一度きりの使用 「3号誕生 その名はV3」(『仮面ライダーV3』第1話)
風見志郎同様、デストロンを目撃したために命を狙われた珠純子(小野ひずる)の証言を元にデストロンのアジトに潜入した仮面ライダー1号・2号はそこで自分達が倒した筈のゲルショッカーの首領(声:納谷悟郎)が実は生きていて、新たな組織デストロンを編成したことを知った。
驚くライダー達を、デストロン科学陣が開発した改造人間分解光線が襲った。光線に晒されたライダーはどうゆう原理でか身動きも侭ならずもがき続けた。
デストロンの首領は「後、10秒で君たちの体は消えてなくなる。さようなら仮面ライダー。」と告げるが、そこへ単身、両親と妹の仇をうたんとしてアジトに乗り込んできた風見志郎がライダーのピンチを発見し、捨て身の体当たりで2人を光線の照射範囲外に弾き出した。
これにより体の自由を取り戻した1号は光線照射装置を破壊した。
この行為で瀕死の重傷を負った風見を死なすまいとして、1号、2号は風見蘇生の最後の手段として、風見の改造手術を執り行った。かくして仮面ライダーV3の誕生と相成るわけだが、つまりは、先の改造人間分解光線と云う凶悪かつ強力な兵器がV3の誕生を促したとも取れ、「イヤー、恐ろしい武器を持った組織と戦うものだ。ライダーを充分殺す力を持った兵器とどう戦うのかなあ。」とわくわくした。
ところが、ライダー抹殺の力を持つこの兵器は、その後一切登場せず、相変わらず、週1体ペースで改造人間を送り込んでは尽く敗れていた。ちゃんと効果を上げた武器が有ったのだからもっと活用せんかい、デストロン!
脆い戦車 「戦車と怪人U世部隊 8人ライダー勢ぞろい 」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第27話)
ネオショッカーは、拉致した博士・泉田(佐々木一哲)の手で、恐るべき戦車を開発した。バリチウム弾を搭載し、1つの市を丸ごと焼き払う力を持っていたのだ。この戦車と、それに搭乗するヒルビランを倒す為に、1号からスカイライダーまでの8人ライダーが初めて全員集合した。
ところが、全員集合したライダーの活躍を盛り上げたい、とのプロデューサーの意図か、この戦車がライダーの個々人の攻撃にとても弱かったのである。
1号のライダーキック、2号とV3のダブルライダーキック、スカイライダーの大回転スカイキックで、ダメージを受けたことやストロンガーの電ショックで火花が散ったことなどはまだ許せるとして、アマゾンの大切断で、主砲が折られたのはひどいと思うし、Xライダーのライドルスティックの一突きでキャタピラがブッツリと切断されたり、ライダーマンのロープアームに絡め取られた砲台が簡単にもげ落ちたのには開いた口がふさがらなかった。
攻撃力はあるのだからそれに見合った、もっと頑丈な戦車を作らんかい!!
