この作品は宝島社の「帰って来た怪獣VOW」のパクリです。

帰って来た菜根版怪獣VOW



いい加減な後始末
 様々な理想を掲げ、それに向かって邁進する悪の組織。常に失敗に終わるのは周知の通りである。実社会においてもそうだが、同じ失敗に終わっても、後始末や次回への活用が大事である。
 しかし、空想科学の悪の組織や侵略者である宇宙人はどうもその観念が欠落しているようである。その最たるものが「怪人(或いは怪獣)の死とともに作戦そのものを中止し、一顧だにしないこと」である。
 そこでこのコーナーでは失敗した上、いい加減に放置された作戦を検証しよう。


処刑されないのか?
『仮面ライダーBLACK RX』
第14話「ひとみちゃん誘拐」、第15話「ロボライダー誕生」、第16話「奇跡の谷の姫君」、第17話「バイオライダー!」
 クライシス帝国の怪魔妖族大隊隊長にして諜報参謀マリバロン(高畑淳子)はクライシス皇帝の皇女・ガロニア姫(井村翔子)の養育係でもあったが、ある日、チャップ(クライシス帝国の戦闘員)の一人が薬品を落としたことによりガロニアは謎の消滅を遂げてしまった。

 皇帝陛下の御息女の死を前にマリバロンは「このままでは私1人の命を差し出すだけでは済まされない。ジャーク将軍(高橋利道、声:加藤精三)を初め、我等四大隊長悉く処刑されるであろう…。」とうろたえ、そのチャップを殺すともう1人の養育係のムーロン博士(井上三千夫)以下養育係のチャップに1件の秘密を厳命し、ガロニア姫と同じ生年月日で、うなじにほくろ(クライシス皇帝の娘である証になっている)がある娘を誘拐してくるように命じた。勿論、ジャーク将軍にさえ秘密で。

 チャップ達は躍起になって条件に合致する女の子(6歳)を何と6人も攫ってきたが、マリバロンは「姫様には似ても似つかぬ!」と怒る(←無茶云うなよ)。
 結局、御都合にも南光太郎(倉田てつを)の勤める航空会社の社長・佐原俊吉(赤塚真人)の娘・ひとみ(井村翔子 二役)が偶然ガロニア姫にそっくりなことからマリバロンの目に止まり、ここに1ヶ月に及ぶ怪魔界潜入編が始まり、このシリーズで仮面ライダーBLACK RXはロボライダー、バイオライダーへの変身能力を身に付け、最後まで運命を共にする同士の1人、霞のジョー(小山力也)とも巡り会うという一連のストーリーの中核とも云える展開が為されていくのであった。

 さて、ひとみを攫ってガロニア姫に仕立て上げたマリバロンは一時はジャーク将軍達の目を誤魔化し、急場をしのぐが、所詮替え玉は替え玉、ひとみの記憶を消し、クライシス皇帝の姫君としての急成長と超能力のマスターが急務となる。
 任務を離れ、帝国に戻り、奇跡の谷で儀式を行えば可能だとムーロンに教えられるもそれにはジャーク将軍の許可が必要で、途方に暮れるマリバロン。そしてそこへ突如現れたジャーク将軍。ジャーク将軍はムーロン博士から事の次第を聞かされ、すべてを見通していたのだった。
 仰天して、死の覚悟を決めたマリバロン。しかしジャークは「ガロニア姫はここにおわすではないか。この御方こそ真のガロニア姫だ。マリバロン、余は許す。奇跡の谷へ向かうがいい。」とマリバロンの肩を持った。
 君命より同志を取るジャーク将軍に感激したマリバロン。早速ひとみを連れて帝国に帰国した。しかし、レギュラーメンバーはそう簡単に運命が変わったりしない。結局ひとみは救出され、一連の事件はRXを成長させ、仲間までもプレゼントした。

 喜びに沸く佐原一家。裏腹に今度こそ我が運命は決まったとばかりに項垂れるマリバロン。しかし、ジャーク将軍はまたも彼女を救った。ところがこの後始末が凄い!
 ガロニア姫の死をジャーク将軍は皇帝になんと、「RXに暗殺された。」と報告したのである!皇帝の姫君を養育している以上その護衛も任務なのは常識で、これではミスして死なせたのと同じで全員処刑されてもおかしくないのだが、よく助かったものである。



