ウルトラマンメビウス
指定必殺技:メビュームシュート
ウルトラマンメビウスとメビュームシュート
「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品」と銘打たれた本作は、長く世界間の関連が謎だった各作品において、『ウルトラマン80』以来の世界であることを明らかにし、「怪獣頻出期」から四半世紀を経た地球に飛来したウルトラ戦士のルーキーが活躍する物語である。
ともすればウルトラ兄弟の客演や、過去作品の未消化設定の解決、有名怪獣・超獣・宇宙人・円盤生物の同族再登場に目が行きがちだが、単純にウルトラマンメビウスの能力・必殺技・宇宙警備体内の立場・地球に馴染み切っていない性格・ルーキーゆえの純粋さ、防衛チームGUYSの軍人らしくないメンバー・過去チームのデータ活用・組織体制、ウルトラマンヒカリ=ハンターナイトツルギが見せる悪に飲み込まれかけた異色のウルトラマンとしての在り様等の、独自の設定・ストーリー性も見応え充分な魅力である。
そんな新人戦士ゆえに数々の成長を遂げる中で技もまた多彩になっていく。勿論、たった一つの技がいつまでも幅を利かせることはなくなり、一撃必殺を担う技の威力にも番組の始まりと終わりではかなりの差が出てくる。そんな推移を観るのもまた同番組の楽しみと言えよう。
考察1 メビュームシュートの戦績
宇宙警備隊のルーキーであるウルトラマンメビウスは成長途上のウルトラマンで、言葉悪く言えば未熟者である。第29話ではその戦闘能力が地球防衛の任に耐え得ないと断じられ、ウルトラの父より帰還命令が発せられ、メビウスの恩師でもあるウルトラマンタロウが来星し、第34話ではウルトラマンレオ=おおとりゲン(真夏竜)が地球防衛の任務継続を認めない、と告げに来たこともあった。
しかしながら、キャリアや習熟度に難はあっても、地球防衛の任に就いた8人目のウルトラマンであるメビウスには前任者から受け継いだ知識と戦闘技術と若さゆえの吸収力があった。
そんなメビウスが地球赴任当初に特技として多用したのはメビュームシュートとメビュームブレードである。そして両者を比較すると、武器としてのカラーの強いメビュームブレードより、「ウルトラマンと言えば光線技」のイメージからも、自然、メビュームシュートの方が、フェイバリット・ホールドとしての地位を占めるようになるのである。
では、例によって、メビュームシュートの戦績を下表に参照されたい。
登場した怪獣・宇宙人 死因 宇宙斬鉄怪獣ディノゾール メビュームシュート 地底怪獣グドン メビュームブレード 火山怪鳥バードン メビュームシュート 宇宙凶険怪獣ケルビム メビュームブレード 岩石怪獣サドラ メビュームシュート 宇宙斬鉄怪獣ディノゾール ハンターナイトツルギに倒される 古代怪獣ツインテール メビュームシュート 高次元捕食体ボガール ボガールモンスに変異 地底怪獣グドン ボガールモンスに食われる 古代怪獣ツインテール ボガールモンスに食われる 高次元捕食体ボガールモンス ハンターナイトツルギに倒される 宇宙斬鉄怪獣ディノゾールリバース メビュームシュート&ナイトシュート 宇宙斬鉄怪獣ディノゾール GUYSに倒される 魔神怪獣コダイゴンジアザー 元の像に戻る 百足怪獣ムカデンダー ウルトラマンヒカリに倒される 昆虫型甲殻怪獣インセクタス(雄) メビュームシュート 昆虫型甲殻怪獣インセクタス(雌) ウィンダムに倒される 宇宙礫岩怪獣グロマイト ライトニングカウンター・ゼロ 宇宙剣豪ザムシャー 敗北を認め帰還 サーベル暴君マグマ星人 ザムシャーに倒される 宇宙海人バルキー星人 ザムシャーに倒される 再生怪獣サラマンドラ メビュームシュート&ナイトシュート 宇宙大怪獣ベムスター メビュームナイトブレード・ブレードオーバーロード 宇宙量子怪獣ディガルーグ メビュームナイトブレード・スピンブレードアタック 