初めに これは宝島社の「怪獣VOW」シリーズのパクリです。
間抜けな行動
「間抜け」−軽い響きでありながら、時に洒落にならないものを及ぼす人間行動の欠陥である。「間抜け」で命を落とす奴は現実の世界や歴史上にも数限りなく存在するが、特撮の世界においては笑えるときと、泣くに泣けないときが両極端であり、好対照でもある。
ここでは墓穴を掘ったり、視聴者をはらはらさせてくれた間抜けな「行動」に注目しよう。
灯台下暗し 「キングダーク悪魔の発明」(『仮面ライダーX』第23話)
GODはすべての物質を分子レベルに分解してしまう極分子復元装置−略称・RS装置の開発を南原総一郎(伊藤久哉)博士に強制していた。後に南原は設計図を9つに裂いて、知人・友人の科学者に託し、その設計図を巡るXライダーとGODの戦いがキングダーク編である。
ともあれ、当初、GODはなかなか設計図を完成させない南原に苛立っていた。実は南原はとっくに設計図を完成させていたのだが、GODが悪用するのは目に見えていた(何せ破壊にしか利用出来ない)ので、未完成の様に見せ、助手にも秘密にしていたのだ。
ある日の休憩時間、南原と助手・玉井(池上明治)は休憩室で休憩していた。玉井は南原にRS装置の設計図は既に完成しているのでは?と問うた。盗聴を恐れて黙り込む南原に玉井は「先生、大丈夫です。この部屋は盗聴される心配はありません。」と断言した。
玉井の言葉に安心した南原は「完成している。」と白状した。真相を聞いて喜び、南原と人類の為に玉井は事実の秘匿を約束した。
確かに部屋に盗聴器は仕掛けられていなかった。
しかし白衣の第二ボタンにはしっかりと盗聴機が仕掛けられ、2人の会話はGODに筒抜けになっていましたとさ。あほか、玉井!
情けない花探し 「魔女怪人ケイト 血の呪い」(『仮面ライダーストロンガー』第29話)
デルザー軍団の改造魔人の一番手、鋼鉄参謀(声:市川治)の怪力の前にストロンガーは3度に渡って敗れた。その間に荒ワシ師団長(声:安原義人)を倒し、ドクター・ケイト(声:曽我町子)とも干戈を交えた。そのドクターケイト戦に鋼鉄参謀は介入したことから、彼女の恨みを買い、ストロンガーとの4度目の対戦において、ケイトガスを浴びせられ、ケイトガスに弱い体であることがストロンガーに暴露されてしまった。
仮面ライダーストロンガーは歴代ライダーの中にあって、理知的で、時に敵と手を結んだり、相手の弱点に付け込んだりするのを躊躇わない性格が目立つライダーだった。当然、ケイトの毒ガスを利用する方法を採択した。
首無し塚における5度目の対戦で何とか互角に戦っていたストロンガーだが、鋼鉄参謀の体が先の毒ガスの影響を全く残していないのに焦りを覚えていた。ドクターケイトが鶏頭の花の形状をした、頭部、杖、周囲の鶏頭の花から毒ガスを出すことを知っていたストロンガーは鋼鉄参謀に背中を見せるや、「ケイトの毒花は何処だ……。」とうわずった声で、花を探し出したのであった。
その後何とか花を見付け、川に落としてガスを発生させ、そのガス中に鋼鉄参謀を誘い込み、半身不随状態にして止めの電キックで勝利したストロンガーだったが、花を求めてうろたえる姿は、「これがないと勝ち目がありません。」と宣言しているようで見られたものじゃなかった。
そんなもん落とすな 「来れ城茂 月給百万円のアリコマンド養成所へ」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第38話)
ネオショッカーは月給100万円を餌に若い男を拉致し、脳改造手術の研究を進めていた。「マコリアインターナショナル」の求人募集記事を見て怪しいと睨んだ筑波洋(村上弘明)は変装して、応募したが、魔神提督(中庸助)の罠に落ちて捕らえられ、消息を絶った。
洋からの連絡がないことに苛立つ喫茶ブランカの面々だったが、城茂(荒木茂)が救援に駆けつけたことに力を得て、マコリアインターナショナルを訪れた。
しかし既に幽霊企業は立ち去った後だった。茂と谷源次郎(塚本信夫)は「マコリア」を逆に読めば「アリコマ」になり、いよいよネオショッカーの仕業に違いないとの確信を高める。
そこへ、清掃係の爺さんが、こんな物が落ちていたと云って、一枚の地図を2人に渡した。アリコマンド養成所の地図である。城茂はすぐに駆けつけた。ここで一言、そんなもん残しとくなアホーである。
おまえはアホだ 「洋の父が生きていた 改造人間FX−777とは?」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第52話)
主人公・筑波洋の両親はネオショッカーのために爆殺されていた。洋は両親の墓参りの直後、城茂から、父の親友だった長沼博士(西本裕行)がネオショッカーに捕らえられているのを発見した、との報い受け、茂とともに長沼を救出した。
その長沼から、死んだ筈の両親が生きている、と告げられた洋は取り乱した。洋は父が生きているのなら、ネオショっカーの悪事に加担しているのかもしれないとの恐怖に囚われたのであった。
「お父さんを信じるんだ。」と云って落ち着かせようとする茂とともに、洋は長沼博士に教えられた、小児病院に急行した。小児病院とは仮の姿で、そこはアリコマンドの診療所だった。
そこの所長・ドクターXを尋問する洋と茂。ドクターXは殺気立つ洋に対し、「私は科学者だ。暴力は好まん。話すから、乱暴は止めてくれ。」と云って、洋の父の話をした。
ドクターXの話によると、人工心臓学の権威にして優秀な科学者だった洋の父(加藤和夫)はネオショッカーの仲間になるのを断固として拒否し、そのため車に時限爆弾を仕掛けられ、洋の母である妻(折原啓子)とともに木っ端微塵にされた。
ところが、命を落とした筈の洋の父の脳と心臓だけは全く傷つかずに残ったため、ドクターXの手で、改造人間FX−777として甦ったと云うのである。洋は父が自分と同じ改造人間になっていると聞かされ、衝撃を受けた。
元々この話は洋の心を悲しみでかき乱す為に、魔神提督が仕組んだ作り話だった。ところが、罠に嵌めているうちにハイテンションになったのか、ドクターXは「改造人間FX−777の改造を行ったのはこの儂じゃよ。」、といきなり自慢話に入り、よせば良いのに、「姿形はすっかり変わってしまったが、FX-777は儂が改造したなかでも、最高の改造人間じゃよ、うはははははははー。」と高笑いし始めた。
このアホな男がこの後どういう目に遭ったかは説明する必要はあるまい。
身の程知らず
「彼を知り、己を知れば百戦して危うからず。」−余りにも有名な『孫子』の一説である。
この点において、戦略・戦術重視のヒーロー番組の登場人物はよく敵を研究しているが、逆に自分のことを知らん奴が多い。「知識」として知らないのは学べば良いのだが、「自覚が無い」のはなかなか難しいものがある。
