このタイトルは『帰ってきたウルトラマン』のパクリですが、誤植ではありません。

帰ってきたウルトラメン

 平成一九(2007)年2月24日、『ウルトラマンメビウス』第45話「デスレムの企み」において、民衆達の声援を受けてウルトラマンメビウスは策謀宇宙人デスレム(声:郷里大輔)に猛攻を仕掛けた。

 謀略に長けても、肉弾戦では全くメビウスに抗し得ないデスレムは扇形の左手を振って、天空より召還した火球でもって人質にしていたGUYS CREW5名(サコミズ隊長(田中実)、アイハラ・リュウ(仁科克基)、カザマ・マリナ(斉川あい)、アマガイ・コノミ(平田弥里)、クゼ・テッペイ(内野謙太))が搭乗するフェニックスネストを破壊せんとした。

 その時、地上で成り行きを見ていた郷秀樹(団時朗)は右手を上げるとウルトラマンジャックに変身。上空に飛び立つや、ウルトラVバリヤーの構えを取って、フェニックスネストを襲う火球を次々と弾き返した!
 ウルトラVバリヤーはかつて、キングザウルス3世の光線、ゴルバゴスの火球、宇宙恐竜ゼットン(二代目)の1兆度とも云われるメテオ火球をも防ぎ切った防御技で、デスレムは何発もの火球をフェニックスネストに放ったが、全てジャックによって防がれた(ちなみに一般民衆に向けたそれはイカルガ・ジョージの放った、メテオールキャプチャーキューブで防がれた)。

 その時、体を張ってGUYS CREWの面々を守るウルトラマンジャックの雄姿を見上げていた。キクチ電器商会社長(きくち英一)は、彼の身を案じて駆け付けて来た店員(シンスケ)の肩を叩いて、感泣しながら「ウルトラマンが……帰ってきた…。」と呟いた(笑&\(^o^)/バンザーイ〜)。
 その時、台詞の末尾(つまり大文字の部分)はその放送をリアルタイムで観ていたシルバータイタンの呟きと見事にハモった(爆)。
 ギャクであり、古くからのファンへのサービスであり、お約束であり、また地球へやってきて地球人を守ってくれるウルトラマンジャックへの最大の感謝の声でもあり、思いっ切り予想通りでありながら、予想通りが嬉しい台詞でもあった。

 既におおとりゲンを演じた真夏竜氏、矢的猛を演じた長谷川初範氏、北斗星司を演じた高峰圭二氏、南夕子を演じた星光子氏が同番組で客演を果たしていた時から、シルバータイタンの中ではウルトラマンシリーズ四〇周年記念作品である『ウルトラマンメビウス』における客演ウルトラマン達と、それに依存せず、しかし先達者・先達設定達を立てた好展開を見せる現役俳優達の活躍を触れる項を制作したいと考えていた。
 きくち氏の台詞とハモったその瞬間、この台詞こそが、多くの古くからのウルトラファンが待ち望んだ気持ちを雄弁に代弁した、と痛感した。

 昭和五五(1980)年放映の『ウルトラマン80』以降、幾つものウルトラマンの名を関する作品が放映されたものの、『80』の正式な後継とされたのはこの『ウルトラマンメビウス』だった。
 四半世紀の時を経て生まれたウルトラマンのルーキーの元へ駆け付けたウルトラマン達が何を背負って、如何なるニーズに応え、ファン達を喜ばせてくれたのか?
 特撮を愛し、幼き日よりウルトラマン達の活躍に胸を躍らせ、再放送・ビデオを何度も見てきた身が時に初めて、時に懐かしく観たウルトラマン達の活躍を追いつつ、そこに刻まれたメッセージに迫りたい。



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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新