宇宙凶険怪獣ケルビム メビュームナイトブレード・ブレードオーバーロード 凶暴怪獣アーストロン メビュームナイトブレード 高次元捕食獣レッサーボガール メビュームシュート 時間怪獣クロノーム メビュームシュート 一角超獣バキシム メビュームナイトブレード・ブレードオーバーロード 異次元人ヤプール 逃亡 蛾超獣ドラゴリー メビュームナイトブレード・ブレードオーバーロード ミサイル超獣ベロクロン メビュームシュート プロトマケット怪獣ゼットン ライトニングカウンター・ゼロ 円盤生物ノーバ メビュームシュート 無双鉄神インペライザー メビュームシュート&ストリウム光線 円盤生物ロベルガー メビュームバースト 巨大魚怪獣ゾアムルチ メビュームシュート 宇宙調査員メイツ星人ビオ 宇宙へ帰還 人魂怪獣フェミゴン(フェミゴンフレイム) メビュームシュート 光波宇宙人リフレクト星人 バーニングメビウスピンキック&レオキック 暗黒星人ババルウ星人 ウルトラマンヒカリに倒される 土塊怪獣アングロス メビュームシュート 宇宙三面魔像ジャシュライン メビュームバースト 宇宙有翼怪獣アリゲラ メビュームブレード 憑依宇宙人サーペント星人 メビュームブレード 宇宙植物怪獣ソリチュラ メビュームシュート 円盤生物ロベルガー二世 メビュームシュート&サクシウム光線 硫酸怪獣ホー ウルトラマン80に倒される どくろ怪獣レッドキング ゴモラに変化 古代怪獣ゴモラ メビュームバースト 異次元超人メビウスキラー メビュームダイナマイト 異次元超人巨大ヤプール メビュームバースト 満月超獣ルナチクス ウルトラマンAに倒される 策謀宇宙人デスレム メビュームバースト&スペシウム光線 冷凍星人グローザム GUYSに倒される 悪質宇宙人メフィラス星人 撤退後、エンペラ星人により処刑 無双鉄神インペライザー メビュームバースト 暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人 メビュームフェニックス&M87光線 メビウスとの戦闘率 83.05% 決着率 81.63% メビュームシュートによる必殺率 40.00%
メビュームシュートの戦績として、必殺率40.00%はまずまずで、見事なのは序盤・中盤・終盤で、他の技との対比の中にしっかりとした立場を築いていることになる。
実際、序盤では宇宙斬鉄怪獣ディノゾール・高次元捕食体ボガールとの闘いがメインとなる中、メビュームシュートとメビュームブレードがほぼ交互に戦いにケリをつけ、序盤から中盤にかけてではハンターナイトツルギ=ウルトラマンヒカリが、中盤ではヒカリからナイトブレスを託されてパワーアップしたメビウスブレイブとなって放たれたメビュームナイトブレードによる派生技が、終盤ではバーニングブレイブとなって放たれたメビュームバーストが一筋縄ではいかない強敵達を倒しつつも、メビュームシュートが技として軽視されることはなく、一定の登場頻度を保ち、ウルトラマンタロウやウルトラマン80と合体光線で放ったメビュームシュートに至っては、無双鉄神インぺライザーや円盤生物ロベルガー�鏡�といった難敵をも倒している。
つまり、メビュームシュートは第1話から登場してウルトラマンメビウスの代表的必殺技の地位を保ちつつも、難敵に対しては合体技や、他のキャラ、パワーアップしたブレイブでの必殺技、等にとどめの手番を譲っては、必殺技の格付けと、番組の盛り上げに貢献したのである。
勿論、怪獣達にとっても「メビュームシュートが効かない。」ということは一種のステータスとなり、インぺライザーはメビュームシュートを受けても平然としていた頑丈さで脅威を見せつけ、光波宇宙人リフレクト星人はメビュームシュートを名前の通りリフレクト(反射)させ、「光線技が効かない。」という半ば反則とも言える特殊能力でその後の皮肉なまでの馬鹿丁寧な口調やいざという時の卑怯振りとともに憎々しさを醸し出し、暗黒四天王一人にして、「豪将」でもある冷凍星人グローザムはメビュームシュートをうけてもすぐに冷気による再生を果たし、二つ名の如き「不死身」振りを発揮した。
