Schüler Zahl ein カプセル怪獣 ウィンダム………ロボットにあらざる成長生物

Schüler Zahl ein:ウィンダム
弟子名ウィンダム
肩書カプセル怪獣
出身地M78星雲メタル星
長所頑丈さ、精神的従順さ
短所電子頭脳を攻められると弱い
登場作品『ウルトラセブン』各作品、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
経歴 『ウルトラセブン』第1話にてウルトラセブンよりも早く初登場。
 モロボシ・ダンの指示で、山間の谷に潜む宇宙狩人クール星人の基地を襲撃せんとして、迎撃に出た円盤2機を撃墜したが、別の円盤から放たれた合体光線を受けて倒れ、ダンによって回収された。
 続く出番は約半年後の第24話で、オーロラ怪人カナン星人のロケットを攻撃する為にダンに召喚されたが、電子頭脳に洗脳光線を受け、ダンを襲う始末。結局ダンセブンに変身し、洗脳を解かれ、再度の襲撃を命じられるも、やはりロケットから発せられた光線に為す術なくダウンした。
 同作最後の出番は第3クール最後の第39話で、分身宇宙人ガッツ星人と戦うよう命ぜられたが、星人のテレポート能力に翻弄された挙句、電子頭脳に宇宙船からの光線を受け、大爆発を起こした。
 これによって死亡したとの説もあったが、後の時代にウィンダムは再登場を果たしているので、カプセルに戻され、長期治療を施されたとみられる(『ウルトラセブン1999最終章6部作』でも、カプセルは重体に陥ったカザモリ隊員(山崎勝之)の治療にも使われた)。

 時代は平成に移り、ビデオシリーズの『ウルトラセブン1999最終章6部作』の第3話に32年振りの再登場を果たし、犯罪宇宙人レモジョ星系人を撃退したが、相手は二人とはいえ等身大で、役割としては威嚇に近かった。
 だが第6話では、オメガファイルを求めてウルトラ警備隊基地最奥部に向かったウルトラセブンに代わって、地球原人ノンマルト率いる守護神獣ザバンギに同じカプセル怪獣ミクラスと共に挑んだが、圧倒的なザバンギのパワーの前に蹴り倒されたところをストンピングのラッシュを喰らい、口から泡を吹いて失神KO負けした。

 そして10年後、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では極寒地獄と化した光の国に置いてウルトラセブンに変身出来なくなっていたモロボシ・ダンの指示で、宇宙大怪獣ベムスター再生怪獣サラマンドラ彗星怪獣ドラコの襲撃を受けるレイ(南翔太)を援護すべく同じカプセル怪獣仲間であるミクラスアギラとともに召喚され、初めての三体総攻撃を敢行。
 ウィンダム自身は敵方のサラマンドラとの一騎打ちとなり、上半身を回転させながら放つレーザーショットでサラマンドラを寄せ付けず、再生機能を持つ喉を焼き切った上で更なるショットを加えてこれに勝利した(初勝利!)。
 敵方の怪獣は、戦闘能力で云えばベムスターの方が強かったが、サラマンドラには肩書通り厄介な再生能力があり、これに勝つ為には段階を踏んだ攻撃が必要で、ウィンダム指示を受けずにこれを敢行した戦い振りは特筆に値する


分析 ウィンダムに限ったことではないが、ほんの10年前まで、「カプセル怪獣」と云えば、「咬ませ犬」、「役立たず」等の酷評ひどく、好意的に見ても「時間稼ぎ的存在」だった。
 少なくとも、『ウルトラセブン』における出番に関しては全く返す言葉が持てない。
カナン星人に洗脳を受けてウルトラセブンに牙剥いたのは仕方ないにしても、セブンとの追いかけっこで円を描く様に追いかける内に円からセブンが去っても追いかけ続け、同じ場所をぐるぐる回っていた姿は相当単純なプログラムで動くロボットにしか見えず、『ウルトラセブン1999最終章6部作』ザバンギに敗れた際に泡を吹くまでシルバータイタン自身、ウィンダムはロボットとしか思えなかった(勿論知識の上では生物であることを知っていたが)。
 また第39話では、ガッツ星人セブン史上屈指の強敵とはいえ、「お前など相手ではない!」と云われ、秒殺どころか瞬殺されていたから、カプセル怪獣の中で一番出番が多い分、一番惨めだったとすら云えた。

