Schüler Zahl zwei カプセル怪獣 ミクラス………八面六臂の活躍に刮目

Schüler Zahl zwei:ミクラス
弟子名ミクラス
肩書カプセル怪獣
出身地M78星雲バッファロー星
長所怪力を利した突進力、腕力
短所電気、寒さ(←異議あり。詳細後述)、より好み
登場作品『ウルトラセブン』各作品、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
経歴 『ウルトラセブン』第3話にて初登場。
 ウルトラアイを変身宇宙人ピット星人に奪われたモロボシ・ダンが、宇宙怪獣エレキングを迎撃させる為に怪獣カプセルから出現させた。
 エレキングの尻尾を掴んで、ジャイアントスイングで投げ飛ばす怪力を披露したが、しっぽに絡め取られた状態で電気を浴びせられ、全身各所から炎を挙げたところでダンによってカプセルに戻された。
 再登場は約5ヶ月後の第25話で、ダンが雪中でウルトラアイを失くしたために(←今度は紛失かい!)、冷凍怪獣ガンダーへの迎撃の為に召喚された。口から赤い熱線を放って前回より善戦したが、ガンダーの飛行能力に翻弄されてグロッキー状態に陥った。
 その間にウルトラアイを探し出したダンウルトラセブンに変身。基地の原子炉を復興させたウルトラ警備隊とともにガンダーを倒し、直後にミクラスもカプセルに回収された。

 それから32年の時を経て、『ウルトラセブン1999最終章6部作』第6話(最終話)に再登場。オメガファイル開示を求めてウルトラ警備隊基地最奥部に突入するセブンに代わって、同じカプセル怪獣であるウィンダムと共に、ノンマルトの放ったザバンギへの迎撃に出た。
 しかしザバンギのパワーは圧倒的で、ウィンダムが倒されたのに次いでミクラスもまた角をへし折られて、目から光を失うや地面に突っ伏した。

 そして9年が経過した後、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場した(『ウルトラマンメビウス』に登場したミクラスは「Another existance」としています)。
 主人公のレイを始め、(善悪を問わず)レイオニクス・バトラーと呼ばれる怪獣使い達が活躍する世界において、第9話にて暗黒魔鎧装アーマードダークネスから解放されたウルトラセブンにより、自身の代わりとしてレイに託された。
 その後、レイがバトルナイザーに収納していたゴモラとともにされ手持ち怪獣となり、当初はガッツ星人(RB)率いる宇宙凶険怪獣ケルビム相手に火球や尻尾攻撃に曝されて逃げ出したが、レイの励ましで奮起した後は猛反撃し、尻尾を掴んでそのまま締め付け、最後は怪力を利した突進攻撃でケルビムを圧倒する強さを見せた。
 そしてその倒れたケルビムによって、ガッツ星人(RB)も押し潰されたのだった(初勝利!)。

 第11話では大量に出現した宇宙ロボットキングジョーブラック相手に、同じ例のパートナーであるゴモラリトラとともに戦った。
 最終話となる第13話ではゴモラとともに巨大アーマードメフィラスと戦い、単体では丸で相手にならなかったが、レイオニックバーストしたゴモラが勝利するのに貢献した。
 そして戦いが終わるとレイに別れを告げ、ペンドラゴンの救出に駆け付けたセブン=本来の主人のもとに帰された。

その翌年、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では極寒地獄と化した光の国に置いてウルトラセブンに変身出来なくなっていたモロボシ・ダンの指示で、ベムスターサラマンドラドラコの襲撃を受けるレイを援護すべく同じカプセル怪獣仲間であるウィンダムアギラとともに召喚され、初めての三体総攻撃を敢行。
ミクラスは敵方のベムスターとの一騎打ちとなり、怪力を駆使してベムスター相手に終始戦いを有利に進め、ダンの「とどめだ!」との指示を受けてドロップキックでベムスターを氷壁に叩きつけて倒した。