ここでは身の程を知らない正義のヒーローに御登場を願った。「己を知る」ことの大切さ、 「己を知らない」恐ろしさを認識して頂きたい。
ビッグマウス・ライダーマン 「ライダー捕らわる デルザー万歳」(『仮面ライダーストロンガー』第37話)
ライダーマンは悲しきヒーローである。改造人間になった経緯も、その弱さも。しかも厄介なことに、物静かで、弱い優男であるにもかかわらず、このライダーマンは非常に好戦的なのだ。
地震発生装置での破壊工作を目論むデルザー軍団を発見した城茂が阻止しようとしたところを、味方とも知らず、「あいつらは俺の獲物だ。」と云って突っかかる始末である。
V3の仲裁で、茂が味方であることを知ったライダーマンは結城丈二(山口暁)の姿に戻り、風見志郎(宮内洋)とともに富士ダムの警護に向かうのだが、好戦的な性格も身の程知らずも変わっていなかった。
富士ダム近辺にデルザーの影が全く見えず、訝しがる風見に対し、結城は「いくらデルザー軍団でも、俺と風見さんの姿を見れば逃げ出すでしょう。」と自信満々だった。その後一分と立たずしてダムを破壊され、2人して大水をかぶっていたのだから見下げたものである。
だが、そこは客演でもヒーロー、水に流された、と思っていたヨロイ騎士(声:池水通洋)とその戦闘員の前に、V3、ライダーマンとなって現れた。V3&ライダーマン対磁石団長(声:沢りつ夫)&ヨロイ騎士の2対2なので、当然マンツーマンの戦闘に入った。
で、問題の組み合わせだが、ライダーマンが「V3、俺はギリシャからヨロイ騎士を追ってきた。任せてくれ。」と云ったので、「よし、こっちは磁石団長だ。」とあっさり決まった(こういう決め方は妥当である)。
ところが、自信満々に云い放ち、ヨロイ騎士とその戦闘員に突っかかっていったライダーマンは戦闘員を3人叩き伏せるも、ヨロイ騎士にサーベルを突きつけられると途端にピンチに陥った。一方、V3は磁石団長戦闘員と余裕で戦っていたが、磁石団長の作動した地震発生装置により、地割れの中へ落とされ、捕らえられた。
「ライダーV3を捕まえたぞー、ヨロイ騎士、そっちはどうだー。」と磁石団長が問えば、「こっちも捕まえたぞー。」と川に浮かぶライダーマンを戦闘員が回収していた。
そう、アクションシーンもろくに無しに敗れたのである。
右腕だけの改造の改造人間・ライダーマンが他の仮面ライダーより弱いのは仕方のないことである。まして、デルザー軍団は強い、無理は云わない。好戦的な性格もそれ自体が悪いわけではない。しかしライダーマンよ、ビッグマウスは慎んだ方がいい。
ビッグマウス・筑波洋 「ストロンガー登場2人ライダー対強敵2怪人」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第21話)
強敵サイダンプとクラゲロンの為にピンチに陥ったスカイライダーはストロンガーの助けを得て、窮地を脱した。「クラゲロンは任せろ。」とストロンガーが云うので、スカイライダーはサイダンプ打倒を誓って、一先ず、喫茶店・ブランカに戻って、マスター・谷源次郎(塚本信夫)に「仮面ライダーに会ってきました。」と報告した。
初め、洋の云うことを飲み込めず、怪訝な表情をした谷だったが、頼もしい味方の出現に顔をほころばせた。と、そこへ、叶茂(白鳥恒視)が、「ねぇ、洋さん、仮面ライダーとストロンガーはどっちが強いの?」と尋ねた。
洋は困った顔をして、「うーん、難しいなぁ。」と前置きして、「茂、仮面ライダーの強さは皆同じなんだ。」と云っていた。
勿論、閲覧者諸兄にも異論はあるだろうが、シルバータイタンに云わせると、少なくとも、危ういところを助けてくれた先輩と自分を同格にするのはどうかと思う。結局、サイダンプは特訓で倒したものの、クラゲロンには一度も勝ってないんだからさぁ。
勘違い
力だけでは戦いには勝てない。頭を使うことも大切である。「頭を使う」とは何も知識が多ければ良いと云うものではない(勿論多い方が望ましい)。
その場その場での機転、時には「勘」も大切だ。少々、否、かなり「戦場で大切なのは運と勘。」と云う奴も入る(参考文献・『魁!男塾』第2巻)。
特撮の世界では勘で命拾いすることも多いのだが、逆に真剣な割には今一つ何を考えているのか、見当違いなことー勘違いしているとしか思えないシーンがある。
そこでここでは常識で考えたら出て来る筈のない、勘違い的言動に注目した。
恐ろしかねーって 「仮面ライダーは二度死ぬ」(『仮面ライダー』第81話)
前の第80話で仮面ライダーはゲルショッカーの怪人1号のガニコウモルと空中で衝突し、火の玉となって、猿島沖の海中に姿を消した。
ライダーが死んだものと思い込み、悲嘆に暮れる立花藤兵衛(小林昭二)、滝和也(千葉治郎)、そして少年ライダー隊の面々。が、しかし、いつまでも悲嘆に暮れてはおれず、滝は今後は自分たちだけの力でゲルショッカーと戦わなければならない、と少年ライダー隊の面々に告げた。
そんな中、、「ツツシンデカメンライダーノシヲイタミマス」と云う弔電と花輪がゲルショッカー・ブラック将軍(丹羽又三郎)の名で届いた。質の悪い贈り物に激昂する一同だが、滝は花輪に時計の音を聞きつけ、花輪を持つと脱兎の如く事務所の外に飛び出した。
程なく、予想通り、爆発音が聞こえた。一同は滝の身を案じるが、滝は顔面を煤だらけにしたものの、大した怪我も無く、事務所に戻って云った。「どうだ、ゲルショッカーはこんな恐ろしい事を平気でするんだぞ。」
をひをひ、その程度の事どんな組織でも平気でするし、顔面煤だらけになる程度の事が恐ろしいとは思えんぞ、滝和也。
無茶云うな、オヤっさん 「怪人ガラオックスの空飛ぶ自動車!!」(『仮面ライダー』第95話)
ゲルショッカーとの戦いにおいて、仮面ライダー1号・本郷猛は3度生死不明となって行方をくらませた(勿論生きていた)。
その3度目の行方不明で、ライダーはゲルショッカー怪人・ガラオックスとの空中戦で真紅のマフラーを残して姿を消した。
ライダーが死んだものと思い込んだオヤっさんと滝は復讐に燃え、この状況を利用して、ライダーの仇を取ろうと画策した。
作戦として、本郷猛(藤岡弘)が重傷を負ったものの、生きている事にして、救急車を要請する無線をわざとゲルショッカーに傍受させ、救急車に本郷に変装した滝(←顔中包帯だらけにしていた)を乗せ、襲ってきたガラオックスをダイナマイトを仕掛けた広場に誘導し、爆殺しようとした。
ガラオックスの誘き出しには成功したものの、正体がバれ、ダイナマイトを仕掛けた広場でガラオックスに羽交い締めにされた滝は、自分もろともガラオックスを爆殺するよう、オヤっさんに懇願した。