その一方で、そのグローザムを瀕死に追い遣ったのはウルトラセブンのエメリウム光線とともに放たれたメビュームシュートだった(とどめを刺したのはGUYS)。
結論、メビュームシュートこそはもっともメイン必殺技に相応しいメイン必殺技といえるだろう。
考察2 ブレイブとメビューム○○○
ウルトラマンシリーズでも仮面ライダーシリーズでも、昭和と平成で明らかに異なった点の一つとして、多段変身が挙げられる。仮面ライダーシリーズでは、『仮面ライダーBlackRX』にてRXがロボライダー・バイオライダーに二段変身した時の印象は強かったが、『仮面ライダークウガ』以降の平成ライダーでは、様々なフォームに変身する方が常識となっていた。
ウルトラシリーズでも、『ウルトラマンティガ』にてウルトラマンティガが3つのタイプに体を変化させることに始まり、以後、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイア、ウルトラマンコスモス、ウルトラマンネクサス達もタイプチェンジ・フォームチェンジと呼ばれる多段変身を多用した。
勿論メビウスも、通常のスタイルのほかに、前述のヒカリの力を得たメビウスブレイブ、身体能力を大幅に向上させ、炎の力が強大なバーニングブレイブ、GUYSメンバーと合体したフェニックスブレイブ、ウルトラ6兄弟と合体したメビウスインフィニティー、といったスタイルが個々に強力な能力を発揮した。
中でもバーニングブレイブは後半頻発し、大きく構えた両腕の中に炎の塊を滾らせて、敵に叩き付けるメビュームバーストは第30話での初登場で、同作品を通じてメビウスとGUYSを散々手こずらせたインぺライザーを撃破したのを皮切りに、完全新手の円盤生物ロベルガー、一度は不覚を取った宇宙三面魔像ジャシュライン、古代怪獣ゴモラ、暗黒四天王の一人・異次元超人巨大ヤプール、同じく暗黒四天王一人にして謀将・策謀宇宙人デスレム(但し、帰ってきたウルトラマンのスペシウム光線とのツープラトン)といった強敵を倒し、マケット怪獣ファイアーウィンダムとともに、炎の技で赤きウルトラマンの活躍に文字通り色を添えた。
つまりは通常体であるならメビュームシュート、バーニングブレイブではメビュームバーストといったスタイルと技の使い分けが通常の敵と強敵との位置付けをも見事に為していると言える。
概して、多過ぎる技はそのアイデンティティを薄れさせ安いのだが、メビュームシュートはバーニングブレイブによるメビュームバーストと併用することでそのアイデンティティを損なわず、かつステータスをも失わなかった。
この2つの技がウルトラマンメビウスを代表している好例として、第46話のカザマ・マリナ(斉川あい)の台詞が挙げられる。
第46話に登場した冷凍星人グローザムは上述したように、メビュームシュートで受けたダメージから瞬時に回復し、続いてメビュームバーストのダメージからも同様にして瞬時に回復し、逆襲に転じるやメビウスをあっさり氷漬けにした。
かつてウルトラ警備隊がガッツ星人に囚われたウルトラセブンにエネルギーを注入して蘇生させ、救出した例からもGUYSの力でメビウスを蘇生させること自体は可能だったが、グローザムの不死身振りに、蘇生させてもメビウスに勝ち目がないことを指して、「メビュームシュートも、メビュームバーストも奴には効かなかった…。」と述懐していた。
それは、さながら二大必殺技が通じなかったメビウスを、双翼を捥がれた鳥のように表現しているようでもあった。このマリナの台詞からもメビュームシュートとメビュームバーストの対比が為す存在感の確かさにこれ以上の言葉は要らないだろう。
考察3 兄弟とアーカイブドキュメントとメテオール
