Act11.第52話 洋の父が生きていた!改造人間FX777とは?〜第54話(最終回) さらば筑波洋!8人の勇士よ永遠に…




注目登場人物:筑波夫婦(加藤和夫、折原啓子)



客演ライダー:仮面ライダー2号・一文字隼人(佐々木剛)&仮面ライダーストロンガー・城茂(荒木茂)&仮面ライダー1号&仮面ライダーV3&ライダーマン&仮面ライダーX&仮面ライダーアマゾン



ストーリー概要:仮面ライダー達に次々と怪人を倒され、作戦を打ち破られ、大首領の激しい怒りに曝された魔神提督は筑波洋をただ殺すだけでは飽き足りない、胸が張り裂けんばかりの悲しみを与えてくれんと欲する
 そこで考えた作戦は洋の父で、ネオショッカーに殺された筈の筑波博士が生きているとの偽情報を流し、「はネオショッカーに協力しているのか?!」との苦悩を洋に与えるものである。
 あまつさえ魔神提督は筑波博士が改造人間にされ、それが自分であると洋に思い込ませる。
 だが筑波夫妻は洋の信じた通りの両親で、生きるも死ぬるも洋に悪と戦う為の大いなるパワーを与え、洋はスカイライダーとして7人ライダーと供にネオショッカーとの最後の戦いに挑む。


役割:簡潔に云えば悪への服従を頑として拒んで殺される役。そしてそれが洋に復讐をも超えた悪への怒りを抱かせ、凄惨な戦いの中に温かくも激しい家族愛と、愛するが故に信じる事の大変さとそれを超えた尊さを筑波夫婦は洋とともに表現している。


注目点:何と云っても決して悪に屈しまいとする毅然たる夫婦の姿である。ドクターXにネオショッカーへの仲間入りを強要され、それを断固として拒んだのは当然にしても、「奥さんや子供との幸せな家庭がなくなってもいいのか?!」との恫喝に「妻も子もそんな事を望んじゃいない。」とキッパリ云い切る筑波博士筑波博士なら、怯えの色を隠せずとも即座に夫の言葉を承認した夫人夫人である。
 また、そんな両親である事を認識し、信頼し、尊敬していたからこそ、洋はが生きていることを長沼博士やドクターXに知らされた時に「仲間入り」=「悪への加担」を連想して、魔神提督の思惑通りに苦悩したのだろう。
 普通ならどんな形でも父親が生きている可能性が出てきた事に望みを託したくなるものだが、洋の中ではが「死んでも悪に加担しない人間」との認識が恐ろしく強かったのだろう。

 結論から云うと筑波夫婦は当初洋が認識していた様に爆殺はされてなかったものの、はネオショッカーへの協力を断固として拒んだ為に氷漬けにされて殺されており、は大首領の召使いにされていた。
 ネオショッカーに戦力的協力をしたわけではないにしてもが召使いになっていた事は最初は解せなかったが、恐らくはの眠りを守り、息子・洋へのネオショッカー陣営の憎悪を身に受ける事で彼女なりにネオショッカーと戦っていたのではなかろうか?
 その証になるかどうかは分からないが、筑波夫人はアリコマンド達に禁じられても夫の墓参りを止めなかったようで、彼女を折檻しようとしたアリコマンド達がすぐ側にいる城茂に直前まで丸で気付いていなかった事からも彼女がただ大人しく大首領に従っていたとも思えないし、そう云った事を想像させるだけの存在感が二人の俳優にはあった。

 何とか感動の再会を果たし、ネオショッカーのアジトからも脱出に成功した筑波夫人と洋は束の間の母子の時間を持つが、ドクロ暗殺隊の襲撃を受ける。
 助太刀に来た一文字隼人とともに暗殺隊を叩きのめした洋は「お袋を一先ず安全なところに連れていく。」と云い、少し難色を浮かべながらも洋に同意した隼人は他のライダー達の元に戻るが、はすぐに参戦するよう洋を促した。この辺り、さすがに彼女は筑波博士であり、筑波洋のである。
 直後に息を吹き返した暗殺隊リーダーのクロスボウの矢を受け、致命傷を負っただが、その遺言は大首領の弱点を教えるもので、屈辱の奴隷生活の中でもの仇の弱点を察知し、死地に赴く息子にそれを託す様は最終回に相応しい重大な役所で、その重みは義務的に全員集合したに過ぎない(と云い切ると語弊があるが)ライダー達より遥かに大きいものがあった。

 気丈且つ家族想いのを目の前で殺された洋の怒りはデビューから1年かけて積み重ねられてきた演技力も相俟って、フィクションと分かっているのに怖いぐらいで、「仮面ライダー(スカイライダー)」の最終回を歴代作のそれに劣らぬものとする土壌を為している。

 ある意味、最終回に両親が出てきたのはこのスカイライダーだけなので、おいしいと云えばおいしいのだが、その重要な役割を果たした加藤和夫・折原啓子の両俳優には心から拍手と賛辞を送りたい。
 歴代ライダーには第1話の時点で両親を亡くしているライダーが大半(スカイライダーも既に死亡と思われていた)なので最終回にして生きていたことにしたのも思い切った話だし、その思い切りは「最終回」という命題の前に集合した歴代ライダーより貴重で、同様の役割を今後のライダーで再度与えるのは極めて困難な意味からも筑波夫妻の存在の貴重さと好演の素晴らしさは今後も折に触れて伝える努力を続けたいものである。


最後に 歴代ライダーの客演が過ぎ、主人公であるスカイライダーを殺してしまっているとの非難が一部に囁かれている「仮面ライダー(スカイライダー)」ですが、決して歴代ライダーの活躍だけが見所ではない事が再確認して頂ければ幸いです。
 勿論素顔の歴代ライダーの再登場はそれはそれで嬉しいです。先代作品の人気があって初めて後発ライダーが生まれるわけですから、かつて愛好した先代キャラクター達が再登場するのは嬉しくもあり、他方でその扱いが下手なものだと返って不満が残ります。
 つまり作品の構成と云う名の歴代ライダーを受け入れる土壌が不充分だとせっかくの偉大な先代を殺す事にもなりかねず、だからこその普段のレギュラー並びに、話ごとに出てくる1回限りのキャラクターにも主役・客演先代キャラに劣らぬ重要性があり、それこそが作品全体を活かしも殺しもする事を認識し、そこに見え隠れする魅力に注目する事でマスカーワールドの更なる堪能を目指したいのを述べてこのコーナーを締めたいと思います。



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令和三(2021)年五月一二日 最終更新