老けた12歳 「悪魔の学習塾!!恐怖のラジカセ怪人」(『仮面ライダースーパー1』第19話)
仮面ライダースーパー1・沖一也には弟分がいる。谷モーターショップの従業員チョロこと小塚政昭(佐藤輝昭)である。典型的な三枚目キャラで、おっちょこちょいなキャラでもあった。しかし、こんな奴に限って時に思わぬ活躍をするものである。
ドグマのカセットゴウモルはデストロンの機械合成改造人間よろしく、蝙蝠をベースとした改造人間だが、ボディにテープレコーダーの機能を持ち、そこから発する音波でドグマに都合に良い子供を教育するのがその使命で、学習塾にカモフラージュして、洗脳教育を行っていた。
当然、洗脳後の子供は消息を絶った。その調査に乗り出したのがチョロである。否、乗り出したと云うのは正確でなく、洗脳された子供達がドグマに行くのを止めようとして、なし崩し的に潜入したと云うのが実相であった(笑)。
勿論、潜入する以上、相手に子供と思わせる必要がある。当然、チョロは変装した。小学生に…。
当然、カセットゴウモルに「随分老けた小学生だな…」と云われ、「いえ、12歳です。」と云っていた。
幾らオーバーオールの服着て野球帽かぶっても相当無理があるチョロもチョロなら、怪しみつつも受け入れたカセットゴウモルもカセットゴウモルであった。宿敵・沖一也の周囲にいる人間の顔ぐらい把握しとけよぉ…。
バレバレやないけ
正悪に関係なく、特撮物の登場人物は正体を隠すことや秘密を持つことが多い。
作戦遂行上の一時的なものや、設定上の都合、元々人目憚ることをしている連中、等々目的は様々だが、大変重要なことをいともあっさり暴露する奴がいる。
まぁそれだけなら「過失」という言葉で片付けられなくもないが、時に「本気で隠そうとしているのか?」と疑いたくなる者もいる。ここでは余りに間抜けなバレバレぶりを笑い飛ばそう。
自分でばらすな 「死神博士恐怖の正体!」(『仮面ライダー』第68話)
死神博士(天本英世)の正体はショッカー怪人・イカデビルである。さすがに死神博士の正体とだけあって、イカデビルは強かった。ライダーキックを放たれれば返し技・キック殺しでこれを破り、1度はライダーを退散させる。
ところがこのイカデビルにはどうも不可解な行動が多い。ライダー打倒の特訓を積むのに立花藤兵衛を拉致し、トレーナーを命じた。
何故?とも思うが、これはまだ納得出来なくもない。藤兵衛はトレーナーとして優れているし、うまく情報を引き出せば、ライダーの戦術を知る上でも参考になるところはあるだろう。だが、問題はイカデビルの秘密を守れない性格にあった。
トレーニング中に鞭でオヤッさんに殴られたイカデビルは「弱点だから殴るな」、ととても大事な事を平然とばらした。当然のようにライダーとの決戦において、アジトを脱出したオヤッさんに「奴の弱点は頭だ」と云われ、ライダーチョップを脳天に食らった。
そして、ここでもイカデビルは「俺の誘導装置が故障したー!!」と丁寧な解説入りで自己の不利をライダーに教え、ライダー錐揉みシュートを食らって戦場の露と消えたのであった。
教訓、「口は災いの元」である。
バレバレの予言者(ユリシーズ) 「ゴッドラダムスの大予言」(『仮面ライダーX』第13話)
この話ではGODは毒ガスによる東京全滅を画策する。毒ガス散布の手段は電話回線を通じて東京中の電話の受話器から毒ガスを撒くというのである(←んな、アホな)。
着々と準備を整える一方で、GODは一人の予言者風の男を街に派遣し、東京滅亡の予言を喧伝し、都民に東京からの逃避を示唆した。まぁ、毒ガス散布前に1人でも人を減らせば毒ガスの消費量は少なくて済み、散布後の死体処理に掛かる時間が軽減できて東京占領がスムーズに進む等のメリットが考えられるので、無意味とは云わない。
問題はその予言者の名前である。その名も「ゴッドラダムス」……。XライダーにGODが絡んでいます、と公言しているようなものである。
思いきり胡散臭そうな恰好をしていたので、却ってGODは怪しまれないと思ったのだろう。
びっくりしたなあもぉ
特撮の世界は驚きの嵐である。元々が人知を超えた想像力のぶつかり合いなので、もはやマッハや馬力と云った単位の大小には見ている方が無頓着になっている(現実の世界で考えられない数値であったとしても)。
