム光線
獏超獣バクタリセブンに元のバクに戻される
超獣人間コオクスメタリウム光線
気球船超獣バッドバアロンバーチカルギロチン
虹超獣カイテイガガンメタリウム光線
夢幻超獣ドリームギラスメタリウム光線
騒音超獣サウンドギラーメタリウム光線
鈍足超獣マッハレスメタリウム光線
雪超獣スノーギランメタリウム光線
伝説怪人ナマハゲウルトラの父に倒される
火炎超獣ファイヤーモンス TACに倒される
火炎人ファイヤー星人メタリウム光線
宇宙超人スチール星人メタリウム光線
邪神超獣カイマンダグリップビーム
獅子超獣シシゴランメタリウム光線
邪神カイマ詳細不明
氷超獣アイスロンメタリウム光線
伝説怪獣ウー(二代目)撤退
吹雪超獣フブギララバーチカルギロチン
鬼超獣オニデビルエースリフター
ガス超獣ガスゲゴン TACに倒される
タイム超獣ダイダラホーシ エネルギー光線
液汁超獣ハンザギランエースバリアで元に戻される
ミサイル超獣ベロクロン2世鼻の角を腹部に刺される
異次元人 女ヤプール TACに倒される
水瓶超獣アクエリウスウルトラ電撃キック
宇宙電気クラゲ ユニバーラゲス TACに倒される
信号超獣シグナリオンメタリウム光線
バイオリン超獣ギーゴンメタリウム光線
最強超獣ジャンボキングギロチンショット
Aとの戦闘率79.10%
決着率86.79%
メタリウム光線による必殺率54.35%

 多彩な技を混じえつつ、基本、メタリウム光線で多くの超獣を倒し、決着の約半数を占めている訳だが、強敵退治の役割を他の技に奪われた(というと語弊があるが)ウルトラセブンアイ・スラッガー帰ってきたウルトラマンスペシウム光線よりは、初代ウルトラマンのスペシウム光線に近い。

 代表的必殺技の権利として、第1話のベロクロンを倒したのはある意味当然として、メジャーどころでは古代超獣カメレキングドラゴリー暗黒超獣ブラックサタン異次元超人巨大ヤプール地獄星人ヒッポリト星人火炎人ファイヤー星人獅子超獣シシゴランが挙げられる。

 他の有名所では一角超獣バキシム変身超獣ブロッケン幻覚宇宙人メトロン星人Jr.さぼてん超獣サボテンダー殺し屋超獣バラバ最強超獣ジャンボキング等がバーチカルギロチンを初めとするギロチン系の刃物型の光線技(または実際の刃物)で、大蟻超獣アリブンタ地底エージェントギロン人ウルトラマンAゾフィーの連携による鉢合わせで、エースキラーがウルトラ四兄弟のエネルギーをAに結集した大技・スペースQで倒されているが、こうなると個々の技の役割がイマイチ読みにくい。

 好意的に見ればメタリウム光線はこれに全く効かなかったエースキラーや、武器でかわした火炎超獣ファイヤーモンスの様な例外を除けば、大鳩超獣ブラックビジョンジャンボキングが何とか耐えたぐらいで、ドラゴリー巨大ヤプールヒッポリト星人といった強豪をも倒している。
 またメタリウム光線以外の技で倒された超獣の多くは事前にメタリウム光線を受けた訳ではなくグロッキー状態や隙が出来た折にウルトラマンAの技を受けてくたばっている。
 つまりはウルトラマンAの必殺技、という物を考察すればする程、メタリウム光線の強さが分からなくなるのである。

 「可もなく不可もなく」と云ってしまっては面白味もなく、考察した意味もなくなるのだが、後述する2つの話に登場した技との比較から、多くの光線技や光弾技を持ちながら、メタリウム光線ウルトラマンAの必殺技としての安定したステータスを保ち続けたのは「バランスの良さ」にあるのではないか?と思われる。

