Case1.ハヤタtoイデ  依存心を叩き壊した殴打

折檻報告書No.1
作品『ウルトラマン』 第37話「ちいさな英雄」
折檻者ハヤタ
非折檻者イデ
折檻手段打擲
折檻目的猛省促進
虐待度2
効果8


背景 最終回を2週間後に控えた第37話冒頭、とあるデパートの来客がパニックに陥っていた。それは突如友好珍獣ピグモンが現れたからだった。
 ウルトラマンワールドに何十何百と登場する怪獣達の中で、通常成人の半分の身長もないピグモンは決して怖い存在ではなく、それどころか人間に極めて好意的な存在だった。だが、パンピーには充分怖い存在で、科学特捜隊の出動となった。

 ピグモンが突如現れれたのは酋長怪獣ジェロニモンによって甦らされたからであった。ジェロニモンには死んだ怪獣を甦らせる能力があり、それまでウルトラマンや科特隊によって倒された怪獣達を60体以上も甦らせ、一斉攻撃による復讐を目論んでいた。
 だが、その人選(?)には誤りがあり、ピグモンを甦らせたことがすべてをおじゃんにした。ピグモンはジェロニモンの計画を科特隊に報せたため、ムラマツキャップ(小林昭二)は科特隊隊員達を率いて大岩山に急行した。

 だが、その科特隊の中にあって、出撃前から一人の男が苦悩の渦中にいた。イデ隊員(二瓶正也)であった。この様なサイトを見て下さる様な方々には説明不要とは思うが、彼は武器開発のスペシャリストで、この第37話までに彼の開発した武器で何体もの怪獣や宇宙人が倒されていた。中にはスペシウム光線が効かなかった毒ガス怪獣ケムラーも含まれていたが、イデは戦績に満足していなかった。
 それどころか、多くはウルトラマンが怪獣を倒してしまい、自分達科特隊や、自分の開発する武器等必要ないのではないか?との想いにさえ捉われていた。

 そんなイデの深刻な悩みを聞かされたハヤタ(黒部進)は、上述のケムラー退治を含め、要所要所で科特隊が怪獣を倒したり、ウルトラマンの危機を救ったりして来たことを説き、イデに気に病まないよう諭したが、イデの悩みは思った以上に深刻なものだった。


折檻の瞬間 大岩山に到着した科特隊は、ムラマツキャップ、アラシ(石井伊吉)、フジ(桜井浩子)のトリプルショットで地底怪獣テレスドン(再生)を瞬殺する等の活躍をしたが、一方のイデは戦意喪失状態に陥り、彗星怪獣ドラコ(再生)を前に戦うどころか、ウルトラマンに早く来てくれと叫び出す始末だった。
 そんなイデの心中など知らんとばかりに襲い掛かるドラコ。そして、ドラコからイデを庇ったのはピグモンで、イデへの注意を逸らすかのようにドラコにまとわりついた結果、その張り手を食らったピグモンは致命傷を負った。

 即座に駆け付け、必死にその名を叫ぶハヤタだったが、ピグモンは静かに目を閉じ、息を引き取った。それを見て愕然とするイデハヤタは、イデ!ピグモンでさえ我々人類の平和の為に、命を投げ出して戦ってくれたんだぞ!科特隊の一員としてお前は恥ずかしいと思わんのか!」と一喝するや、彼を殴りつけたのだった。


意義と効果 犠牲になったピグモンには可哀想な話だったが、イデの戦意喪失は一時的な鬱の様なものだったし、何よりも彼と科学特捜隊の力は弱いものではなかった。
 恐らく、自信喪失から捨て鉢になっていただけで、本当に危なくなったり、ハヤタ殴られずともピグモンの犠牲を後悔したりすることで遅かれ早かれ戦意を取り戻したことだろう。

 だが、ハヤタ折檻は明らかにそれを早めた。

 「僕が間違っていた…くそ…っ!」 と後悔の言葉を口にしたイデは新兵器・スパーク8を抜くと一撃でドラコに体が崩壊・消滅するかのようなダメージを与えてこれを倒した。それを見届けたハヤタはウルトラマンに変身後、グロッキーに追いやったジェロニモンをリフトアップすると、自信を取り戻したイデを追認する様に、ジェロニモンへのとどめを促し、イデもそれに応えたのだった。

 すっかり自信を取り戻し、周囲から英雄と祭り上げられたことを喜ぶイデだったが、ピグモンの亡骸を抱きながら発せられた「英雄はここにもいる!」というハヤタの台詞に表情を曇らせた。
ハヤタの指した「英雄」とは勿論ピグモンのことで、さすがに自分が見せた一時の気の迷いの為に命を落としたピグモンに対してそれなりの罪悪感が有った様だった…………というか、何も感じてなかったら只の冷血漢だった訳だが、イデがそんな人物じゃないことは閲覧者の皆々様には周知のことだろう。

 この2週間後、最終回にてウルトラマンは宇宙恐竜ゼットンとの戦いに敗れ、ゼットンは岩本博士(平田昭彦)開発の無重力弾で倒され、それを見届けたイデは満面の笑顔で「我々の勝利だ!」と呟いた。
 一方、不覚を取ったウルトラマンは、駆け付けて来たゾフィーに対して、ハヤタを含む地球人の為に地球に留まりたいとしたが、ゾフィーは地球の平和は地球人自身の手で掴み取ることに意義があることを説き、説得に応じたウルトラマンとハヤタを分離し、二人して地球を去った。
 第37話のイデの苦悩と、折檻による覚醒が最終回への伏線になっていたというのは過言だろうか?


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令和八(2026)年八月八日 最終更新