北海道苫前郡羆害事件(大正四年)

 このコーナーは大正時代の北海道開拓民と大自然の戦いの歴史である。
 直接戦ったのは一頭の巨羆だったが、ある意味、開拓民達の敵は大正初期の失政だったのかも知れない。
 ともあれ、大正初期に北海道の開拓の為に北海道の天塩国苫前郡苫前村大字力昼村三毛別御料農地六号新区画開拓部落六線沢(通称:六線沢。現:北海道苫前郡)に東北地方から入植した一五戸の開拓民達は大正四(1915)年一二月に民家に侵入した羆(ひぐま)のために多大な犠牲を出した。

 我が国での熊害(ツキノワグマ、ヒグマによる人身事故)史上で最も大きな被害を出したのがこの事件である。他のコーナーの戦史とはいささか赴きが異なるが、過去作品で何度か記述した様に、歴史を作ってきたのは一部の英雄・勇者だけではなく。その大半は名も無き一般民衆の尽力によるものであり、今日の成功も多くの犠牲が教訓となって成り立っていることを知って欲しくてこのコーナーを薩摩守は開設した。
 一〇〇年前の名も無き一般市民が未知の大地で生き残りをかけて必死に戦った歴史を鑑み、今この現在に生きていることの有り難さ、犠牲者への哀悼の気持ちを多少なりとも考えていただけることが、この惨劇に限らず、悠久の歴史の中で命を落としつつも現代への掛け橋となってくれた先達者への供養となると信じて以下の頁を進めていきたい。
開拓農家配置図
太田家襲撃
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令和三(2021)年四月一六日 最終更新