4.死後に残したもの

 享年41歳と云う若さで世を去った山口豪久に最早私達はビデオ・DVD・Blue-ray・ケーブルTVでの再放送でしか会えない。最終頁でもあるこの頁では山口が私達に遺してくれたものに触れる事で故人への哀悼と敬意を捧げたい。


1)受け入れ難いその死

 2021年6月現在、仮面ライダーを演じた俳優の中で唯二人鬼籍に入っている山口豪久と荒木しげる氏の死は多くのライダーファンが受け入れたくない事実である。
 仮面ライダーが生誕から40年、50年の時を経るに従い、特撮関連の雑誌・書籍が充実し、歴代ライダーを演じた俳優達にスポットが当たる度に山口(及び荒木氏)の死は惜しまれ、人間の死と云うどうにもならない事象の前に切歯扼腕する。
 そしてその湧き上がる無念と、山口を死した存在と認めたくない気持ちこそが山口豪久がいかに偉大な俳優であったかを世に残した証と云えるのかも知れない。


2)女優・山口貴子

 1974(昭和50)年生まれの山口の長女は道場主より2年若い。小学校3年の正月に初めてライダーマン結城丈二としての父を特番で観た娘はアクションをもこなせる、ゆくゆくは父を上回る女優となるべく特訓中との事である。
 シルバータイタンは幾つかの作品に出演した事も確認しているが、今後の山口貴子さんの更なる活躍を期待する意味からも敢えて詳細には触れません。
 ヒーローを演じた俳優の子としては「ウルトラマン」でハヤタを演じた黒部進氏の娘・吉本多香美さんが有名だが、ライダー関係者では(少なくともシルバータイタンが知る限りでは)山口貴子さんのみで、黒部・吉本父娘の様にブラウン管上での共演は不可能だが、実際に共演が不可能な事を惜しむ声がもっともっと上がるような貴子さんの活躍を期待したいものである。


3)「仮面ライダーSPIRITS」における結城丈二

 もう二度と結城丈二が我々の前にリアルタイムで現れる事がないことが意識されてか、「仮面ライダーZX」のリメイク版とも云えるマガジンZ誌上にて連載中の「仮面ライダーSPIRITS」にてライダーマン結城丈二は独特の活躍を見せている。
 プルトンロケットともに消えたと思われていたのがタヒチに漂着し、そこで再生ヨロイ元帥を倒していた過去、TVでは未登場のマシンガンアームの登場、インターポールのデストロンハンターであるアンリエッタ・バーキンに追われた事から始まるインターポールとの積極的な接触にFBI特命捜査官滝和也(千葉治郎)と佐久間ケン(川島健)との橋渡しに努める結城丈二
 神敬介の切断された腕の整合手術を執刀し、バダンからの逃亡の為、自然治癒能力を低減させている村雨良の診察といった元デストロン科学者グループとして活躍した一面も遺憾なく発揮している。
 右腕のみの改造人間であるライダーマンの能力を不自然に強く描く事も泣く、さりとて他のライダーの足を引っ張るような弱き存在に描かず、科学者としての優れた能力の持ち主としての結城丈二の魅力を余す事無く描く村枝賢一氏には今後も多くのライダーマンファンが期待している事は云うまでもない。
 そしてそれは生前の山口豪久が如何にライダーマン結城丈二というキャラクターを演じ切っていたかの証でもあるのだ。


4)生き続けるライダーマン、甦る結城丈二、永遠の山口豪久

 かなりおこがましいのを承知の上で敢えて述べるなら、こうして私・シルバータイタンがライダーマン結城丈二こと山口豪久を甦らせ、今これを読んでいる貴方がその脳裏に彼を躍動させている。
 「時代が必要とするとき、仮面ライダーは甦る!」とは原作者・故石ノ森章太郎御大の言だが、仮面ライダー4号・ライダーマンにも当然の事ながら当てはまる事である。
 山口智之氏の御冥福を祈りつつ、ライダーマン結城丈二がこれからもライダーファンの中に生き続ける事で山口豪久が永遠の存在とならん事をここに祈念する次第である。



 尚、以下の文章は故山口豪久氏の二一回忌に寄せて菜根道場BBSにシルバータイタンが書き込んだ追悼文及び、それに対して来房者の方々が返してくれた追悼の声です。
 故山口氏への哀悼と敬意を込め、書き込んで下さった方々の同意を得て、御好意に感謝しつつ転載させて頂いています。
No.454 2006/04/06(木) 22:39:46
シルバータイタン
二一回忌
 今を遡る事20年前、昭和六一(1986)年の今日、仮面ライダー4号ことライダーマン結城丈二を演じた山口豪久(やまぐちたけひさ)、出演当時は山口暁(やまぐちさとる)、本名・山口智之(やまぐちともゆき)氏が不帰の客となりました。

 昨年10月に拙サイトに「孤高のライダーマン」をアップした事もあり、この日が来るに及んで改めて月日の流れの早さと残酷さが身に染みています。
 勿論いくら泣こうが叫ぼうが悔やもうが死んだ人と時は戻りません。ですが、二一回忌を迎えるにあたって、歳月の流れにも色褪せないライダーマン山口氏の雄姿を思い起こす事で故人への供養に代えさせて頂きたく存じます。

 山口智之氏の御霊に安らかなる眠りと、生前の雄姿の永遠ならん事と、残された妻子に幸福にその余光あらん事をお祈り申し上げます。

平成一八(2006)年四月六日 菜根道場道場主・菜根道人
特撮房・シルバータイタン



No.455 2006/04/08(土) 23:50:27
タウラス
 2日遅れですみません。
 山口さんの二一回忌、2日遅れになってしまってすみません。
 彼が亡くなったという事実は変わりませんが、彼がライダーマン結城丈二を初めとして多くの特撮作品に出演し、存在感のある役どころを演じたのもまた事実です。

 彼の安らかな眠りを祈りつつ、残された我々は彼の生前の勇姿を構成の人間に語り継いで行きたいと存じます。

No.456 2006/04/10(月) 16:44:49
なめどり
Re:二一回忌
 今年はいろいろ節目の年ですね。
 ボウケンジャーの後に歴代戦隊の紹介(10秒くらいですが)をやってますが、ライダーもそのうちやればいいなと思います。番組単位ではなくて1人ずつで。
 この機会に再評価されればいいですね。「ザボーガー」ちょっと見てみたいです (^_^;)



 人間の死はいつか必ず訪れるものです。そして人間は生きている内は満たされているものに対してそれが当り前故にその有難味に気付かず、失われて初めてその有難味を知り、痛惜する事も珍しくありません。
 結城丈二ライダーマン山口豪久を過去の存在として見る事は辛い事です。新たに見る事は永久にない事を認めるのは本当に辛いです。
 せめてその失われた存在への有難味と、痛惜を重んじ、重んじるが故に生前の偉業を称える事で彼が精一杯生きた証を伝える事で一助なりともその生き様に報い、その重さ故に御存命の仮面ライダー関係者に何時何時までも元気である事を祈りたくも思います。
 改めまして結城丈二ライダーマンを演じた山口豪久こと山口智之氏の御冥福をお祈り申し上げます。

 平成17年10月22日 道場主


前頁へ
特撮房へ戻る

令和三(2021)年五月一二日現在 最終更新