 また、『ウルトラマンレオ』や、『ウルトラセブン1999最終章6部作』を除く平成ウルトラセブンシリーズウィンダムを初めとするカプセル怪獣達が登場しないのも、端から「勝ち目無し」と断じられた可能性が高い、とシルバータイタンは考える。
 師や兄として、面と向かっては厳しいダンだが、心根は凄く優しい男である。教え子の一人・ウルトラマンレオに対して顕著だったが、「特訓して何とかなる。」と考えた相手と戦わせる際には、鬼コーチと化して殺人的な特訓を課すが、「教え子に勝ち目無し」と断じた戦場には基本的に立たせようとしない(詳細は「Schüler Zahl vier  L77星人 ウルトラマンレオ」にて後述)。
 贔屓目に見ても(少なくとも単体では)その戦闘能力がウルトラ兄弟に匹敵するとは思えないカプセル怪獣達がそう断じられたのも無理はなかったかな?


 ここまでは何かボロクソ書いてしまったが、シルバータイタンはウィンダム(及びカプセル怪獣)の能力並びに、存在、そして刻んできた歴史は決して軽くないと考えている。
 人気ではミクラスに一歩譲る様だが、メタリックな皮膚が持つ頑丈さと、遠隔攻撃が可能な点では他の二頭よりも使い勝手が良かった様で、登場回数は最も多く、クール星人の迎撃機を射ち落とすという「戦果」もあった。
 「相手を倒す」だけを「戦果」とするなら厳しい目で見ざるを得ないが、『ウルトラセブン1999最終章6部作』でも陽動作戦には貢献し、ザバンギセブンに割とあっさり倒されたのも、直前におけるミクラスとのタッグ攻撃に消耗していたと見れなくもなく、「それなりの貢献」は果たしている(←少し贔屓目かな?)。

 何より、人気は高く、ウルトラマニア達は長年、カプセル怪獣を「弱い!」と云いつつも初勝利を待ち続けた(笑)。それゆえ対ザバンギ戦でミクラスとのタッグだったにもかかわらず敗れたのには非常に落胆したが、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』サラマンドラに勝利したのには映画館内が喝采の坩堝と化した。はっきり云って、子供達よりも子供達を連れて来たオヤジどもの方が喜んでいた(笑)
 しかも前述した様に、合理的勝利で、そこには過程はどうあれ、ウィンダムが成長していたことが確かに感じ取れた。更に付け加えれば、この勝利は怪獣使いとして古代怪獣ゴモラを操るレイオニクス・バトラーのレイをして「凄い…。」と感嘆せしめるものだった。

 そしてこの様な過程や歴史には、「カプセル怪獣」が「ボケット・モンスター」と呼ばれる存在のベース的存在であったことと、逆にその影響を受けて、「カプセル怪獣の成長」という相乗効果を生んでいたと云えよう。

 殊にウィンダムは他の二頭に比して、半ロボット的な武装と精神的な落ち着きの面で優れている(対カナン星人では逆にその電子的な面を逆手に取られたが)。勿論ロボットではなくれっきとした生物なので、吠えもするし、感情を見せたこともある。その辺りの兼ね合いが今後も興味深い存在で、セブンとともに今後も客演して欲しい存在である。


今後への期待 さすがにカプセル怪獣がウルトラ兄弟を凌駕したり、単体で何十体もの怪獣を蹴散らしたりするのは期待出来ないし、そうあって欲しくもない。

 ウィンダムを初めとするカプセル怪獣達はあくまでもモロボシ・ダン=ウルトラセブンの補助として、ささやかな代理として、「1対1でそこそこ強い怪獣・円盤生物を破る」か、「カプセル怪獣三位一体攻撃時にリーダーとして1+1+1を5にも10にもして、複数の怪獣を打ち破る」という活躍を為し、そこに電子頭脳や武装の持ち主としてのささやかな成長を匂わせてくれれば云うことはない。

 うん、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』での快勝のイメージが余りにも強くて、それが求める基準になってしまうな(苦笑)。


Another Existance カプセル怪獣ウィンダムはM78星雲に属するメタル星出身の怪獣である。それゆえ、TVシリーズの前史を描いた漫画『ウルトラマンSTORY0』ではメタル星にてウィンダムの別個隊が複数登場した。

