間抜けな死を遂げた大物悪役のBest15
一口に「悪者」と云っても千差万別の様に、その「死に様」も千差万別である。一般に卑劣な奴は間抜けな死に様が似合い、渋い奴や理想に燃える奴は誇り高く散る。
そんな中にあって、「間抜けな死に様」は時に笑わせてくれ、時に胸がすかっとし、時に教訓となり、稀に腹立たしい。そこでここは間抜けな死に様を大物に限って見てみた。
大物である基準は登場回数、知名度、強さに基き、間抜け度は死に至るまでの切羽詰まるプロセス、死後の報われなさ等を基準にした。
順位 名前 登場番組 解説 死に様 間抜け度
(5段階)段階 15 バルタン星人Jr. 帰ってきたウルトラマン 有名な宇宙忍者。ビルガモを操る。 背後からのスペシウム光線。 切羽詰まり方 1 死にっぷり 4 報われなさ 1 14 地獄大使 仮面ライダー ショッカー最後の大幹部。ガラガランダに変身。 ライダーキックを受け爆死。首領はあっさりショッカーを放棄。 切羽詰まり方 2 死にっぷり 1 報われなさ 4 13 テンペラー星人 ウルトラマンタロウ ウルトラの国と地球の両方の侵略を目論む。 兄弟で一番弱いタロウに殺られ、しかも実験台。 切羽詰まり方 1 死にっぷり 2 報われなさ 3 12 テラーマクロ 仮面ライダースーパー1 ドグマの帝王。カイザーグロウに変身。 肩に止まっていた烏の足跡だけ不死身じゃなくて死ぬ。 切羽詰まり方 3 死にっぷり 4 報われなさ 2 11 異次元人ヤプール ウルトラマンA 数々の超獣を操ってAを苦しめた仇敵。 宇宙人の子供に化ければ殺られないだろうと踏むが即決で射殺された。 切羽詰まり方 2 死にっぷり 4 報われなさ 2 10 魔神提督 仮面ライダー(スカイライダー) ネオショッカーの大幹部。変身しない。 しぶとく残った心臓を大首領に握り潰され死ぬ。 切羽詰まり方 5 死にっぷり 4 報われなさ 4 9 ヨロイ元帥 仮面ライダーV3 デストロン大幹部。ザリガーナに変身。 逃走することで首領の下にV3を案内し、爆殺される。 切羽詰まり方 4 死にっぷり 4 報われなさ 3 8 ゼネラルモンスター 仮面ライダー(スカイライダー) ネオショッカー初代幹部。ヤモリジンに変身。 ライダーを道連れに自爆せんとするが実行前に爆殺。 切羽詰まり方 4 死にっぷり 5 報われなさ 3 7 アポロガイスト 仮面ライダーX GOD秘密警察第一室長。Xが敵なのを惜しむ。 突然の余命一日宣告になりふりかまわず戦い戦死。 切羽詰まり方 5 死にっぷり 1 報われなさ 2 6 磁石団長 仮面ライダーストロンガー デルザー改造魔人。最終回まで奮戦。 雑魚の再生怪人達と供に原因不明瞭の爆死。 切羽詰まり方 3 死にっぷり 4 報われなさ 2 5 ヨロイ騎士 仮面ライダーストロンガー デルザー改造魔人。最終回まで奮戦。 雑魚の再生怪人達と供に原因不明瞭の爆死。 切羽詰まり方 3 死にっぷり 4 報われなさ 2 4 ゼロ大帝(影武者) 仮面ライダーアマゾン ガランダー帝国の王者(の影武者)。 自分の作った落とし穴に落ちて死ぬ。 切羽詰まり方 2 死にっぷり 5 報われなさ 3 3 創世王 仮面ライダーBLACK ゴルゴムの王。五万年生きた。 自分の武器で殺される。 切羽詰まり方 5 死にっぷり 4 報われなさ 4 2 十面鬼ゴルゴス 仮面ライダーアマゾン ゲドンの首領。アマゾンのギギの腕輪を狙い来日。 部下(しかも只の獣人)に裏切られ死ぬ。 切羽詰まり方 4 死にっぷり 5 報われなさ 2 1 ブラック司令 ウルトラマンレオ ブラックスターの円盤生物を操る。MACを滅ぼした。 10人ほどの子供のリンチに遭って死ぬ。 切羽詰まり方 2 死にっぷり 5 報われなさ 3