が、驚きの要素は何も数字の大小だけではない。架空であることを良いことに現実じゃ考えられないような設定や展開が大手を振って存在することや、死に面したときの最後の行動などが良くも悪くも我々を驚かせてくれる。
いつもは貶すことが多いが、ここでは賛辞を贈りたい驚きの名場面も挙げてみた。御照覧あれい。
天職は無数? 『仮面ライダーアマゾン』
宝島社の怪獣VOWでは仮面ライダーアマゾン・山本大介は「堅くない職業のランキング」のNo.1に輝いていた。
しかも職業欄には「密航者」となっていた(←それ職業か?)。
確かに職業らしい職に就いている場面はなく、初めは日本語も喋れず、社会適応力は限りなくゼロに近いヒーローである。しかし、仮面ライダーアマゾン全24話をよーく観察するとアマゾンに向いている職業は物凄く沢山存在するのである。
例えば、密航が出来るのだからスパイにも警備員にもなれる(第1話)し、現代医学では解明不可能な獣人吸血コウモリの起こす奇病をそこらにある草を磨り潰した薬で完治させたので、医者にも薬剤師にもなれる(第2話)。
バイクは立花藤兵衛にアクセル、ブレーキ、クラッチの説明を受けただけで自由自在に乗りこなしていた(第3話)。当然、レーサーにも(お約束)なれる。設定によると、バイクの運転には天賦の才能があることになっているが、普通免許を既に所持した状態で二輪教習を受けた第一段階で早くも延長を食らい、7時間もオーバーしたシルバータイタンにはその天賦は羨ましい限りである。(←完全実話)
また、ゲドンの野望を古代インカのキープ(縄の結び目を利用して、記録とした物)を読み取って、察知していた(第6話)。考古学者、歴史学者にもなれる。
しかも、古代インカのキープの解読方法は未だ解明されていない。アマゾンさえその気になればノーベル賞は掌中にあると云っていい。
黒ネコ獣人、トゲアリ獣人、獣人ヘビトンボ、フクロウ獣人は大切断で、ものの見事に首を切り落とされている(それぞれ、第10、12、14、19話)。首切り役人としてもOKだ。
パトカーから脱走した死刑囚を捕らえたことから警察官(第12話)、僅か1週間で日本語をマスターしたので言語学者にもなれる(第13話)。モモンガー獣人の尾行を察知し、逆にその虚を衝いたり(第22話)、オオサンショウウオ獣人の血の跡を追跡したり(第23話)、それ以外にも全編を通じての行動や設定からして、レンジャーにもぴったりである。
職を持たないアマゾンだが、向いている仕事は画面に現れただけでこんなにある。岡村マサヒコの「元々アマゾンは頭がいいしね。」という台詞を考えるとまだまだ就職可能な場は出てきそうである。
ただし、日本で野性児スタイル、アマゾン帰国時(最終回)にスーツとネクタイというファッションセンスではアパレル関係だけはむいていないかもしれない。
親っさん、お金持ち? 「強くて裸で速い奴」(『仮面ライダーアマゾン』第3話)
『仮面ライダーアマゾン』の第3話であるこの話で、アマゾンと立花藤兵衛が運命の(必然の?)邂逅を遂げた。白髪交じりの初老の身となっても藤兵衛は現役レーサーとして頑張っていた。恐らくは積年の彼の夢である世界一のオートレーサーを育てるために自身もバイクの腕を上げる為に頑張っていたのであろう。そこをゲドンのカマキリ獣人の襲われ、アマゾンライダーに救われたのだ。
アマゾンの変身を見て、5人目の仮面ライダーとの邂逅を驚き、喜ぶ一方で、藤兵衛は余りにも社会人離れした彼に戸惑いを覚えていた。ともあれ、自分を助けてくれたことに対する感謝と、仮面ライダーとの出会いの挨拶に彼はアマゾンライダーにバイクをプレゼントしようとした(おお、太っ腹)。
ところがジャングル育ちのアマゾンは最初、バイクの騒音が大嫌いだった。藤兵衛に出逢ったのも、奇怪な不快音がバイクから出るものと知らず、正体を確かめようとして、レース場に現れたのがきっかけだったのだ。
当然のようにバイクに拒絶反応を示したアマゾンはバイクを持ち上げるや海に投げ込んでしまったのだった。
「こりゃあ、今までの仮面ライダーとはずいぶん違うぞ…。」と驚きを新たにした藤兵衛。しかし、一笑いすると、御見通しとばかりに云った。
「こんなこともあろうかと思ってなあ、実はもう1台用意しておいたんだー。」 うーん、オヤッさんは実は金持ちなんじゃあ、と思ってしまった。
シルバータイタンなんざかつて中古バイクを先輩に安く売ってもらう金にすら頭を痛めていたというのに……。
いい根性だキノコ獣人 「モグラ獣人 最後の活躍」(『仮面ライダーアマゾン』第20話)
