Act10.第39話 助けて!2人のライダー!!母ちゃんが鬼になる〜第40話 追え隼人!カッパの皿が空を飛ぶ




注目登場人物:ミス・キレーダ(松香ふたみ)



客演ライダー:仮面ライダー2号・一文字隼人(佐々木剛)



ストーリー概要:ポリネシアンダンスの世界的ダンサー・ミス・キレーダがダンスの際に髪飾りにつける宝石は世界的宝物であると供に人間の欲望を増幅させる作用があり、キレーダと宝石の護衛で帰国した一文字隼人はダンスパーティーに筑波洋一行を招待するが、必然的に宝石を狙うネオショッカーへの迎撃戦の様相を呈する事となる



役割:所謂悪者に狙われ、攫われ、救出されるヒロイン役。ネオショッカーの狙いはキレーダ本人よりキレーダの持つ宝石に主眼があるのだが、宝石の使用目的が人間女性の憎しみの心を増幅させて家庭を崩壊させようというものだから、キレーダも淑女と操られる鬼女の二面性を演じることとなる。


注目点:シルバータイタンが注目したいシーンはウニデーモン・オカッパ法師の二怪人も既に倒されたラストにある。

 特撮の黄金パターンである美女が悪者に狙われ、攫われ、操られ、助けられるの流れを辿った果てにキレーダはその身柄をネオショッカーから救われるものの、宝石は移植手術を施されたウニデーモンの死と供に爆発四散する。
 一文字隼人の帰国はキレーダと宝石の護衛にあったため、宝石が失われた事を詫びるのだが、キレーダは寂しく微笑みながら詫びる隼人を止め、宝石がなくなったことは人類の為には結果として正解であったと述べ、隼人を労い、慰めた。
 正論なのだが、キレーダの立場でああいう風に云い切るのは現実には難しい。ネオショッカーの手に渡る事無く、しっかり護衛が為されれば宝石はその後もキレーダの商売道具として利用し得たわけで、商売道具と入ってもキレーダのダンサーという職業を省みれば、装飾は体の一部でもあり、それがキレーダの人気の一部でもある事を考察すれば、キレーダは既得権益の一部を失ったといえなくもない(些か誇張があるが)。

 人は富がない時は富に執着しなくても、一度富を得るとそれを生み出す土壌にみっともないほど執着する。悪いのはネオショッカーである事は明白だが、予め護衛として同行した隼人がキレーダの拉致を防げず、キレーダ自身筑波洋を罠にはめる為の道具として薬物を投与され、鬼女の如き様に貶められもした。
 隼人を恨む事はないにしても、自らの芸を支えてきた宝を失う事はダンサー・キレーダにとって損失である事は間違いなく、それでも「これで良かった。」と寂しさは見せても躊躇いは見せない姿は、環境よりも市民生活よりも自らの工場利益を優先して公害防止措置を取ろうとしない世の経営者(勿論古今東西を問わない)にも見習わせたいものがある。

 考察するに、キレーダが大切な宝石をなくなって良かった、と云い切れるのは自らが操られた実体験によるのではなかろうか?
 もしウニデーモンに操られ、洋に毒がで噛み付き、高笑いしていた時の記憶がキレーダに残っていれば、それは屈辱であると同時に、人間の心をそんな風に操る事がいかに罪深い行為であるかも痛感する事になるだろう。
 残念ながらその点についてはキレーダ自身の証言はなく、話は一文字に置き去りにされた沼さん(高瀬仁)とオカッパ法師の空飛ぶカッパ皿から墜落したがんがんじいがコミカルに描かれる事で終っているので、上記はシルバータイタンの推測の域を出ない。

 もう少しキレーダがダンサーとして宝石に対する執着を見せ、自らの操られた経験からネオショッカーの罪深さを強調し、それらを総じた上で人類の為に失われて良かった宝について述懐していればキレーダの存在はもっともっとこの話を深味あるものにするのに貢献したであろうと思うわれるのだが、そこまで期待するのは些か贅沢かもしれない。



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令和三(2021)年五月一二日 最終更新