15位のバルタン星人Jr.は説明の必要の無い程の超有名宇宙人である。このJr.で早くも四代目。ウルトラ一族との因縁はまだまだ続くだろう。
この時は怪獣ビルガモを操り、勝利したものの疲労したウルトラマン(帰マン)の前に現れ、「今回はほんの挨拶代わりだ。」と告げ、本当に挨拶だけで帰ろうとして背後からスぺシウム光線を食らって爆死するという間抜け振りを見せる。
ウルトラマンの卑怯さの方が気になるし、一族もまだまだ敵討ちに燃えてくれそうなので、ここではそんな間抜けな方に入れられていないが、バルタン一族にあって一番間抜けなのは間違いなかろう。
14位は地獄大使(潮健児)である。ショッカー最後の大幹部として、奮戦するが、首領は既に密かにゲルショッカーを編成。首領に信頼されてないのを怒り、ショッカーを裏切った振りをして本郷猛(藤岡弘)に近づく。
作戦は失敗するが、看破されて尚、「ショッカーに裏切り者などいるものか!」と一喝し、堂々と最後の戦いに挑み、今際の際にも「ショッカー軍団万歳」と叫んで誇り高く散るも当の首領はあっさりとショッカーを放棄、残された戦闘員や科学者達まで抹殺される。余りの報われなさに憐れみを覚えてしまう。
第13位のテンペラー星人はウルトラ六兄弟を相手に一歩も退かない強者で知名度も高い。しかし最初に出てきた奴は間抜けだ。
ウルトラの国に行くも六兄弟は地球に遊びに行って留守。ここでウルトラの国を攻めずに地球に向かう所からして間抜けだが、それでもタロウ一人なら丸で問題にしない強さを見せる。
しかし他のウルトラ兄弟の出動を促すが無視される。挙げ句、最後にゃ一番弱い筈のタロウに殺られ、宇宙船内では「馬鹿め、あれは貴様等の実力を測る犠牲者だ。」と実験台であることを断言され、しかも彼を倒したことを東光太郎 (篠田三郎)が鼻にかけると北斗星司(高峯圭二)に「何でい、テンペラー星人の一人や二人倒したぐらいで。」と思いっきり舐められていた。
わざわざ苦労する方へ出向き、初めから死ぬ予定で、しかも敵の手柄にすらならない。踏んだり蹴ったりである。こいつも間抜けというより哀れだ。
第12位にランクインしたドグマの帝王テラーマクロ(汐路章)は仮面ライダーに登場した歴代首領の中でも際立った貫禄を見せていた。
彼の親衛隊は将軍であるメガール(三木敏彦)に劣らぬ権限が与えられ、スーパー1に敗れた怪人達も全員(一部例外除く)が「テラーマクロ!」と叫んで爆死したのだから、とても間抜けには思えない。
メガール将軍が倒れ、テラーマクロは不死身のカイザーグロウになる為の儀式として、不死身になるための液体を浴びる(何処かで聞いたような話だ)。しかしこの時彼が「ドグマのシンボルなので縁起が良い」として右肩に乗せた烏の足がついていた所だけ不死身になっていなかったため(やはり聞いたような話だ)、玄海老師(幸田宗丸)に弱点を看破されスーパー1に敗れる。
この烏はジンドグマの悪魔元帥(加地健太郎)のスパイだったため、肝心な時にカイザーグロウから離れ、「烏、烏は何処じゃ!」とうろたえる間抜け振りを晒すこととなる。間抜けなのはここだけだが、それまでの威厳が凄いだけにギャップも凄く、間抜け振りが目立ってしまう。
第11位に顔を出すは異次元人ヤプールである。Aの不倶戴天の敵で、数多くの超獣を送り込み、その得体の知れなさ不気味さはピカ一であり、物語の途中でAに敗れるも亡霊として登場したり、タロウの代に蘇ったりもしている。
間抜けなのは最終回での死に様である。大人しい宇宙人・サイモンの子供をウルトラ兄弟に扮していじめる子供達を「ウルトラ兄弟は無抵抗な大人しい宇宙人を苛めたりはしない」といって北斗星司が止める。