 個々の能力や戦績からも、この3対3の戦いにおいてミクラスは最も強い相手に快勝したと云っても過言ではない。


分析 M78星雲バッファロー星の出身が示す様に、その姿は直立した牛がベースで、体格に違わぬ怪力は決して他の怪獣達に負けていなかった。
 他のカプセル怪獣同様、長く戦績に恵まれず、「咬ませ犬」の役割が続いたが、殊、ミクラスに関しては、昭和時代には戦績だけを見てかなり不当に書かれ続けて来たように見える。
 何せ、エレキングの電撃を受けて昏倒する姿に当時から強いインパクトがあったので、かつて流行した怪獣カードや、怪獣本でミクラスの項目に「弱点:電気」、「弱点:寒さ」等と記載されたものが多く、幼少の頃の道場主は何度も「何で電気に弱い奴をエレキングと、寒さに弱い奴をガンダーと戦わせたんだ?セブン!」と激しく疑問に思ったものだった。
 「弱点」を見ればオバQに「土佐犬と戦え!」と云っているのと同じほどアホな選択にしか思えなかった

 だが、繰り返すが、これは戦績偏重による記載だろう。『ウルトラマンメビウス』に登場する、ミクラスのデータを素に再生されたマケット怪獣ミクラスは後にエレキミクラスとなって、電撃攻撃(更には電気体となっての透明化)さえ見せていたから、電力量や帯電のさせ方にもよるのだろうけれど「致命的に電気に弱い」とまでは思えない。
 また寒さに関してだが、『ウルトラマンSTORY0』で描かれたミクラスの故郷バッファロー星は酷寒の地と云って良く、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』における凍結した光の国での戦いぶりを見れば、寒さが悪影響を与えたとはとても思えない。
 いい加減、電気や寒さを「ミクラスの弱点」とする見解は正されるべきであろう。少なくとも酷寒状況においてはセブンよりも遥かに適応していた(笑)。

 思うに、ミクラスは潜在的にはカプセル怪獣はもとより、宇宙怪獣にも負けないぐらいの戦闘能力を秘めているが、それを引き出すのに環境や対人関係において左右される度合いが大きいのが弱点ではないだろうか?
 前述した様に、エレキングを一度はジャイアントスイングで投げ飛ばしているが、怪獣同士の戦いで投げ技はかなり困難であることを想えばミクラスの怪力は際立っている。馬鹿力が自慢のどくろ怪獣レッドキングだって、基本は岩投げで、怪獣を引っ掴んでの投げ飛ばしは少ない。逆にウルトラマンの一本背負い投げに轟沈していたのほどである。
 また惨敗したザバンギに対しても、ウィンダムがKOされた直後は怒りのハリケーンミキサー体当たりで弾き飛ばすのに成功している。
 このことから、ミクラスの怪力に関しては馬鹿にする者はいないと考える。

 実際、ミクラスはカプセル怪獣の中では一番人気があるように思われる。それは精神的に不安定な様に見えて、「考える力」、「克服する力」がある様にシルバータイタンには思われる。
 初登場時の対エレキング戦はただの殺し合いにしか見えなかったが、後々になる程、「倒す」というよりは「何を為すべきか?」と基づいた行動が見られる。
 対ガンダー戦では、あのまま戦い続けてガンダーに勝てたとは思えないが、「時間稼ぎ」(←余り良い表現ではないが)という意味においては、ダンがウルトラアイを見つけ、ウルトラ警備隊が原子炉を復旧させる(←スパナと電気ドリルで復旧出来たところが凄かった−笑)までの時間は充分に稼いだ。
 勝手な推測だが、「牽制になる」と思われたからこそ、普段カプセル怪獣達が劣勢になるとすぐにカプセルに戻していたダンが、このときは戦いが終わるまでミクラス放置したままカプセルに撤収させなかったと思われる。

 また『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』でレイに託されたのがミクラスだったのも、長年ともにいたセブンの元を離れ、地球でもM78星雲でもない環境で戦うにおいてその環境適応能力が見込まれたからではないか、と分析する。
 ケルビムとの戦いに怯んだのも一時のことで、環境に慣れるや、ゴモラとの共闘や、キングジョーブラック×多数をも相手にしていた。