苦渋の表情で「滝、済まん」と云って、ダイナマイトを起爆しようとした藤兵衛。しかし、そこへサイクロン号に乗った仮面ライダー1号が現われ、ガラオックスとの戦闘になった。勿論、もうダイナマイトが爆発する事はなかった。
ガラオックスとの死闘に勝利したライダーは藤兵衛に「オヤっさん、心配かけて済まんです(←御前は田舎者か)」と謝った。それに対する藤兵衛の台詞がすごかった。「馬鹿野郎!死んだなら死んだって電話ぐらい寄越せ!」当然のように滝に「そりゃ無理ってもんだぜ。」と突っ込まれていた。
気付かんかい 「ゲルショッカー全滅 首領の最期」 (『仮面ライダー』最終話)
ゲルショッカーの大幹部・ブラック将軍の正体はヒルカメレオンである。その能力は蛭のように血を吸ったり、カメレオンのように保護色で姿を消したりするのは勿論、人間の生き血で死んだ改造人間を甦らせる能力があった。
前の第97話で本郷猛を変身不可能にして生け捕ったヒルカメレオンは、本郷の見ている前で、少年ライダー隊の面々の血を採り、ゲルショッカー怪人を甦らせると宣言した。
週が変わって、あわやと云うところで何の脈絡もなく仮面ライダー2号が現われ、自由を得た本郷は1号に変身して、2号と協力して逆にヒルカメレオンを生け捕りにした。
そこへブラック将軍の声(実はヒルカメレオンの腹話術)がアジト内に響いた。ゲルショッカーの人体実験用の囚人を釈放するのでその代わりにヒルカメレオンを返せと云うのであった。
提案に応じた2人のライダーは生身に戻って、ヒルカメレオンを連れて約束の場所、パルパル公園の怪人展示場に行く。そこにはかつて二人のライダーに敗れたゲルショッカーの改造人間達の人形が立っていた。
もう予測済みだと思うが、人形達は本物である。しかし一文字隼人(佐々木剛)は平然と「良く出来た作り物だ…。」 とのたまっていた。。をひをひ、前の週にヒルカメレオンが改造人間を蘇生させる能力がある事を云っていたのだから、少しは疑えよぉ、一文字ぃ。
日本語を勉強し直せ 「敵か味方か 謎のライダーマン」(『仮面ライダーV3』第43話)
デストロン最後の大幹部・ヨロイ元帥(中村文弥)はかなりアホである。ライダーマンという敵を生んだり、最終回でV3を首領の元まで案内したりしていたが、ライダーマン誕生のこの話を見ると国語力も低そうである。
ヨロイ元帥に右腕を溶かされ、助けてくれた助手達をカマクビガメに殺されたデストロンの科学者・結城丈二は復讐の鬼・ライダーマンとなってデストロンのアジトに乗り込みヨロイ元帥と対峙した。
ライダーマンが結城である事を既に知っていたヨロイ元帥はカマクビガメをライダーマンに当たらせた。
右腕だけの改造人間である事に加えて、これが初陣のライダーマンは早くも劣勢に立たされた。それを見たヨロイ元帥は得意満面の笑みに残忍さを浮かべ、ライダーマンを罵った。「馬鹿め、カマクビガメは貴様の敵ではない!」と。…これって、カマクビガメの方が弱い奴に取れてしまうと思うんですけど………。
設定はきちんと把握しよう
特撮物では設定は重要だ。数も種類も多く、番組に出てこない物や一度きりのものも多く、最初は謎にされているものも少なくない。
いわゆる伏線と云う奴も然りである。しかし、設定が多いのは結構なのだが、その多さが仇となって、「前の設定忘れてるだろう。」、とか「いいかげんな設定だ」とか、「ころころ変えてやがる。」と云いたくなるものも多いので、以下に列挙した。
弱点克服?! 「一つ目タイタン 最後の攻撃」 「地底王国の魔王」(『仮面ライダーストロンガー』第13話・第23話)
ブラックサタンの大幹部一つ目タイタン(浜田晃)は改造火の玉人間である。仮面ライダーストロンガーが電気をエネルギー源にしているのに対し、タイタンはマグマをエネルギーとしていた。
第13話で、タイタンは強化手術を受け、3倍のエネルギーを手にした。タイタンの説明によるとこれは24万度のパワーを持ち、ストロンガーの2倍だという。ということはストロンガーの5万ボルトのエネルギーは熱エネルギーに換算して12万度ということになり、これが科学的に正しいかどうかは柳田理科雄氏に御任せしよう(笑)。
さて、ストロンガーとタイタンの決戦だが、熱エネルギーでストロンガーを上回るタイタンは優勢に戦いを進めていたが、頭脳派のストロンガーはタイタンの強い熱エネルギーを逆用することを思い付き、タイタンを海中に投擲した。思惑通り、タイタンは水に弱く、あっけない最期を遂げた。
1ヶ月後に百目タイタンとして甦ったタイタンは、以前にもましてストロンガー殺しに生き甲斐を感じていた。そんなストロンガーとタイタンの死闘はその後一ヶ月半に及び、ついにタイタンの根城の地底王国において最終決戦のときを迎えた。
地底王国の地底湖湖畔において、ストロンガーは奇っ械人ドクガランを倒した。そこへ現れたのはブラックサタンの雇われ幹部のジェネラル・シャドゥ(声:柴田秀勝)。シャドゥはタイタンの決死振りを伝え、ストロンガーに「死ぬな。」と云い残し(←自分が殺したいからである)、姿を消した。
否が応でも漲る緊張感!そしてついに百目タイタンが現れた!!湖の中から(爆)…………ちょっと待てぃ!御前、水が弱点じゃなかったのかよ、タイタン!しかもこの時タイタンは前回の30倍のエネルギーを詰め込む強化手術を行っているのだ。30倍水に弱くなっていると思うのだが………ちゃんと設定は覚えていなさい、石ノ森プロ。
「タイタン」って、名前からして海には沈んでしまいそうだから、湖ぐらい勘弁してあげようよ。
生殖可能なのか? デルザー軍団(『仮面ライダーストロンガー』)
ブラックサタン滅亡後、ジェネラル・シャドゥに率いられて出現したデルザー軍団はとても強かった。まず、ベースが違った。
それまでの悪の組織が改造人間を擁していたのに対し、デルザーが擁していたのは改造魔人だった。そう、彼らは生まれながらにして人間ではないのである。
しかし、その設定が変なのである。彼等の会話から推察するに、彼等の出身は「遠い魔の国」であり、構成員は「太古の昔より、人間達に恐れられてきた魔物の子孫」だというのである。
実際、どういう魔物の子孫かはっきりしてはいない奴が多いが、「初代を尊敬・崇拝していること」と、「子孫であることにプライドを持っていること」が共通している。
はっきりしているところでは、オオカミ長官(声:峰恵研)が狼男、隊長ブランク(声:辻村真人)がフランケンシュタイン、岩石男爵(声:沢りつ夫)がスフィンクス、マシーン大元帥(声:市川治)がミイラ男の子孫ということになっていた。が、ちょっと待って欲しい。
これらの魔物が実在したのか?などという愚問は呈さないが(第一、『仮面ライダーストロンガー』は架空の話だ)、生殖能力には疑問を抱かざるを得ない。