ゲドンの首領十面鬼ゴルゴスに処刑されるところをアマゾンライダーに救われたモグラ獣人。この回ではそのモグラ獣人が多くの人命を救う活躍の末、非業の最期を遂げたのである。
元々モグラ獣人は命を助けられた恩義からアマゾンに協力したものの、初めは成り行き上のことと思い、完全に道化役だった。その後も、モグラ特有の地中を掘り進む力を発揮して、情報収集して、数々の活躍を遂げるも、積極的に戦うことは皆無に近かった。
悪く云えば臆病者でさえあったが、そのモグラの奮闘ぶりがこの回は輝いた。
ある日、モグラ獣人はガランダーの黒ジューシャに追われる1人の少女を助けたことからガランダー帝国がテロを起こしていたことを知った。
その指揮をしていたのはガランダー帝国のキノコ獣人。自らの胞子を吹き散らし、その胞子(作中では「カビ」と呼ばれていた)が人を次々に食い尽くし、最後にはカビも残らず、テロを完遂する恐ろしい獣人だった。
あるマンションの住人が1人の赤ん坊を残して全員蒸発した。勿論キノコ獣人の放ったカビに殺されたのである。アマゾンと藤兵衛は唯一生き残った赤ん坊を保護し、病院に連れていったが、何故この赤ん坊だけ助かったのか、皆目見当も付かなかった。
「せめてカビが手に入れば…。」という医者に、モグラ獣人は自らカビを採ってくると申し出、「偶には俺も人様の役に立ちたいんだ。」と云って出かけていった(結果を知る者としては、前19話で、モグラ獣人が敵のアジトを突き止め、強制労働させられていた何十人もの子供を救出し、充分「人様の役に立」ったばかりなので、この「偶には」の台詞と最後の出番の因果関係に皮肉を感じる)。
キノコ獣人に隠れている所を見つかった振りをして上手く接触したモグラは「アマゾンを裏切って、ガランダーに忠誠を尽くす」と狂言し、アマゾンを仕留めるから、と偽ってカビのサンプルを借り受けた。
まんまと上手く行ったかに見えたが、後一歩のところで、成功したとほくそえむ独り言を聞かれたモグラはキノコ獣人と黒ジューシャに捕らえられた。
「最期のときが来たようだな、モグラ!」と凄むキノコ獣人に、モグラ獣人は「どうやら、そうらしいな。」と云いつつも「只では死なん!」と叫んで敢然と立ち向かった。
しかし、ガランダー獣人はゲドン獣人の2倍の強さ、と云う設定の前に叩きのめされ、カビの洗礼を浴び、地中に逃げるも、「カビは植え付けた、逃げても貴様はもう終わりだー。」と云うキノコの台詞が追い討ちをかけた。
何とか病院に辿り着いたモグラ獣人、その変わり果てた姿に心配して駆け寄るアマゾン達に莞爾として、自分の頭を指差し云った。「へへ、採ってきたぜ、カビを…。」
ブラウン管の前でシルバータイタンは唸った。「いい根性だ、モグラ獣人……。」……自らの肉体にとどめとして打ち込まれた凶器を以って、任務の遂行としたのである。
モグラの持ってきたカビをサンプルに、カビがビールスに弱いこと、赤ん坊が風邪を引いていて助かったこと等が判明し、解毒剤も完成した。
アマゾン達は瀕死のモグラに飲ませようとしたが、「俺はもう駄目だ。」と云って、モグラは服用を拒否し、アマゾンに飲んで、キノコ獣人を倒し、ガランダー帝国を壊滅してくれるよう懇願し、アマゾン、藤兵衛、マサヒコ、りつ子、医師、看護婦に看取られて息を引き取った。
キノコ獣人がアマゾンの凄まじい怒り(←見ていて怖かった…)のもとに打ち倒されたのは云うまでもない。
スカイキックを増産せよ 「不死身のゴキブリジンGモンスターの正体は?」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第16話)
ネオショッカーの大幹部・ゼネラルモンスターは度重なる作戦失敗の果て、遂に大首領(声:納谷悟郎)より最後通告が送られ、是が非でもスカイライダーを倒さねばならなくなった。
そこでゼネラルモンスターは強力な改造人間・ゴキブリジンの派遣を決断し、その能力を科学者陣に確認した。
ゴキブリジンはその攻撃能力もさる事ながら、最大の能力はゴキブリの改造人間に相応しく、不死身であることだった(勿論真の意味での不死身ではない)。「スカイライダーのスカイキックを受けても平気。」と豪語する科学者陣はその証拠をゼネラルモンスターに披露したのだが、これが傑作であった。