 現実の格闘技における技でも云えることだが、敵に大ダメージを与えるには仕掛け手も大きなエネルギーを繰り出す必要がある。第7話・第8話で妖星ゴラン迎撃用ミサイル・マリア2号の打ち上げを妨害して地球を滅亡させようとするメトロン星人Jr.ドラゴリーを足止めする為、Aエースバリアを駆使して触覚宇宙人と蛾超獣の動きを封じたが、この技はAのエネルギーを大幅に消耗させ、南夕子(星光子)を危篤状態に陥れた。
 そして終盤、Aウルトラギロチンを放ってメトロン星人Jr.を真っ二つにしたが、ナレーターの解説通り、これまた大量のエネルギーを消耗する技で、『ウルトラマン』の最終回以来、カラータイマーが停止するシーンが描かれた。
 しかし、その直後にTACの決死の努力で打ち上げられたマリア2号は見事に妖星を粉砕し、これによって太陽エネルギーを得たAは蘇生し、ドラゴリーをストレートパンチで腹を貫き、エースブレードで首を刎ね、最後にはメタリウム光線で木っ端微塵に粉砕した。

 いくら途中で太陽エネルギーを得たと云っても、ウルトラマンAも他のウルトラ兄弟同様地球上では3分間しか活動できず、この前後、幾度も真昼の晴天下でもカラータイマーを点滅させていたことを考慮すると、メタリウム光線は明らかにエネルギーを大幅に消耗した体でも放てる技、ということになる。
 頻出する技の特権と云ったところだろうか?また、この時のメタリウム光線は明らかにとどめではあるものの、ドラゴリーを追いこむ役割は果たしていない。実際、メタリウム光線を放つ前に戦線離脱していたとしても、ドラゴリーはドテッ腹に大穴を空けられ、首を刎ねられているのである。
 いくら噛ませ犬の役割を振られていても、天体を破壊する科学力を持つTACが負けるとは思えない。夕子の命を思えば早目に戦線離脱を考えても良かっただろうけれど、決着後にTACの面々の前に姿を見せた夕子はピンピンしていた。
 となるとメタリウム光線はかなり余裕をもって放たれた技ということになる。ちと軽々し過ぎはしないだろうか?

 もう一つの参考とする話は第14話である。
 例え致命傷に至らなかったり、かわされたりしたとしても対戦相手にそれなりの脅威を与えて来たメタリウム光線が丸で効かなかった唯一の例がエースキラーである。
 しかもエースキラーは事前にゾフィー M87光線ウルトラマンスペシウム光線ウルトラセブンエメリウム光線帰ってきたウルトラマンウルトラブレスレットを奪い取っており、Aを散々苦しめたが、ゾフィー達は優位に立って勝ち誇るエースキラーの一瞬の隙を突いて秘かに残していたエネルギーをAに集中させ、一時的に5人分の力を得たAは最強技・スペースQエースキラーを木っ端微塵に粉砕した。

 メタリウム光線に平然としていたエースキラーを瞬殺した威力からスペースQメタリウム光線より格が上なのは云うまでもないが、当然のことながらこの技はこの時限りのもので、下手をするとゾフィー M87光線よりも強いかも知れない。
 しかしまあこれはストーリーやシチュエーションがマッチングして生み出された一時的にしか放てない特殊な技で、逆を云えばこういう技でもなければ明らかにメタリウム光線よりも上、と云い切れる技が見当たらず、個々の技が見た目の派手さに反して没個性的なのもウルトラマンAの技の特徴と云えるだろう。


考察2 そんなとどめでいいのか?
 可もなく、不可もないメタリウム光線は戦績的にも、ストーリー的にも押しも押されもせぬウルトラマンAの代表的必殺技である。
 そして代表的必殺技とはそれを破る相手に強敵のステータスを与えるものでもある。スペシウム光線を破ったバルタン星人ゼットンアイ・スラッガーを弾き返したキングジョースペシウム光線を吸収したべムスターウルトラブレスレットを弾き返したブラックキング等はウルトラシリーズの歴史に残る好例と云えるだろう。