狼男やスフィンクスは何とか理解出来ないでもないが、フランケンやミイラにSEXが出来るのか?特にミイラ男はその加工法から考えて、射精可能な機能は除外されている(或るいは腐っている)と考えるべきだろう。
台詞の空中分解 「二人の仮面ライダーもう一人は誰だ」 、「ストロンガー登場2人ライダー対強敵2怪人」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第20話・第21話)
ヒーロー番組において、ストーリーが2週に渡るときにはある種のパターンが多い。遠隔地ロケや最終回、誕生時、大幹部との決戦等がそうだが、客演ヒーロー登場時もその傾向が顕著である。
特に素顔で登場すると大抵は2週連続登場である。ところが、前の週と後の週の辻褄が合わないことがちょくちょくある。
この話、「二人の〜」では、スカイライダーは、必殺技・スカイキックの通じない強敵、クラゲロン(東南アジアから来た)とサイダンプ(インドから来た)のためにかつてないピンチに陥った。そこに颯爽と雄姿を現した仮面ライダーストロンガー。
スカイライダーは自分以外にも仮面ライダーがいたことを初めて知り、驚いた。一方、2人のネオショッカー怪人は何者が現れたのか分からない様子で、サイダンプが、「誰だあいつは?」と問えば、クラゲロンは「俺が知るか。」、と少なくとも、クラゲロン自身は間違っても関わり合いのない人物のように思わせておいて、物語は翌週に続いた。
ところが、翌週、クラゲロンが吐いた一発目の台詞が「おのれ、ストロンガーいつのまに…。」だった。前週と後週の見事な空中分解であった。
余った一人は何処? 「助けて〜くもの巣館の恋人たち」(『仮面ライダースーパー1』第6話)
悪の組織ドグマは熱々のカップルの拉致を繰り返していた。
その目的は理想的な夫婦作りで、若く健康的な男女を攫い、1人1人をコンピューターにかけ、理想的な男女の組合せを選び、無理矢理一緒にし、一つの村を形成し、子供を増やして、ドグマのための理想国家を築く、という気の長い計画だった。
ヒロインである、草波ハルミ(田中由美子)の親友も、結婚式最中に新郎ともども、スパイダーババンに攫われた。事態を憂慮したハルミは沖一也(高杉俊价)とともに囮捜査を行ったが、途中でバレて、ハルミだけ攫われた。
攫われたハルミはそこで、コンピューターのテストにかけられ、他の若者達同様、ドグマのコンピューターが選んだ男性と結婚させられそうになった。
勿論、計画そのものは仮面スーパー1の活躍によって粉砕され、若き男女達はそれぞれ、愛する人の元に戻った訳だが、くだらんことにこだわると、次々とカップルが攫われ、その後、ハルミだけが攫われたことを考えると、女性が1人余るはずなのだが、そいつは何処に行ったのだろう?
わざとらしいぞ
元々テレビ番組は作られた話なので、「偶然は必然」であり、わざとらしい台詞や行動はとても多いし、視聴者も理解はしている。しかし、物には限度がある。余りにわざとらしい例をここに暴露する。
業とらしい人物紹介 「8人の仮面ライダー」(『仮面ライダー』第93話)
アンチショッカー同盟日本支部に南米支部より、ゲルショッカー首領の正体を解析したコンピューターテープが送られてきたが、これはゲルショッカーの裏をかいた偽テープだった。本物のテープの行方を訝しがる、藤兵衛、滝、同盟員達。そこに「本物のテープはここだ。」と云って、1人の男が現れた。
南米のアンチショッカー同盟が指名したと名乗るその男がグラサンを取った。「正月ぐらい日本で過ごそうと思ってね。」と語る男の顔を見て、即座に滝が、「一文字!」、間髪入れずオヤっさんが、「隼人!」と叫んだ。
そう、単に久し振りに帰国した仮面ライダー2号・一文字隼人との再会を喜ぶシーンなのだが、滝とオヤっさんがそれぞれ、タイミング良く、姓と名を別々に呼んだのが、凄まじく業とらしくて、凄まじく親切で、妙に印象に残ってしまった一場面でした。
「隼人!」→「一文字!」の順だったら何の情緒も無かったと思う。
藤兵衛オオボケ 「一つ目怪人の人さらい作戦」(『仮面ライダーX』第5話)
仮面ライダーXの第5話目に当たるこの話では仮面ライダーX・神敬介(速水亮)と立花藤兵衛の邂逅が描かれている。つまり藤兵衛は『仮面ライダーV3』最終回以来の登場であり、それを意識したとしか思えない大ボケをかました。
原付で山手の道路を走っていた藤兵衛は、幼稚園の通園バスを見かける。無邪気に手を振る園児達に同じく笑顔で手を振り返す藤兵衛だったが、山中に幼稚園などあったのか?と訝しがりつつ喫茶店に戻った。
その後、園児達はGODに拉致され、ニュースを聞いた藤兵衛は新たな悪の出現にどうしたものかと思案していたところ、いきなり肩を叩かれた。
叩いたのは神敬介で、GODの動きを追っていた彼はたまたま喫茶店の前を通り、ニュースの声と藤兵衛の独り言を聞きつけ、店内に入って来たのであった。
カイゾーグ(改造人間)になって間も無い敬介は力の加減を知らず、ポンと叩いたつもりが藤兵衛にはとても痛かった。しかも店外に聞こえる筈のない藤兵衛の独り言が聞こえたので入ってきたと云うのだ(←勿論改造人間だから聞こえたのだが)。
露骨に敬介を怪しむ藤兵衛は一喝した。「まさか、御前、デストロンの改造人間じゃあないだろうなぁ?!」
デストロン滅亡から1ヶ月後のわざとらしい大ボケでした。
業とらしい変身ポーズ 「改造人間 大空を飛ぶ」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第1話)
大抵のヒーローは変身ポーズを取って変身する。変身方法が途中で変わることや、画面上はしょられて一瞬で完了することもあるが、正しい順序を経ないと駄目らしい。
仮面ライダーXは右肩を怪我したときに腕が上がらず変身出来なかったことがあった。
仮面ライダースーパー1も最初は宇宙研究所のメインコンピューターの操作で変身していたので、コンピューターがドグマ怪人ファイヤーコングに破壊された後は変身ポーズを身につけるのに相当苦労した。
一方で、風見志郎や城茂のように教えられてもいないのに変身ポーズを体得していた奴もいたが、明らかに改造直後に変身ポーズを知らなかった奴がいた。スカイライダー・筑波洋である。
ネオショッカーのために致命傷を負い、改造された洋は、覚醒したとき、自分が何故助かったのかも分からぬまま、改造人間テストとして、いきなりアリコマンドとの格闘に放り込まれた。
ガメレオジンは志度博士(田畑孝)に「どうすれば本来の姿になるか教えてやれ。」と促した。だが蘇生の為とはいえ、洋を改造人間にしてしまったことに自責の念を感じる志度は「私には云えない……。」と呟いたため、訳の分からないまま洋とアリコマンドの戦闘は続いた。