ゴキブリジンがスカイキックに耐え得ることを証明するわけだから、スカイキックに匹敵する衝撃を受けて、平気なところを見せればいい。そこでスカイキックの代わりとして、科学者達が使用したのが、下の仮想武器であった。↓
道場主が小学生の時にリアルタイムで観たとき、30秒は笑いが治まらなかった。つまりはスカイライダーの足型をした槍であった。
一応バズーカのようなもので撃ち出していたが、どう考えても改造人間の体を破壊する力が出るとは思えんし、普通の槍を砲弾代わりにバズーカで撃った方が余程効果がありそうに見えた(笑)
もし、この武器を砲弾にして撃つだけでスカイキックと同じ破壊力が生めるのなら、ネオショッカーは大金を費やして、改造人間を作るより、この足を増産(1000本ぐらい)して、アリコマンドに装備させれば、世界征服はぐっと容易になると思う(『仮面ライダーストロンガー』第13話ではバズーカ砲3台の砲撃で奇械人エレキイカが落命している)。
同時にネオショッカーはもう一つ重大なミスを犯している。ゴキブリジンは厳密には、スカイキックに耐えられる体を持っているのではなく、耐えられるマントを持っていたのである。
結局このマントがまともに装着されてない状態でスカイキックを食らって爆死した訳だが、このマントも増産すべきだったと思う。
史上最多の目撃者 「闘いの時来たり!技は赤心少林拳」(『仮面ライダースーパー1』第2話)
惑星開発用改造人間、コードネーム=スーパー1は当初、宇宙開発ステーションのコンピューターの遠隔操作で沖一也から、変身したり、元に戻っていたりした。
ところが、家族の身の安全をたてにドグマの脅しを受けていた科学者・サカタの為にコンピューターは破壊され、一也は変身不能に陥った。
一也の恩師・ヘンリー博士(大月ウルフ)はサカタ同様、ドグマに、味方になるか、殺されるかの選択を迫られていた。しかし、ヘンリーは脅しに屈しず、一也に自力で変身する訓練を積むように指示した。
しかし、一也の特訓も空しく、変身をマスターできない内に研究所はドグマ怪人・ファイヤーコングの襲撃を受け、壊滅した。
その混乱の最中、無意識の中で変身をしていた一也は、1人生き残り、アリゾナを後にし、日本へ行き、赤心少林拳の達人、玄海老師(幸田宗丸)の門を叩いていた。
日々、精進する中、玄海は一也に、変身は呼吸に有ると助言し、門弟の弁慶(西山健司)に一也の百人稽古を命じた。一也一人対修業僧百人、と云うわけである。しかも百人目は玄海老師だった。
この稽古の中で、一也は変身に必要な呼吸法と、その呼吸に必要な構えと動き、つまりは変身ポーズを体得したのである(このため、スーパー1の変身ポーズは(特に初期は)とても長く、「何故変身中攻撃しないのか」論争を激化させた)。
とまれ、98人の修業僧と弁慶を倒した一也は玄海老師との組み手の最中に見事変身した。一也は喜んだ。そして、我がことに様に狂喜し、拍手喝采する百人の拳士(笑)。
戒律の厳しい環境で、苦楽をともにした仲間なので、他言はしないだろうが、初の変身をこれだけ多くの人間に目撃された例はない(笑)。
そんなのいつ撮ったの? 「10号誕生 仮面ライダー全員集合」(『仮面ライダーZX』特番)
仮面ライダーZX・村雨良(菅田俊)は南米アマゾン上空をセスナでフライト中にバダンに襲われ、同乗していた姉・しずかを殺され、自らもバダンの改造人間にされてしまった。
その後事故で自我意識を取り戻したが、良は姉を殺されたことを思い出し、普通の体ではなくなってしまっていた自分に愕然とした。そして、良も多くのライダーが当初はそうであったように復讐に燃えた。
すっかり敵のバダンしか見えなくなっていた良は、バダンの輸送車を襲っていたライダーマンとスーパー1にまで襲い掛かった。2人の説得にも丸で耳を貸さないゼクロスだったが、V3の仲裁(=V3キック)を受け、味方だと云われ、仮面ライダーの存在を初めて知ったZXは非礼を詫び、和睦した。
CMを挟んで素顔に戻った4人は1台のビデオを前にしていた。そのビデオを村雨に見せながら、風見志郎が歴代ライダーを1人1人紹介していったのだが、そこには何と数々の改造人間との戦いだけでなく、変身の瞬間や改造手術を受けているところまでが再生されていたのである。
何時、誰が撮影して、どういう経緯を経て風見の手にあるのか全くの謎である。マスコミに流れれば全員の正体が一瞬にしてばれ、歴代の悪の組織が明るみに出る恐ろしいテープが平然と存在していたのである!!