25年振りに地球に降り立ったウルトラマンを描いた、40周年記念作品でもある『ウルトラマンメビウス』は、旧来の多くのファンのニーズに応えた作品でもあった。ウルトラの父、ウルトラの母、ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンA 、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ、アストラ、ウルトラマン80、ユリアンが登場し、内、ウルトラの父、ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンA 、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ、ウルトラマン80が地球の土を踏み、 M87光線、スペシウム光線、八つ裂き光輪、アイ・スラッガー、エメリウム光線、メタリウム光線、ストリウム光線、ウルトラダイナマイト、レオキック、ウルトラダブルフラッシャー、ウルトラレイランス、サクシウム光線、バックルビームといった伝説の技が飛び交った。
またGUYSは歴代の防衛チームが残したアーカイブドキュメントを参考に、最終兵器メテオールを用いて、スペシウムエネルギー、マグネリュウム・メディカライザー、マケット怪獣(エレキミクラス・ファイアウィンダム)、シルバーシャークG、フォーメーション・ヤマトといった兵器・特殊アイテムを駆使し、ウルトラマンメビウスを助けただけではなく、単独で怪獣を倒しもした。
シルバータイタンが凄いと思うのは、メビウスの技や戦闘能力がこれらに飲まれるどころか、これらを吸収しつつも、決して飲み込まれなかったことにある。
仮想電子空間内とはいえ、メビウスはエレキミクラス・ファイアウィンダムとの連携で、暴走したプロマケット怪獣ゼットンを倒すことに成功し、帰ってきたウルトラマンからは流星キックを、直属の教官・ウルトラマンタロウからはウルトラダイナマイトを参考に、メビュームダイナマイトを、ウルトラマンレオに叩きこまれたレオキックからはそれに火おこしにヒントを得たメビウススピンキックをマスターし、これらは一回限りの登場に終わらず、インぺライザー、異次元超人メビウスキラー、リフレクト星人等を倒している。
流石にここまで様々な技・武器・キャラクターが出て来ては、メビュームシュートにスペシウム光線・ウルトラブレスレット・メタリウム光線・ストリウム光線並みの存在感や、必殺性を持たせるのは無茶である。
しかしながらメビュームシュートが埋没しているか?と問われれば決してそんなことはない。これだけの様々な技・武器・キャラクターを登場させながら、バランスと存在意義を失わなかった制作陣の配慮にはただただ敬服する次第である。
総論 『ウルトラマンメビウス』程、昭和以来のファンを意識して制作された作品も珍しいのではないだろうか?しかしながらウルトラマンメビウス及びGUYSは決して過去の作品・ウルトラ兄弟・懐かしの怪獣群が持つ存在感にひれ伏しはしなかった。
同時に、『ウルトラマン80』以来、四半世紀を経て再度TV画面上に現れた、技・設定・怪獣・エピソード・解かれた謎には順当なものもあれば、いい意味で意外なものも多かった。そして概して、過去にこだわり過ぎれば、現在の影が薄くなる傾向がある中で、この『ウルトラマンメビウス』には見事なまでにそれがなかった。
これらの多くの設定の中で、メビュームシュートやメビュームブレードの存在感は確かに強烈なものではないかもしれない。しかしながら、これだけの個性の塊の中に然るべき立場を保ったメビュームシュートが持つ確かな存在感は今後も折に触れて語り続けたいものである。
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平成二三(2011)年四月七日 最終更新