しかしこのサイモンの子供こそヤプールの変身した姿で、北斗にだけ(テレパシーで)その正体を告げ、「今俺を攻撃すれば地球人の子供達は御前を信用しなくなるぞ。」と脅して嘲笑うが、即行でTACガンで射殺される。
子供達の非難に北斗は自分の正しさの証明の為、子供達の前でウルトラマンAに変身(Aがテレパシーでヤプールと会話出切ることを何故か子供達は知っていた)し、最強超獣ジャンボキングを倒し、Aの姿のまま万人と仲良くすることを子供達に託し、地球を去った。
つまりヤプールの目の付け所は間違っていなかったのだが、それを無視するほど憎まれていたのを計算していなかった間抜けさは特筆に価する。
第10位は魔神提督だ。ネオショッカーの大幹部として、その強さ、その指揮力、その残忍性は申し分ない。
五体バラバラになっても心臓さえ無事なら月の光で復活するという特殊能力まで持ち、その力を活かして筑波洋を罠に嵌め、見破られても尚、2号(佐々木剛)、ストロンガーをも道連れに爆殺しようとする執念を見せる。
結局トリプルライダーキックを食らい一人で爆発し、何とか特殊能力を活かして蘇生しようとするが愛想尽かした大首領に心臓を握り潰されこの世を去る。折角の特殊能力も宝の持ち腐れの上、処刑する時の大首領の台詞は「廃棄処分にしてくれる!」と完全な物扱い。うーん間抜けだ。
第9位のヨロイ元帥(中村文弥)は強い・残忍・陰険と三拍子揃っているのだが、ライダーマンの誕生を招いたことからして間抜けで、その最期は更に間抜けだ。
先ず正体であるザリガーナ最後の技「甲羅崩し」。これは背中に背負った甲羅を地面に置き、足で踏んでバラバラにしてその破片を投げつけるだけという稚拙極まりない技である。
勿論何の成果も上げず、V3フル回転キックをくらい瀕死の重傷を負う。それでも尚、逃走し、生き残りへの執念を見せる元帥。追うV3。ところが逃げた先は首領の隠れ家。
そして口にした台詞が「首領!私を見捨てないでくれぇ。」 ……絶句物の間抜け振りである。当然のように「もう用はない。」と云われ、首領に爆殺される。
第8位のゼネラルモンスター(堀田真三)は哀れさを誘う間抜け振りが際立つ。
ネオショッカー大首領の最後通告の証・赤い目玉(嫌な証だ)を受け、なりふり構わずヤモリジンに変身して戦うが、散々卑怯な手を使ったにもかかわらず、スカイライダーの凄まじい怒りを買っただけで、スカイキックを食らい瀕死の重傷を負う。
最後の力を振り絞ってライダーとの自爆を試みるが突如飛んできた怪光線で爆死。発射したのは後任の大幹部・魔神提督。別に自爆が失敗に終わっても魔神提督は全く損をしないのだから、やるだけやらせてくれてもよさそうなところ(うまく行けば儲け物)をそれさえさせてもらえず、首領ならまだしも、同格に殺されたのだから、間抜けったらありゃしない。
第7位に輝くのはGOD秘密警察第一室長・アポロガイスト(打田康比古)。およそ間抜けとは縁遠い実力・風格を備えている。
怪人達には冷酷で褒めることを知らない性格だが、総司令(声:阪脩)の信任も厚く、一度敗れてなお再生手術を施されているのだから信任度においてヨロイ元帥・魔神提督など足元にも及ばない。
二度の死に様も実に華々しい。いずれも最後の最後までXライダーを地獄への道連れにせんとの念を忘れない。
そんな彼を間抜けたらしめる唯一の事象は死に至るプロセスにある。射撃訓練中に弾を標的から外したアポロガイストは指先の不調を感じ、三日前から誤写が一発づつ増えているのに気付き、自分の再生改造手術を行った宮本博士を尋問する。宮本は「聞きたいことがある。」と云われるや否や「体の調子が悪くなったのか?」と尋ね、「そうか、とうとう始まったか…。」と呟く。当然聞き捨てならず、「『とうとう』だと?!」と問い詰めるアポロガイストに宮本は再生手術による寿命が一ヶ月しかないと告げる。