 そこをいくとこの『ウルトラマンA』メタリウム光線は些か不可解なのである。
 『ウルトラマンA』に登場した超獣・宇宙人の中で、純粋に戦闘能力で強敵と云える存在を挙げればブロッケンドラゴリーエースキラー巨大ヤプールヒッポリト星人ファイヤーモンスジャンボキングの名が挙がるが、スペースQで倒されたエースキラー、太陽エネルギーによる復活と三段攻撃で倒されたドラゴリー、兄弟や子供達の声援で奮い立ったAのギロチン技で倒されたブロッケンジャンボキング、何だかんだ云って死なないヤプール、歴史に残る超兵器・シルバーシャークでTACに倒されたという強いのか弱いのか分らないファイヤーモンスの死因はそれがメタリウム光線によるものであろうとなかろうとそれなりに納得がいくのだが、どうしても納得がいかないのがヒッポリト星人である。

 超メジャー強敵であるヒッポリト星人の事は、このようなサイトを見てくれる特撮ファンには今更語るまでもないことだが、「宇宙で一番強い生き物」との豪語も決してハッタリではなく、数々の謀略を交えたとはいえウルトラマンAを、ウルトラサインを受けてやって来たゾフィー以下の四兄弟もブロンズ像に変えてしまった戦績とインパクトはウルトラ史上屈指のもので、息子達を助けに駆け付けんとして長旅で体力を消耗させていたとは云えウルトラの父までも死に至らしめた。

 ヒッポリトカプセルに一度捕まったウルトラ兄弟は全くの無力と化して為す術もなくヒッポリトタールに固められ、両手を炎に包んでの打擲はウルトラセブンウルトラの父をグロッキーに追い込み、格闘能力・特殊能力共にヒッポリト星人の能力には恐ろしいものがある。

 だが、既に前述しているが、そんな超難敵ヒッポリト星人を倒したのは、ただのメタリウム光線だった。


 おいっ!これほどの難敵がフツーの技で倒されていいのか?


 しかもこの時のAは体力の消耗からヒッポリト星人に勝てない事を悟ったウルトラの父がカラータイマー点滅状態から残されたエネルギーをAに託して蘇生させたもので、謂わば、残りカスで動いていたような状態で、そんなAが放った、状況的に明らかに通常より弱い威力しか持てなさそうなメタリウム光線ヒッポリト星人は倒されているのである


 て、云うか…


 何と云おうか……


 ウルトラの父が倒れるまで何故に誰一人光線技を放たなかったのだ?
 特にセブン!!


 ヒッポリト星人対峙直後にカプセルに捕まったゾフィーウルトラマンが光線技を放てなかったのは仕方がなかったにしても、しばし格闘したウルトラセブンと、何とかカプセルを除去しようと奮闘していた帰ってきたウルトラマンには光線技を放つには明らかに充分な時間があった。
 またウルトラの父Aのヒッポリトタールを洗い流したり、ウルトラアレイヒッポリト星人の目を眩ましたりした時間的余裕を考えれば、ファザーショットフェザーショットヒッポリト星人を倒してから息子達を蘇生させることは充分可能だったはずである。
 何だかんだ云って残りカスに等しい筈のエネルギーは最終的に5人の子供を蘇生させてるのだから……。

 こう考えると、ヒッポリト星人は格闘能力・特殊能力・トリック攻撃に長けていても耐久力は明らかに並の宇宙人、並の超獣のそれと大して変わらない。
 番組の構成上、クライマックスまで放たれない光線技は、これまでも特撮を語る様々なジャンルにてプロレスの御都合主義のように云われてきたが、この対ヒッポリト星人戦だけはメタリウム光線が初めに、初めだけではなく中途においても放たれなかったことに大きな謎が残るのである。
 最初の方でメタリウム光線を破らせて、最後の方でバーチカルギロチンタイマーショットでも使ってヒッポリト星人を倒していればここまで悩むこともなかっただろうに………ウルトラファミリーの馬鹿……(←何のこっちゃ)。