「どうだい、感想は?」と風見に問われた村雨は「正直、驚きました。自分と同じ境遇に立たされた人間が9人もいたなんて…」と云っていたが、シルバータイタンはそんなテープの存在の方が驚きだった。
『ウルトラマンタロウ』のZATなんて、セブンが新マンにブレスレットを渡すシーン(しかも宇宙空間で)のビデオを持っていたのだからこれぐらい勘弁してあげようよ。
こいつぁ大ボケだ〜
オオボケである。どうしようもないぐらいオオボケである。そう云いたくなる奴、行動が特撮の世界にはワンサカある。
「勘違い」、「中途半端」では済まされない「何でそうなるの?」の世界である。
笑えるボケ、笑えないボケが有るが、わざとやっているとしか思えんのである(勿論フィクションなので全部わざとであるのだが)。
だが、どんなにボケても番組中にはツッコム奴がいない。だからここで突っ込んでみた。
せめて長袖を 「急げアマゾン カニ獣人の島へ」(『仮面ライダーアマゾン』第9話)
仮面ライダーアマゾンが日本に来て以来の一番の友は岡村マサヒコだが、その姉、りつこ(松岡まり子)は初め、アマゾンを嫌っていた。自分達の周囲にアマゾンのギギの腕輪を狙うゲドンの連中が現れ、「自分達の安全が脅かされる様になったのはアマゾンのせい。」と見ていたからであった。
しかし、平和の為に身命を賭して戦うアマゾンに対し、この回でりつこは危ないところを救われたことをきっかけにアマゾンを理解するようになった。
アマゾンに感謝するりつこはそれまでパンツ一丁だったアマゾンに「日本の冬は寒いわよ。」と云って上着をプレゼントした。ここでアマゾンの御馴染みのコスチュームが誕生するわけだが、おい、りつこ、「日本の冬は寒い」のならせめて長袖をプレゼントしたらんかい。
すんごい見込み違い 「出現!ライダー1号、2号」(『仮面ライダーストロンガー』第38話)
デルザー最強の改造魔人・マシーン大元帥は、膂力でジェネラル・シャドゥからデルザーの指揮権を奪い、ヒエラルキーのない筈のデルザーの実質的なリーダーとなり、V3キックや1号のライダーキックの直撃にも耐える頑健ぶりも見せ付けていた(もっとも、グロッキーにはなったが)。そんな大元帥のお間抜けな話がある。
仮面ライダーストロンガーは宿敵ジェネラル・シャドゥを遂に倒すも、超電子エネルギーを使い果たし、デルザーに捕らえられた。
既にV3とライダーマンも捕らえていたデルザー。磁石団長は「後はXライダーとアマゾンを捕らえれば、仮面ライダーは全員生け捕りだ!」と歓喜した。が、ヨロイ騎士は云った。「いや、待て、仮面ライダーには確か、1号、2号というのがいたそうだぞ。」と。そしてそこでマシーン大元帥の吐いた台詞が傑作であった。
「そんなもの、只の伝説だ。」。
勿論これは伝説ではなく、突如出現した1号、2号によってストロンガーは救出され、3人の改造魔人が三つ巴の戦いを繰り広げている隙に、捕らえる筈の予定だったX、アマゾンによって、V3、ライダーマンまで救出されてしまうのでありました。
「V3」の「3」の意味を顧みなかったとは何ともお間抜け。
認識不足 「改造人間 大空を飛ぶ」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第1話)
ネオショッカーに捕らえられていた志度敬太郎博士はハングライダー部の青年・筑波洋に救われた。しかし、その際にアリコマンド(戦闘員)の一人を死なせてしまった洋はネオショッカーに狙われる身となり、部の仲間を殺された。
怒りに燃える洋は、再び志度博士を捕らえんとするネオショッカーに突っかかっていき、ガメレオジンのために致命傷を負った。