勿論アポロガイストは初耳である。その最期の日は何時か?と云う問いに宮本は、「三日前に指が痺れ出したのなら、早ければ今日一杯、遅くとも明日中…。」と答える。あんまりである。
さすがのアポロガイストもうろたえずにいられないが、書いていて「間抜け」というのが悪い気がしてきた。勿論そんな重要事項を前もって聞いてないのもいけないのだが…。
再度の手術を命ずるアポロガイスト。しかし再生手術は宮本と故川上博士(三上耕)の共同でなければ不可能で、肝心の川上はXライダーを逃がした咎でアポロガイストに抹殺されていた。
結局、Xライダーのパーフェクターを心臓に移植すれば延命できると知り、アポロガイストは最後の戦いに挑む。「用のなくなった奴は死ね!!」と宮本を射殺したのも無理はない。ウーム宮本の方が間抜けだ…。
第6位の磁石団長(声:沢りつお)と第5位のヨロイ騎士(声:池水通洋)は戦死である。そして全く同じ死を遂げている。
順位は生前の奮闘振りが若干優秀なヨロイ騎士の方がギャップが大きいとして上位に据えたが、実質同位である。
間抜けなのは2人とも死の扱いが雑魚同然なのに起因する。ではその経緯から解説しよう。
2人とも初登場は第36話で、最終回の第39話まで約一ヶ月間奮戦する。磁石団長は主に作戦実行、ヨロイ騎士は妨害してくるライダーの迎撃が任務である。それゆえ、磁石団長は戦闘の大半がストロンガーとの戦いであり、ヨロイ騎士は逆に2号ライダーを除く全てのライダーとの戦いを経験する。
主役・ストロンガーを敵に回した磁石団長の戦歴は芳しくないが、ヨロイ騎士はXライダーと一騎打ちしながらコンビナートの一部を爆破させる余裕を持ち、Xとアマゾンのタッグに連敗するものの堂々と渡り合い、ライダーマンは生け捕りにしている。1号ライダーにはさすがに敵わず、ライダーキックに敗れるが、気絶するだけで死なないのは流石だ。
同様にしてストロンガーの捕虜となった磁石団長とともにマシーン大元帥(声:市川治)の前に人質として引きずり出されるが、岩石大首領(声:納谷悟郎)に助けられ、立花藤兵衛を人質に再生怪人軍団とともに二人して最後の出撃に出る。
6人ライダーとの乱戦の中、磁石団長は主に1号、ヨロイ騎士は主にV3と渡り合う。ここに2人の不幸が待っている。
藤兵衛を人質に観戦するマシーン大元帥は乱戦の中にストロンガーがいないことに気付く。ストロンガーは「俺ならここにいる。」といって、背後から姿を現し、藤兵衛を人質に取っていた戦闘員をぶっ飛ばす。
マシーン大元帥は「よく来た、俺が相手だ。」と息巻くが、ストロンガーは「デルザー軍団最期の時だ。7人の仮面ライダーの敵ではない。見ろ!」と乱戦を指差すや、7人ライダーによって怪人達は一団の外側へ蹴り出され、ライダー達を囲む円周上で次々と爆破炎上していった。
勿論2人の改造魔人も一緒だ。絵的にはなかなかの演出である。しかし散々ライダー達を苦しめた改造魔人はその演出のために、数多くの改造人間の中にあって最弱の再生怪人同様の最期を遂げさせられたのである。簡単に云うと雑魚扱いである。「終わり良ければすべて良し」とは対局の間抜けさだ。
4位のゼロ大帝(中田博久)ともなると間抜けさも群を抜いてくる。ここで云うゼロ大帝は謎の支配者(声:阪脩)の正体としてのゼロ大帝ではなく、その影武者として、獣人や黒ジューシャ達への指示・処罰を行っていたゼロ大帝である。
武器であるビームランスの力でアマゾンライダーを無力化させ、捕らえることに成功し、アマゾンのギギの腕輪を奪おうとする。ここでさっさと取り外せばアマゾンを殺し、手持ちのガガの腕輪と一緒にすることで、古代インカの超化学の超エネルギーを手にすることが出来たのだが、間抜けなことに先にガガの腕輪を持ってきたために腕輪はゼロ大帝の手を離れ、アマゾンのギギの腕輪とドッキング、超エネルギーはアマゾンライダーの物となり、戒めを破られる。