洋は群がるアリコマンド2人に左右の正拳突きを食らわせ、1人のアリコマンドの頭を引っつかみ、右フックを食らわせた。その瞬間志度が叫んだ。「それだー!!」……そう、格闘の途中で洋の取った行動が、偶然、変身ポーズを辿っていたのである。何てわざとらしいんだ……。
正しい変身ポーズ
偶然の変身ポーズ
1.殴る 2.殴る 3.頭を掴む 4.回す 5.右フック 6.飛ぶ
↑「それだー!!」(BY志度敬太郎)
不可解 特撮の世界は人知を超えた存在の闊歩する世界である。現存する科学を大きく上回り、人類が初めて遭遇する謎の生命体が登場するのであるから、不可解な存在があって当たり前なのだが、そうゆう科学的に不可解なのは許せるとして、話の流れや、常識的行動の観点から見て不可解なのはどうも解せない。
このコーナーではそういった観点から見た不可解を追求する。
見事な言行不一致 「V3対ライダーマン」(『仮面ライダーV3』第44話)
ライダーマン・結城丈二は仲間であるデストロンの大幹部・ヨロイ元帥に裏切られ、死の危機に立たされた。彼を敬愛する科学者グループの三人の助手達に救われ、一命は取りとめたものの、右腕は溶けてなくなり、更に3人の助手達もカマクビガメに惨殺された。
当然の様に自責の念に駆られた結城だが、如何せんライダーマンとしての力(←しかも戦闘経験も不足)ではカマクビガメには敵わなかった。
そこへ追い討ちをかけるように、デストロンは重傷の結城の看護をした看護婦・片桐雪江(井上真彩子)を拉致した。彼女は結城を庇って死んだ、彼の助手・片桐二郎(平野康)の妹だった。
勿論結城はじっとしていられず、デストロンの呼び出しに罠と知りつつ、単身呼び出された廃工場へ急行せんとしたが、風見志郎に止められる。勿論結城は応じなかった。
「どけっ」と云う結城に、「腕ずくで止める。」と云う風見は殴り合いになり、鳩尾に一打を食らって結城は昏倒した。
一方、廃工場では、雪江を人質にしたカマクビガメが雪江を助けに来る結城をデストロンガスで殺そうと待ち構えていたが、現れたのは戦闘員に化けたV3だった。息巻くカマクビガメ。
そこに梁の上から、「ライダーマンもいるぞ。」と云う台詞が轟いた。のこのこしゃしゃり出てくるライダーマンに怒りを顕わにするV3、とても共闘しそうにない。
カマクビガメが、「V3、ライダーマン、どっちからでも掛かって来い!」と叫ぶとすかさずライダーマンが「私が先だ。」と叫んだ。
ところがである。この後の2人の言動がそれまでの言動とものの見事に一致しないのである。V3はカマクビガメに、ライダーマンは雪江のもとに走り、「V3、雪江さんは私に任せろ。」と云えば、V3は「おお、頼んだぞ、ライダーマン。」と快諾した。……………うーむ、「私が先だ。」→「雪江さんは私に…。」どうして僅か数秒で言動が180度変わるのかねぇ。
雪江さんに対して責任を感じているのなら、カマクビガメとの戦闘より雪江救出に向かったライダーマンの行為は正しいとは思うがね。
どこに消えたの? 「GOD秘密基地 Xライダー潜入す」・「逆襲アポロガイスト」(『仮面ライダーX』第15話・第16話)
GOD総司令(声:阪脩)は秘密メンバーである城北大学の宮本博士(灰地順)を招聘した。それを察知した神敬介は、宮本に変装して、GOD秘密基地、アポロン宮殿に潜入したが、本物の宮本のために正体がばれ、死神クロノスとの戦闘のまま翌週に続いた。
その時、ラストシーンで断崖絶壁の上でクロノスと戦うXライダーを1人の戦闘工作員が狙撃せんとしてライフルを構えていた。ところが翌週、彼の姿はきれいさっぱり消えていて、クロノスは大鎌でXライダーの左肩に重傷を負わすも、自身はXキックを受けて爆死した。一体何だったんだあいつは……?
THE お茶目 「アポロガイスト最後の総攻撃」(『仮面ライダーX』第21話)
1度Xライダーに敗れたGOD秘密警察第一室長・アポロガイスト(打田康比古)は再生手術で甦ったものの、その寿命は1ヶ月しかなく、突然余命1日宣告を受けた。延命の為にはXライダーのパーフェクターを埋め込まなければならないという。
なりふり構っていられなくなったアポロガイストはXライダーと決着を付ける為、立花藤兵衛の喫茶店でアルバイトする二人の女子大生、チコ(早田みゆき)・マコ(板田チサ子)を誘拐し、店内には3人の再生改造人間を残した。
2人の救出に駆けつけたXは再生改造人間2人(ユリシーズ&プロメテス)をあっさり倒し、1人(マッハアキレス)を捕虜にし、その手引きでアポロガイストのアジトに向かった。結果、藤兵衛の喫茶店内は惨憺たる有り様となった。
1人店内で途方に暮れる藤兵衛は「GODめ、請求書でも送り付けたいところだ……。」と愚痴った。するとそれに呼応するかのように札束が藤兵衛の目の前に飛んできた。
札束を投げたのはアポロガイストで、不敵に、「それだけあれば店の修理には事足りるだろう。」と云い放った。
「何しに来た?」と問う藤兵衛。目的は藤兵衛の拉致だが、アポロガイストは懐に手をやり、中身を藤兵衛に差し出して云った。「神敬介の香典だ。敵にもいい印象を与えておきたいんでね。」。うーん御茶目な奴だ。
そんなアポロガイストが好きだという人は多い。
助けんかい!モグラ 「十面鬼死す そして新しい敵」(『仮面ライダーアマゾン』第14話)
ゲドン最後の獣人・ヘビトンボは幼虫体で仮面ライダーアマゾン敗れ、さなぎ状態に変態した。このさなぎは能動的な動きは当然出来ないが、インカの毒で護られていて、アマゾンライダーといえども手出しが出来なかった。ところが、突如として現れたガランダー帝国の黒ジューシャがさなぎを掻っ攫ってしまった。
アマゾン(岡崎徹)と藤兵衛達、ゲドンの十面鬼(声:沢りつ夫)、双方とも血眼になってヘビトンボのさなぎの行方を追っていた。
そしてそのさなぎを、前回ヘビトンボに重傷を負わされたマサヒコ(松田洋二)が、入院していた病院の地下室にあるのを偶然、発見した。
同室の女の子とともにモグラ獣人(声:槐柳二)に報告したマサヒコは地下室に降りてくる人の足音を聞きつけ、物陰に隠れた。モグラや女の子も同様である。
やってきたのはガランダー帝国の黒ジューシャ達だった。ところが、そこでマサヒコはうっかり物音を立てた為に女の子共々捕らわれ、さなぎと共に連れて行かれてしまった。物陰に隠れていたモグラ獣人曰く、「あーあ、連れてかれちまった……。」
助けんかい!!!、モグラ獣人
滅茶苦茶裁判 「闘え一也!死のドグマ裁判」(『仮面ライダースーパー1』第8話)
仮面ライダースーパー1の敵、ドグマは自らを「ドグマ王国」と称し、首領のテラーマクロ(汐路章)は「帝王」と呼ばれていた。つまり、組織と云うよりは王国として動いている(勿論、非合法の未承認の闇の組織に変わりはないのだが)。この話では、国としてのカラーを色濃く出そうとしながらも荒唐無稽極まりないシーンが展開された。