考察3 意外な一番乗り
 ウルトラ兄弟を代表する個々の必殺技は後番組で客演した折にも登場することが多い。
 勿論余り多くの技を持つと、後番組はおろか主演番組でも再登場の機会を得られないケースが増える。特に多くの技を持つウルトラマンAタイマーショットバーチカルギロチンといった比較的メジャーな技でさえ再登場の機会をなかなか得られない。

 もっとも、これは無理もない話である。実際、客演ウルトラ兄弟は主演ウルトラ兄弟のサポート役や助言役に徹することが多く、スペシウム光線ワイドショットにしても一斉照射で使用されたり、強敵の強さを示す為に通じない役を振られたりする事が多い。
 更に付け加えればAウルトラセブン帰ってきたウルトラマン程には地球を訪れていない。後番組で干戈を交えたのも、極悪宇宙人テンペラ―星人暴君怪獣タイラント暗黒星人ババルウ星人満月超獣ルナチクスぐらいである。
 光線技が放たれたのもテンペラ―星人ルナチクスに対してのみである(厳密には偽アストラババルウ星人に放たれたこともあるが、命中したのはレオ)。

 だが、これはAに限った話ではなく、客演ウルトラマンは単独戦闘自体が少なく、何と客演ウルトラマンが単独で相手を倒したのは、『ウルトラマンメビウス』に客演したウルトラマンAメタリウム光線ルナチクスを倒したのが最初なのである(厳密には同番組で先にウルトラマン80硫酸怪獣ホーバックルビームで消滅させているが、この時のホーウルトラマン80に対して全くの無抵抗で戦っていないに等しい)。

 必殺技とはヒーローのアイデンティティを担ってもいるが、時を経て尚本来の役割を発揮することが如何に少ないかをメタリウム光線は見せてくれた。
 旧来のファンを喜ばせる客演の裏で、主演を殺さず、それでも客演者を噛ませ犬にしない為、制作陣はそのバランスに並々ならぬ神経を使っていることを特撮ファンは忘れないようにしたいものである。


総論 『ウルトラマンA』とは、それまでになかった様々な試みが為された作品でした。
 初の男女変身、怪獣を上回る超獣、初の宿敵となったヤプール、前作までは触り程度だったウルトラ兄弟の概念の明確化、ウルトラの父の登場、etc…。
 勿論それ等には成功もあれば、失敗もあり、番組内において失敗だったり、活かし切れなかったとしても後番組に活かされたものも多い。そして試み多き故にウルトラマンAの技とTACの超兵器は多くの種類が登場した。

 必然、多くの技・兵器が単発での登場に終わり、余程の成果やインパクトを残した物や、有名エピソードに関連したものでなければ、マニアな人達の記憶にしか残らないものとなってしまった。
 だが、シルバータイタンは個々の存在感を薄いものにしてしまったとは云え、個々の技の設定や役割は悪くないと思っている。メタリウム光線がとんでもない強敵を最後にはあっさり倒したり、他のギロチン系の技との力関係がはっきりしなかったり、といった釈然としない点もあるが、いつもいつも同じ技が超獣を倒すのではなく、視覚的に様々な戦闘・決着を見せてくれたことには素直に称賛出来る。

 そこを行くと好対照なのが『ウルトラセブン』である。ウルトラセブンはメインとなる3つの技を相手の特徴や強さに応じて使い分けていた。『ウルトラマンA』も超獣・異次元人・宇宙人・その他の敵が出てきた訳だから、相手に応じた使い分けをすればメタリウム光線以外の技も生きれば、メタリウム光線自体も光線自体の個性がもっともっと光ったことだろう。
 返す返すも苦心の設定の活かしようが、必殺技一つとっても惜しまれる作品である『ウルトラマンA』は。


冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和三(2021)年六月一八日 最終更新