いよいよ最後の決戦ということでランスを駆使して戦うゼロ大帝。形勢不利になるとアジト内を逃げ、地の利を活かしながら、長剣や拳でもって不意打ちを繰り返したが、三度目の逃走でなんと自分のアジト内に仕掛けた落とし穴に自分が落下するのである。
穴の底には十数本の槍が待っていてゼロ大帝は串刺しに…。いくら影武者とはいえ、事実上の大将であるのだから自分の罠に自分が嵌まらないで欲しいものである。流石に開いた口が塞がらなかった。謎の支配者のベールを剥ぐと再びゼロ大帝(←つまりこっちが本物)が現れたのも当然のような気がする。
第3位はゴルゴム創世王(声:渡辺猛)である。五万年の時を生き、寿命を迎えた創世王が次期創世王候補に二人の若者を選び、創世王の証のキングストーンを移植し、改造人間とし、片方が逃げて「仮面ライダー」を名乗ったことにより、『仮面ライダーBLACK』が始まる。
「ブラックサン」=黒き太陽である仮面ライダーと手術に成功し、ゴルゴムの世紀王となった「シャドームーン」=影の月(堀内孝人)を戦わせ、勝ち残った方に相手のキングストーンを与え、王の座を継がせるのが創世王の目的で、創世王の専用マシーンバトルホッパーにのるライダーと、創世王専用武器のサタンサーベルを振るうシャドームーンとの熾烈な戦いの末、ライダーはシャドームーンを追いつめる。
しかし、兄弟同然の親友を正体に持つシャドームーンに止めを刺せないライダーはその怒りを元凶の創世王に向け、最後の戦いを挑む。
寿命尽きかけで青色吐息の創世王は勝者であるブラックサンに「創世王の座に就け。」と命令するが当然拒否される。否、拒否というより無視である。
焦る創世王は自分の足元(ん?足ないぞ……?)に大穴を空け、「この穴は地球の中心に続いている。貴様がどうしても嫌というのならこの穴に飛び込んで最後の力でもって地球を木っ端微塵にしてやる。」とライダーを脅迫する。そんな事はさせじと創世王に攻撃を加えるライダーだがバリヤーに阻まれ、ロードセクターによるバイクアタックまで弾き返された。
ライダーの決意は変わらぬと見ていよいよ穴に飛び込もうとする創世王。その時ライダーは次期創世王候補である自分の身を振り返り、「サタンサーベル!」と叫ぶ。
かつて、自分と同じ世紀王である剣聖ビルゲニアやシャドームーンがバトルホッパーを操ったように、世紀王=創世王候補の自分なら彼等と同様に創世王専用武器のサタンサーベルを操れるのでは?と考えたのである。
狙い通り、サタンサーベルは意識朦朧とするシャドームーンの手を離れ、ライダーの手に召還された。「最期だ創世王!」の叫びとともに投げられたサーベルは創世王の心臓を直撃(もっとも、こいつは心臓しかないのだが)。ゴルゴムは最期を遂げた。
やりたい放題やったのは良いが、洗脳されていない候補者(しかも一方的に決め付けただけ)に世襲を強要して反発され、あらゆる攻撃を撥ね返しながら、自分の武器でやられた間抜け振りは特筆に価する。
第2位の十面鬼ゴルゴス(声:沢りつお)ともなると唖然茫然では済まされない。敗れて帰ってきた獣人達をバンバン処刑しておきながら、最後の一人の獣人ヘビトンボに「もう御前だけが頼りだ。」と無茶弱気。しかもこの後ヘビトンボにも裏切られるのである。
そう、彼こそ部下に反逆された首領第1号なのである。
ガガの腕輪のはめた右腕をアマゾンライダーに大切断され、終焉時を迎えたゴルゴス。
「アマゾンライダー、俺の最期を見ろ。」とうめくと体を上昇させ、大爆発。後に残されたのは濛々と上がるキノコ曇だった……ちょっと待てぃ!!核爆発を起こすような体ならわざわざ上昇せんとその場で爆発すればアマゾンライダーを道連れに出来たんとちゃうんかい!!