日本一の鍵師の海野はある日、ドグマの戦闘員、ドグマファイターに捕らえられ、ドグマ裁判の法廷に被告人として立たされた。
罪状は「ドグマ基地建設予定地にマイホームを建てたこと」であった(笑)。勿論海野は不動産屋から買った訳で、ドグマの事情など全く知らなかったのだが、裁判長は聞く耳もたず、傍聴人達(勿論全員ドグマファイター)は一斉に「死刑」の声を上げ、検事の求刑も死刑、判決も死刑であった。
勿論海野には訳が分からず、必死に抗議した。「こんな裁判有りかー!無茶苦茶だー!」 それに対する裁判長の返答は「法廷侮辱罪を追加する。縛り首を改め、火焙りにする。」だった(←お前はインカ帝国を侵略したス●イン人か)。
進退極まった海野が、「そんな馬鹿な話があるかー!ここは日本だぞー!!」と絶叫した。それに対する返答は「黙れ!ここはドグマ王国だ(←勿論自称)。不敬罪を追加する。家族共々火焙りに処す。」だった。
悪の組織は元々エゴイズムの固まりだから、どんな荒唐無稽な主張を為してもおかしくないなのだが、海野1人を処刑して自己満足に浸れば良いものを、家族共々処刑する為、妻子を捕らえようとしてスーパー1の妨害を招くのであった。いつものことながら間抜けである。
危ないぞ 正義の味方
ヒーロー番組に出てくる登場人物の台詞は主役に近いほど、それを見る子供たちに少なからず影響を与える。
「ウルトラセブン」でモロボシ・ダンを演じた森次晃嗣氏はロケの際にファンの少年の母親にせがまれて、一生懸命勉強するように少年に語ったところ、後日、本当によく勉強するようになったとの礼の言葉が返ってきたと云う。
逆に、ウルトラ警備隊の隊長・キリヤマを演じた故中山昭二氏はトイレに行きたいのについてくる子供を追い払うのにウルトラガンを突きつけて、「近寄るな!」と云ったことがあり、中山氏自身、その子供の心にトラウマを残したかもしれない、と後に述懐していた。
仮面ライダーV3・風見志郎を演じた宮内洋氏は子供の見ている前での喫煙を控え、日々の行動にも最新の注意を払っていた。偏に夢を壊すまいとの心からである。それほど、ヒーローの行動が子供心に与える影響と云うものを強く認識していたのである。
正直、俳優諸氏の信念には頭が下がる。
ところが、肝心の番組の中に、「ヒーローがそんなことして良いのか?」、「そんなこと云わないでくれよ〜」、「おいおい、これ子供が見る番組だぞ」と云いたくなる言動が存在するのである。そんな特撮ヒーローのアブノーマルな(色々な意味で)一面を紹介するので皆の衆も疑問を感じて頂きたい。
危ない仮面 「8人の仮面ライダー」(『仮面ライダー』第93話)
シリーズ中有名な偽ライダーシリーズだが、ストーリーの中核としてはゲルショッカー首領の正体を探ってのアンチショッカー同盟との共闘が挙げられる。
アンチショッカー同盟とは、ショッカー、ゲルショッカーによる犠牲者の遺族達で構成されたゲルショッカーへの復讐を目的とする組織で、世界的組織でもあった。必然、ゲルショッカーと戦うライダー達とは協調関係にあった。
しかし、「復讐」を主要目的としている集団なので、この組織には危ない面がちらほらと見え隠れしていた。刃物やガス弾といった武器を所持しているのは序の口で、目的の為には人質の犠牲を顧みない冷酷な一面も持っていた。そして何より連中の危なさを疑うのはその制服にあった。
左の図がアンチショッカー同盟員の服装だが、レザースーツはまだ許せるとして問題は仮面にある。一目見て、「御前等、SMプレイでもおっぱじめるのか?!」と思った。
少なくとも子供向け番組でこの格好はまずいと思う。
危ないぞ宮内 「3号誕生 その名はV3」(『仮面ライダーV3』第1話)
ある夜、人間が溶けて消滅したのを目の当たりにした風見志郎は、それがために悪の組織・デストロンに命をねらわれる身となった。つまりはこれが『仮面ライダーV3』の始まりでもあった。
目撃直後、車で轢かれかけたのを皮切りに、2度目は自宅でコーヒーに毒物を入れられ、3度目はバイクの試乗中に藤兵衛や本郷の前で砲撃を受けた。 本郷は風見を介抱し、藤兵衛は救急車を呼びに走った。
新たな悪の出現の予感に捕らわれる本郷、そこへ一文字も駆けつけた。程なく救急車がやって来て、2人は風見を乗せ、藤兵衛が同行した。 ホッと一息ついたところに救急車がやってきて「怪我人は何処ですか?」と尋ねる。「しまった。」と顔を見合わせる2人。そう、救急車はデストロンの派遣した暗殺者だったのである。
その頃、偽救急車内では藤兵衛が不意打ちを食らって気絶させられた。救急隊員に化けたデストロンの殺し屋は注射器に何やら怪しげな薬を入れ、風見に射とうとした。
しかし、風見は既に息を吹き返していて、逆に注射を射とうした男の不意をついて注射器を取り上げ、男を取り押さえた。
自分の命を付け狙う男達の正体を暴かんとする風見だが、男は容易に口を割りそうにも無い。手にした注射器を一瞥した風見は一喝した。「貴様に射ってやろうか!!」………ゔーむ、幾等何でもその台詞は危ないんじゃないかなぁ、宮内さんよぉ。
あるまじき台詞 「アポロガイスト くるい虫地獄」(『仮面ライダーX』第14話)
ヒーローとは単にブラウン管の中の存在には留まらない。人気のあるヒーローほど子供に対するその影響は強く、勇気付けることもあれば、失望・絶望させることもある。
それゆえ、ヒーローを演じた俳優は他の番組に出演するときや日常生活にも気を使っている人も多い。宮内洋氏は決して子供の前では煙草を吸わないし、森次晃嗣氏はゴールデンタイム番組での悪役を極力拒否している(2003年以降はそうでもなくなった。特に『水戸黄門』で賄賂を受け取って笑う悪奉行役は、普段酔っ払って悪乗りしてるときの笑い方だった)。
番組外においてさえ、これほど気を使っている。番組内においては云うに及ばずである。ところが、これを全く気にしていないんじゃないかと思われる奴がいる。仮面ライダーX・神敬介である。
「ざけんな!」、「ぶち殺してやる」、等の暴言はまだいい方で(?)、問題はアポロガイストとの対話にあった。
一人の気ち(ピー!)の出現に、暴れる男を気絶させた敬介はGODが絡んでいるのではと考えた。そこへ突如現れたアポロガイストは「さすがだ、神敬介。良くぞ見破った。」と敬介を誉める。しかし、敬介は薄ら笑いを浮かべて云い返した。
「御前に誉められると妙な気分になる。これもGOD、特に御前との付き合いを始めてからなあ、簡単に人間が信じられなくなってなぁ。」
…………今の社会を考えると笑えない台詞である。何てこと云うんだ、速水亮!!