続・処刑されないのか?
仮面ライダー(スカイライダー)
第31話「走れXライダー、筑波洋よ死ぬな」、第32話「ありがとう神敬介、とどめは俺に任せろ 」
 ネオショッカーの大幹部・魔神提督(中庸助)は大首領(声:納谷吾郎)を祀る大神殿を魔神ヶ滝のある村に作る為にサハラ支部から将軍職にある屈強の戦士・黄金ジャガーを、モンゴル高原からはトリカブトロンを招聘し、村人を強制労働させ、村一番の美女と数人の子供達を大首領へ生け贄にする計画を立てた。

 仮面ライダーX・神敬介(速見亮)は学生時代に3ヶ月ほどこの村の村長一家に厄介になったことがあると云う設定になっていて、連絡が途絶えたのを怪しんで、来村し、スカイライダー・筑波洋(村上弘明)もまた、知人の弟が勉強から逃げて同村に遊びにいったのを連れ戻しに行き、神敬介と合流した。

 いよいよ神殿が完成し、生け贄の美女・ユキコと食おうとして大首領が像の中から舌を伸ばした所にXライダーのライドルホイップが命中し、二人のライダーが乱入して乱戦となった。大首領は「魔神提督!儀式を邪魔したスカイライダーとXライダーを抹殺せよ!さもなくば貴様の命はない!」と怒った。
 慌てた魔神提督は首領に承知の旨を告げ、黄金ジャガーとトリカブトロンに2人のライダーの抹殺を命じ、自分は消えた(←をひ、卑怯だぞ)。結局トリカブトロンはXライダーに、黄金ジャガーはスカイライダーに倒され、ライダーの抹殺は失敗に終わった。
 ところが、魔神提督は次週も大幹部として元気に悪事に勤しんでいた。何故処刑されなかったかは今をもって謎である



何処に行っちゃったの?
仮面ライダーストロンガー
第26話「見た!大首領の正体」
 百目タイタン(浜田晃)が討死にし、「頼りになるのは御前だけだ。」と大首領(声:納谷吾郎)はジェネラル・シャドゥ(声:柴田秀勝)に云ったが、翌々週には既に最後の大幹部・デッドライオン(声:辻村真人)が最高幹部の証・サタンのペンダントを振りかざし、シャドゥに幹部職の退位を要求し、ストロンガー抹殺に乗り出すも、その週の内にペンダントをストロンガーに奪われ、大首領に「何者を犠牲にしても取り戻せ!」と厳命された。

 デッドライオンは躍起になってストロンガー(荒木茂)に挑むも敵わずに敗走を続けるが、そうこうしている内にストロンガーはペンダントの謎を解き、遂に首領と対面。ストロンガー電キックでもって首領を倒し、立花藤兵衛(小林昭二)と岬ユリ子(岡田京子)はブラックサタン滅亡を喜び、ジェネラル・シャドゥはデルザー軍団を編成し、城茂は新たな敵の出現を予感していた。

 そして物語は翌週からのデルザー軍団との戦いに入り………………あれれ…?デッドライオンはどうなったの??逃げたままなのである。勿論それ以降彼が登場することはない。その手の専門書・サイトを見ても「行方不明」とあるだけである(※1)。
 かつてこれほどいい加減に扱われ、結末さえ曖昧にされた最高幹部がいただろうか?当然のように彼の影は薄く、時には「奇っ械人デッドライオン」と書かれることさえあるのである。  たった2週しか登場せず、俳優が演じた者ではなく、声も通常の奇っ械人でおなじみの辻村真人氏が声を当てたとはいえあんまりである…………。



 そこで次のコーナーでは間抜けな死を遂げた大物悪役のベスト15だ!!



※1 この文章を作って4年後、『仮面ライダーSPIRITS』によって、デッドライオンが仮面ライダーZXの時代まで隠者同然ながら存命していた事が明らかになりました。


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令和三(2021)年六月一一日 最終更新