このままでは洋の命はない。身を挺して自分を救ってくれた青年を死なせたくない一心で、志度博士は洋の改造手術をガメレオジンに申し出、大幹部のゼネラル・モンスター(堀田真三)の許可が出たことにより、洋の改造手術が行われた。スカイライダーの誕生である。
勿論こういう経緯で生まれた改造人間である洋の脳にネオショッカーへの忠誠心など埋め込まれている筈が無く、お約束通り、彼の自我は残された。
初めての戦闘でガメレオジンを倒したスカイライダー。しかし、戦いの場は元々ネオショッカーの処刑場であり、ガメレオジンの死とともに山は爆発炎上した。しかし、スカイライダーはその名の通り、空を飛べるライダーで、セイリングジャンプで難を逃れた。
しかし、志度博士は洋が死んだものと思い込み、「私は何の為にあの青年を甦らしたのだろう…。」と悲嘆に暮れていた。そこへ「悪と戦えとのことではないでしょうか。」の台詞とともにスカイライダーが現れた。
生還を喜んだ志度は、しかしすぐに沈んだ表情で云った。「済まん、私は君を元の君で甦らせるつもりだったのだが…、そんな体にしてしまって…私を憎んでくれ。」と力なく詫びた。
しかし、ライダーは博士に対する恨みはなく、悪と戦える力を与えてくれたことに感謝していると云った。憎むのは悪なのである。
「一緒に戦ってくれますね?」という望外の台詞に志度は興奮しながら、「本心からそう云ってくれるのかね!?」と聞いた。
ライダーは「以前の私にはなかった力が今の私には有ります。博士、私は大空を飛べるのです。」と云って、志度の前で、再びライダーは空を飛んだ。
その誇らしげな姿に志度博士は感泣していった。「筑波君、君こそ、君こそ仮面ライダーだ!!」 勿論これはこれで初回に相応しい名場面である。
歴代ライダーがある日突然我が身が改造人間になったことにしばし愕然としてきたことを考えると、筑波洋の決意は爽快かつ感動ですらある。しかし、この名場面はたった一言で簡単にケチが付いてしまうのである。
「造ったのアンタでしょ!?」
そんな薬はないぞ 「ありがとう神敬介 とどめは俺に任せろ」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第32話)
ネオショッカー史上1、2を誇る最強の改造人間、黄金ジャガーと一騎打ちをしていたスカイライダーは、卑怯者のトリカブトロンの毒矢を肩口に受け、千尋の谷に落ちていった。
一騎打ちなので、手出しせずに遠くから見ていた神敬介はトリカブトロンの卑劣さに怒り心頭するも、即座にXライダーに変身して、谷底へと飛び降りた。勿論スカイライダー救出の為である。
谷底で倒れている筑波洋を発見したXライダーは毒矢を抜いて、手厚い看護を施した。
やがて意識を取り戻した洋は神敬介に礼を云って体を起こそうとしたが、敬介は押しとどめていった。「まだ動くんじゃない。トリカブトの毒によき効く薬を付けておいた。」と云ったが、はっきり云おう。河豚の毒を中和する薬を同じで、そんな薬はない。もっと勉強してから番組を作れ、アホー。
自分でばらすな 「怪談シリーズ・幽霊ビルのひみつ クチユウレイ 」(『仮面ライダー(スカイライダー)』第41話)
スカイライダーに登場した、自称「日本一のスーパーヒーロー」がんがんじいははっきり云って、とても弱いくせにでしゃばる、足引っ張りの道化師的存在だった。
それでもタフさに加えて、ヒーローたらんとする意識は人一倍強いらしく、惨めな敗走や袋叩き、悪口雑言、嘲笑を食らいつつも、正義の(ひいてはヒーローの認め印を得る)為にネオショッカーと戦ってい、番組の盛り上げに貢献した存在でもあった。