危ない奴 「やったぞアマゾン ゼロ大帝の最期」(『仮面ライダーアマゾン』最終話)
ガランダー帝国は水爆の数十倍の破壊力を持つヘリウム爆弾の開発に成功し、東京壊滅を目論んだ。
当初、知る由もなかったアマゾンライダーと藤兵衛だったが、アマゾンを捕らえたゼロ大帝(中田博久)がアマゾンに自慢気に語ったところから、知るところとなり、後に脱出に成功したアマゾンと、黒ジューシャに化け潜入していた藤兵衛は各々の行動をすばやく打ち合わせた(戦いながら)。
アマゾンライダーが「俺はこの基地のヘリウム爆弾のリモート・コントロールのスイッチを切る!」と云って、藤兵衛に群がるジューシャを蹴散らせば、藤兵衛は「それじゃあ俺はヘリウム爆弾の起爆装置を外す!」と云って、新宿西口パインビルの地下に向かった。
首尾良く(影武者の)ゼロ大帝を倒し、司令室を見つけたアマゾンは「リモコンスイッチは何処だぁぁぁぁっ?!」と叫んで黒ジューシャを締め上げるが、知ってか知らずか、黒ジューシャは「知らない。」の一点張り。
ブちぎれたアマゾンライダーはコントロール盤のスイッチというスイッチをアームカッターで次々とぶった切った。
勿論これによってリモート・コントロールは断ち切られ、藤兵衛も起爆装置の取り外しに成功するのだが、現実に即して見るなら、自棄糞が功を奏したようにしか見えなかった。だから、むちゃくちゃなヒーローに見られるんだぞ、アマゾンライダー!
SMの女王・ユリ子 「さようならタックル 最後の活躍」(仮面ライダーストロンガー:第30話)
電波人間・タックルこと岬ユリ子(岡田京子)が戦死するこの回、ドクターケイトに捕らえられた子供達を救出する為に電気エネルギーを使い果たしたストロンガー逆に子供たちに助けられて、一時避難し、藤兵衛とユリ子がケイトのアジト内に残った。
そこでユリ子はケイトの杖から噴出する毒液を顔にかけられ、致命傷を負った。余命幾ばくもないことを宣告されたユリ子は、それでも気丈に戦い、アジト内にある蝋燭を武器にしてドクターケイトと対峙した。
このことが植物であるケイトが火に弱いことを発見することに繋がり、藤兵衛とともに脱出の突破口を開くのに成功した。
しかし、その際、嫌がるケイトに若く、麗しい、女性が蝋燭を突きつける姿は何かイケナイものを連想させるのでありました。え、何?!、そんなことを想像するシルバータイタンがいやらしいだけだって!?
ユリ子の顔にかけられた毒液が緑じゃなく白だったら、もっとSEXYだったと思う(←まだ云うか)。
間抜けな作戦
すんごい待ち伏せ 死神カメレオン決闘!万博跡(『仮面ライダー』第7話)
長い仮面ライダーシリーズにおいて初の2部作であり、大阪の万博公園を舞台にしたこの話ではナチスの遺宝を巡る仮面ライダーと死神カメレオンの死闘である。
ドイツ人学者・ハインリヒの証言のもと、ショッカーは終に秘宝のありかを捜し当て、仮面ライダーに先行して秘宝の収められている棺を掘り出した。
ところが棺の中から出てきたのはお宝ならぬ仮面ライダー。
結局、財宝はライダーが先に発見し、「世界征服の手助けとなるものは世に出すべきではない。」として処分したので、あるにはあったのだが、実体不明のものとして片付けられていた。
という事は、財宝を発見し、処分したライダーはそのまま棺の中でショッカーの発見を待っていた事になる。
凝っていると云おうか、暇人と云おうか、ショッカーが発見できなかった時の事は考えなかったのかねぇ?
無理のあるカップリング 「吸血怪人ゲバコンドル 」(『仮面ライダー』第11話)
ショッカーのエース怪人・ゲバコンドルは若い女性の生き血をエネルギー源としていた。とある教会の結婚式に来たカップルを襲って、生き血を新妻に求めていたが、当然のごとく怪しまれる。
エース怪人ゲバコンドルの前にライダーが敗れ、立花藤兵衛と新妻を襲われたFBIの特命捜査官・滝和也は囮作戦を展開した。つまりその教会で偽の結婚式を挙げたのだ。
滝はゲバコンドルに面が割れていたためだろう、藤兵衛が新郎、本郷猛の恋人・緑川ルリ子(真樹原千恵子)が新婦を務める事になったが、はっきり云って二人の並んだ姿は新郎新婦と云うより、ヴァージン・ロードを進む花嫁と花嫁の父であった(笑)。
まぁ、もっとも、現実にも父娘と間違えそうなカップルは存在するが、少なくとも敵を欺くには不自然さの少ないカップリングをするべきだと思うのは私だけではあるまい。
毒物学の認識不足 「地獄大使!! 恐怖の正体?」(『仮面ライダー』第79話)
砂漠の猛毒蛇ガラガラヘビの改造人間・ガラガランダが地獄大使(潮健児)の正体である。ガラガラヘビの毒の凶悪さは周知の通りで、当然、ガラガランダもこの毒を使った作戦を行う。ところがこの猛毒の使い方がおかしいのである。
ガラガラヘビに限らず、蛇の毒の多くは神経毒、または出血毒である。いずれの場合も咬傷により傷口から毒液が血管内に注入され、体に害を及ぼすわけであって、血管内に入らない事には何の効果も無いのである。
ところがガラガランダは体内の毒をダムに放出したのである。これじゃあ、大惨事を起こすどころか、水道水を飲んだ人間は却って元気になるんじゃないかしらん♪
まあ、口腔内に傷口があれば毒に殺られる可能性も有るが、効率は良くない。現に作戦を嗅ぎ付けたライダーと滝も毒については何の処置もしなかった。優秀なショッカーの科学陣は毒物について学び直すべきである。
尚、このストーリーにあって、この作戦はテロそのものには然したる重要性はなく、ライダーを罠にはめる事に主眼があったのだが、それにしても、「もうチョットそれらしくしろ。」と云いたくはなった。
先にそれを使え 「見た!デストロン首領の顔」(『仮面ライダーV3』第48話)
デストロンのアジトに潜入したV3とライダーマンは、ヨロイ元帥の罠に落ち、各々、コンクリートで密閉された個室に閉じ込められた。
二人を閉じ込めたのを確認したヨロイ元帥は室内の空気を排出した。風力エネルギーで動くV3の動きを封じたのである。
読み通り、何とか呼吸の術は確保した2人だったが、脱出しようにも、改造人間としての力を発揮出来なかった。ライダーマンは右腕のアタッチメントの一つである、ドリルアームで壁を破壊しようとするが、バッテリー切れでドリルが回らなかった。
幸い、地下牢獄の近くを探っていた立花藤兵衛がその苦境を聞きつけ、必要電力の半分である2500ボルトの電気を送ることに成功。それでもドリルは何とか回転し、外気用の穴を開けたライダーマンは、ついで、自分の部屋とV3の部屋の間にも穴を開けた。
これによって風力エネルギーを得たV3は拳で壁を破壊してライダーマンと合流、ライダーマンもアタッチメントをパワーアームに変え、V3とともに壁を破壊して、脱出に成功した。めでたし、めでたし……と云いたいところだが、チョット待てぃ!!ライダーマン。えらくドリルを回転させる電気の供給にこだわっていたが、パワーアームで壁が壊せるのなら、時間をかけてドリルを回す必要はなかってんじゃねぇのか?