 また『ウルトラマンメビウス』ではCREW GUYSジャパンが持つ超絶科学技術・メテオール(過去においてウルトラマンを含む宇宙人が残した宇宙船や兵器、技術などをGUYS総本部の研究により手に入れたオーバーテクノロジーの総称)によって、マケット怪獣として「マケット怪獣ウィンダム」、「マケット怪獣ファイヤーウィンダム」という2種類のウィンダムが登場した。

 マケット怪獣とは、GUYS総本部に蓄積された過去の怪獣データから再現した存在。つまりは生物ではなく、大型分子マケットで、メテオールの規定により1分間しか使えなかった。
 つまり元祖ウィンダムとは完全に別個体で、エネルギー源や制限時間から云っても能力的にも異なる存在である。
 故に「マケット怪獣ウィンダム」がどの様な活躍をしても、それは厳密には「カプセル怪獣ウィンダム」の戦果ではない。だが、ベースとなったのは、『ウルトラセブン』において戦ったウィンダムのデータなので(平成ウルトラセブンシリーズは、『ウルトラマンメビウス』とはパラレル・ワールド)、「Another Existance」=「異なる存在」としても、ウィンダムの考察には大変参考になる。

 マケット怪獣ウィンダムは、マケット怪獣第2号として登場し、GUYSに使役されたが、遠距離からの攻撃が可能な面と、GUYSのどの隊員でも運用出来た(同じマケット怪獣でも1号のミクラスはアマガイ・コノミ(平田弥里)隊員にしか懐かなかった)面で優れ、劇中では主にクゼ・テッペイ隊員(内野謙太)が運用した。
一分間という制限時間の為、第11話の対宇宙斬鉄怪獣ディノゾールリバース戦では時間切れになったが、第14話では昆虫型甲殻怪獣インセクタス(雌)を相手に初勝利を収めた。
圧巻だったのは、第27話で、バーチャル空間におけるデータ上のこととはいえ、プロマケット怪獣ゼットンに追い詰められたウルトラマンメビウスに加勢して、ミクラス、メビウスとの連携攻撃でゼットンを戦闘不能にまで追い込んだことだろう。

 オリジナルではないとはいえ、ミクラスとのタッグとはいえ、あのゼットンウィンダムがボコボコにしていた姿は物凄く痛快だった!

 第24話では、新開発されたGUYSタフブックによってゼットン双頭怪獣パンドン円盤生物ブラックエンドといった火炎を操る怪獣のデータを付加されてファイヤーウィンダムにヴァージョン・アップ。
外観的にも、頭頂部が赤くなり、左腕に火炎弾を放つ銃口を獲得し、シミュレーション上でも百足怪獣ムカデンダー火山怪鳥バードンのホログラムを相手に善戦した。
実践でも、第31話で円盤生物ロベルガーに苦戦するメビウスを援護し、接近戦で互角以上に渡り合った後、火炎弾を連射。ガンブースター及びリュウのトライガーショットとの連携でメビウスの勝利に貢献した(ロベルガーはそのU世が負け知らずのウルトラマン80を苦戦させたほどの強敵)。
同時のこの時から、動きもかなり身軽になり、メタリックな体からは想像できないほど高度なジャンピングも見せた。
第46話では氷結宇宙人グローザムにMAXまで引き上げた火炎弾も通用しなかったが、これは暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人の四天王では「相手が悪かった。」としか云えないだろう。

 マケット怪獣としてのウィンダムの活躍を「カプセル怪獣ウィンダムとは関係無い!」と切り捨てるのは簡単だが、元祖のデータを基に再現された存在として、無視するのは適切ではない、とシルバータイタンは考える。

 残念ながらモロボシ・ダン、及びウルトラセブンウィンダムを鍛えたり、教導したりするシーンは画面上には描かれていないが、それでも長い歴史で見せた成長(少なくとも『ウルトラセブン』放映時のウィンダムではサラマンドラに勝てたとは思えない)や、マケット怪獣が見せた可能性を思えば、ダンウィンダムにもトレーナーと、教え子としての時間があったと思えるし、そう想像することは楽しいことでもある。


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令和三(2021)年六月一一日 最終更新