同じ負ける宿命なら華々しい最期を飾らなあかんぞ、という教訓を与えてくれるのがこの十面鬼ゴルゴスである。
第1位に文句無しに踊り込んだのはウルトラマンレオの終盤最大の悪役・ブラック司令(大林丈史)である。
ウルトラマンレオの第40話で登場したブラック司令は故郷のブラックスターから円盤生物第一号シルバーブルーメを召喚し、いきなりMACを全滅させる。生き延びたのは主役のオオトリゲン(真夏竜)だけである。
その直後地球を襲わせ、ゲンの親友や恋人達も命を落とした。円盤生物とレオの戦いが幕を開け、死闘は12週に及び、その度にブラック司令は水晶球を翳して新たな円盤生物を召喚し、レオに当たらせていた。
只円盤を呼ぶだけではなく、50話では円盤生物・ブニョ(蟹江敬三)とともに等身大のレオを生け捕りにし、冷凍解体に成功している。しかし翌週の最終回にとんでもなく情けない最期が彼を待っていた。
最後の円盤生物・ブラックエンドを相手に奮闘するレオ。レオの正体がゲンであることを知らされた梅田トオル(新井恒弘)はレオを応援する。目敏くそれを見つけたブラック司令はトオルを人質に取り、レオにブラックエンドへの抵抗の中止を命じた。
さしものレオも絶体絶命に陥る。と、そこへゲン達が下宿している美山家の次女にしてトオルの同級生・あゆみ(杉田かおる)が他の同級生達(10人程)とともにトオルとブラック司令を見つけた。
子供達は意を決すると大挙してトオル救出の為ブラック司令に突撃した。一斉にブラック司令にしがみつくや一人の少年が棒でもってブラック司令の刀を叩き落とし、トオルを救出した(←偉い!!)。
さあ子供達の攻撃が始まった。とは云えただの袋叩きである、ところがあゆみに右手を噛み付かれたブラック司令は円盤生物達を操っていた水晶球を取り落とすといきなり苦しみ出し、更にブラックエンドがレオに倒される時には顔が溶け出し絶命したのだ。
悪魔の星ブラックスターもレオに破壊され、レオは子供達の勇気に感激し、オオトリゲンの姿に戻るとトオルと美山家の人々に別れを告げ、ヨットに乗り、いずことも無く旅立っていった。ここに『ウルトラマンレオ』は完結した。
作品としては良いラストなのだが、ブラック司令の最後は惨めだ。早い話、10人前後の子供達のリンチに遭って死んだのだ。
確かに弱点を突かれれば子供に倒されてしまうこともありうる話ではある。しかし実際に子供に殺られた幹部クラスの悪役はこいつぐらいである。
これにてオシマイ次は「懲りずに菜根版怪獣VOW」で会いましょう。
令和三(2021)年六月一一日 最終更新