自分の能力はしっかりと把握しましょう。
無理のある美貌 「恐怖!キングダークの復しゅう!!」(『仮面ライダーX』第32話)
GOD第二の大幹部・キングダーク率いるGOD悪人軍団は歴史上の悪人(独裁者、多くの敵を倒した将軍、怪盗、姦雄、etc)の子孫に動物の能力を改造した改造人間軍団である。
当然、その戦術・戦闘はその悪人の性格・能力・暗躍した時代背景が反映された。
唐の玄宗皇帝の寵愛を受けた楊貴妃の子孫とムカデの改造人間であるムカデヨウキヒはヌンチャクを武器にしていた。いかにも中華風である。ところがムカデヨウキヒの最大の武器は他にあるらしい。
RS装置設計図9枚の内1枚の奪還に失敗したムカデヨウキヒはキングダークの叱責を受けた。叱責の内容は「奪還の失敗」を指摘したのではなく、「方法の間違え」に関するものだった。
キングダーク曰く、「誰が力尽くで奪え、といった。御前のその美貌を利用して騙し取れ、といった筈だ。」と。…………かなり無理があると思ったのはシルバータイタンだけではあるまい。
素顔は勿論、人間のチャイニーズ・ガールに化けているときでも10歳前後で、時に牙を生やしていたので、神敬介をたらし込む美貌には程遠いと思われる。
神敬介がロリコンなら成功の可能性は無きにしもあらずである。
物凄い身代わり 「必殺 超電三段キック」(『仮面ライダーストロンガー』第32話)
仮面ライダーシリーズ最強の悪の組織と思われるデルザー軍団。この軍団は全員が大幹部クラスの実力の持ち主で、そのためヒエラルキーが存在せず、内紛が絶えなかった。
一応、「仮面ライダーストロンガーを倒した者がリーダーとなる。」ということでは意見が一致し、それが達成されるまでは「ブラックサタン滅亡の功労」を認める形でジェネラル・シャドゥが暫定的なリーダーとすることになっていたが、勿論影の闘争はあった。
皆が野心家と云っていいのだが、顕著だったのはオオカミ長官である。彼は初めからシャドゥ失脚を画策し、余り頭の良くない単細胞の岩石男爵をたきつけた。
オオカミ長官の陰謀に感づいたシャドゥは城茂に一時休戦を申し入れ、断られると立花藤兵衛を人質にした(←一緒にいたのにあっさり人質取られんなよ)。
岩石男爵に続いて、茂をも抱き込もうと考えたオオカミ長官は茂に会うが、藤兵衛を人質に取られてシャドゥと戦えないと云われ、藤兵衛救出を条件に茂の協力を取り付けた。勿論自分では動かない。(笑)
オオカミ長官に命じられて藤兵衛救出に地下牢に来た岩石男爵。藤兵衛を救出するのはいと易いが、牢内から人の姿が消えれば直ぐに気付かれ、まずいことぐらい彼の頭でも分かる。
そこで彼は自分の体を構成する岩の一つを外し、粘土状にこねあげると、藤兵衛の身代わりを作り出した。「ようし、藤兵衛そっくりの出来たんね、これで人形の体にと藤兵衛の服を着せれば完璧だなや。」と御満悦で、藤兵衛の服を人形にかぶせていたが、できた泥人形はそっくりどころか、人間の形をした、只の泥の塊に過ぎず、勿論シャドゥに即行でばれ、「何を考えているのやら、あの間抜けめ。」と呆れられていた(←その泥人形にわざわざ細剣を突き刺していたシャドゥも大人気なかったが(苦笑))。
THE 中途半端
いい線まで行きながら詰めが甘くて、失敗に終わる奴が多いのは現実の世界にも数え切れないぐらいいる。結果が出る前に「いつでも殺せる…。」と云うボスの台詞に、「あ〜あぁ、ここで殺しとけば良いのに…。」と云う呟きを口にしたことある人も多いだろう。
勿論その中途半端が笑いの種であることも多い。だが、何度も記述しているように物事には限度が有る。度の過ぎた中途半端を列記してみた。
とどめをさせ 「吸血怪人ゲバコンドル 」(『仮面ライダー』第11話)
折角いいところまでヒーローを追いつめながら、とどめを刺さず、リターンマッチで敗れる怪人は実はとても多い。その最たるものがショッカー怪人ゲバコンドルである。
ゲバコンドルは、それまでの怪人(8体登場)の良い所を選りすぐって、改造されたエース、と云う設定になっていて、作中でもそれは語られていた(具体的にどの怪人のどの部分を使ったなどかは不明)。
それゆえ、番組の初めの方では強さを発揮し、ライダーを投げ飛ばすや、上半身が土中に埋まるほどの大技を決め、強烈なインパクトを残した。ところが、そこでCMが入り、後半が始まるや、ゲバコンドルは若い女性を襲って血を吸っていた。
ライダーは?そう、あのままうっちゃらかしてしまっていたのだ。当然のように第2戦で敗れ、爆死した。
上半身が土の中、という絶好の無防備状態で、何故とどめを刺さないのか?後番組にも多いパターンではあるが、古くからしてこんなにいい加減だったのであった。
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令和三(2021)年六月一一日 最終更新