ヒーローは正体を隠さなくてはならない、との定説が有るが、がんがんじいもそれに従っていた。いつもブリキ製(と思われる)の鎧兜に身を固め、オープニングの出演紹介でも、「謎の人」とされていた。そのがんがんじいの素顔が、この会でついに人目に曝された。
と云っても、人気の無い幽霊屋敷でのことで、見ていたのも筑波洋ただ1人、殆ど事故で、マスクが外れただけだったが、「ありゃ!?、面がとれてもうたやないの〜」の一言を皮切りに、がんがんじい(桂都丸)は素顔を見られたことをいたく恥じ、悔いた。
余りに哀れな狼狽え振りに、洋は苦笑しながら、他言しないことを約束した。一転、喜んだがんがんじいは、洋に土下座して礼を云った。「矢田勘次、この御恩は一生忘れまへん。」 をひをひ、せっかく洋が、素顔を黙っててやるっちゅーとるのに、自分で聞かれてもいない本名まで名乗ってどうすんの??何の為に初登場から一ヶ月半もオープニングで「謎の人」にしていたのやら、意味がなーい!!
見て分からんか? 「緊急指令!ファイブ・ハンドを奪え!!」(『仮面ライダースーパー1』第21話)
対仮面ライダースーパー1戦の相次ぐ敗戦に焦るメガール将軍(三木敏彦)は科学者グループに、スーパー1の必殺武器であるファイブハンドの解明・製作を命じていた。
改造人間バチンガルにファイブハンドを操作する機能を備えるのに成功した科学者達だったが、ファイブハンドの製作には尚一ヶ月の時間が掛かるとのことだった。
しかしそれでは間に合わないとするメガール将軍はバチンガルにスーパー1を騙してファイブハンドを奪うよう命じた。この時メガールはバチンガルに「ファイブハンドを5つ全部奪うよう」と命じた。
だが、バチンガルは偽の人質を盾に、50tの物体を持ち上げられる「パワーハンド」、3億ボルトの電流を発する「エレキハンド」、右手からは超高温火炎、左手からは冷凍ガスを発射する「冷熱ハンド」を奪ったが、通常時の「スーパーハンド」と追跡レーダーを備えた「レーダーハンド」の2つは奪わなかった。
クライマックス時にバチンガルは3つのハンドを利用してスーパー1を大いに苦しめた。反撃の為にスーパー1はレーダーハンドに切替えた。それを見ていたメガール将軍はレーダーハンドを奪っていないことを責めたが、バチンガルは笑って云った。「なーに、スーパーハンドとレーダーハンドはわざと残しておいたのです。」
ところがその言葉が終わるか終わらないかの内にスーパー1はレーダーロケットをバチンガルめがけて発射した。まともに食らったバチンガル曰く、、「ま、まさか、レーダーハンドがロケット砲になっていたなんて……。」……。
あのなあ、ミサイル型のレーダーを見てそれぐらい予想つかんかいのう…(嘆息)。
アホか己らは 10号誕生 仮面ライダー全員集合(『仮面ライダーZX』特番)
世界征服を狙う悪の組織バダンは拉致してきた伊藤博士(柄谷英二)を筆頭とする科学者達に時空破断システムなる兵器を開発させた。
大幹部である暗闇大使(潮健児)立ち会いの元、1万分の1の試作品で実験が行われた。結果どういう原理か、大空を赤黒色に染め、少なくとも5、6体のビルと30人近い人間と車を一瞬にして消滅させた。
僅か1万分の1でこの破壊力に暗闇大使は大満足し、戦闘員に本番用の燃料の輸送を命令し、科学者達を労って、去っていった。後に残された伊藤博士は震えながら云った。「大変なものを作ってしまった……。」
それじゃあ初めから作らんか、作った瞬間にその破壊力でバダンのアジトを破壊せーっちゅうの!!
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令和三(2021)年六月一一日 最終更新