 惜しむらくは、せっかく口から炎を吐く力を持ちながら、余り活かされていないことだろうか?恐らくこれは「遠隔攻撃」というものがウィンダムの役割となっているからと推測する。
 ミクラスの持ち味は猛牛然としたパワー攻撃で、長い時を経て見られたミクラスの成長も身体能力や肉弾技に磨きが掛っている。特に『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で見せた(魅せた)ベムスターへのドロップキックは、鈍重そうな外観を完全払拭する見事な動きで、特撮技術の向上もよくよく活かされていた。
 しかもベムスターは登場する度にウルトラ兄弟を苦しめ、帰ってきたウルトラマンやウルトラマンタロウも所詮時には手痛い惨敗を喫した強敵キャラクターである。腹部からあらゆるエネルギーを吸収する能力に目が行きがちだが、飛行を初めとする身体能力も屈指で、ミクラスはそんなベムスターを丸で問題にせず、一方的に圧倒し、勝利を収めたのである(確かにあの体格で体重の乗ったドロップキックを食らわされたら、かなりタフな怪獣でも大ダメージを受けそうではある)。
 この勝利を目撃していたのは、ハヤタ(黒部進)とヒビノ・ミライ(五十嵐隼士)とレイだけだったが、他のウルトラ兄弟なら、この時感嘆の声を漏らしたレイ以上に、諸手を挙げて絶賛していたのではあるまいか?(戦歴から云って、ジャックやタロウ辺りは特に)。

 前頁のウィンダム同様、モロボシ・ダンがカプセル怪獣を直接鍛えた描写は見られないが、実践にせよ、訓練にせよ、ミクラスが遂げた成長は驚嘆に値する。


今後への期待 くどいが、ベムスターを一方的に倒した」という快挙(怪挙?)が大きい。
 あのシーンを見れば、地球出身の怪獣の多くはバードンザバンギクラスでないとミクラスには敵わないのではないか?と思わされる。
 もはや、単純な戦力して充分期待出来ると云っても過言ではない。

 また戦闘能力以外でも、カプセル怪獣の中で一番表情や感情が豊かなことも見逃せない。まあ身も蓋もない云い方をすれば、比較対象であるウィンダムは「無表情」で、アギラは「いつも眠そう」ということになるのだが(苦笑)。
 些か乱暴な表現になるが、ロボットや恐竜がモチーフになっているウィンダムアギラに比べると、牛がモチーフになっているミクラスは「現実的に意味で身近」と云えなくもない。それゆえ制作陣も登場させ易いことだろう。
 実際、登場回数に置いて『ウルトラセブン』『ウルトラセブン1999最終章6部作』ではウィンダムに譲ることになるが、マケット怪獣まで含めてウルトラ作品全体でみるとダントツである。恐らく人気も一番あるだろう。

 特にミクラス『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』はでの活躍のイメージがあるので、他の怪獣とのコンビネーションに期待したいところである。
 つまり実例のあるカプセル怪獣仲間や、レイの操るゴモラとのタッグ、場合によってはセブンを初めとするウルトラ兄弟とのタッグもいいだろう(そういう意味では対ガンダー戦でセブンに加勢して欲しかった……)。
 勿論多彩な表情を織り交ぜて(笑)。


Another existence ウルトラシリーズの前史とも云える作品『ウルトラマンSTORY0』にはウルトラセブンミクラスの邂逅が描かれており、バッファロー星のバッファローが編にした存在で、住人達から守護神獣の如く崇められる存在でもあった(セブンミクラスを連れ去る代償に、星の人々にブーメランを与えた)。

 また前頁のウィンダム同様、『ウルトラマンメビウス』ではCREW GUYSジャパンのメテオールによって、ドキュメントUGに記録が残っているデータを基礎として「マケット怪獣」として再現された。
 活動制限時間は1分で、刷り込みで母親のような存在と認識したアマガイ・コノミにしか懐かず(同じマケット怪獣でもウィンダムは誰でも指示出来た)、性格的にも臆病であったため、GUYS隊員達に「弱そう」「不細工」と酷評されていたが、コノミの想いに応えて急成長を見せた(他の隊員や、ウルトラマンメビウスにも心を開く様になった)。

 初登場の第4話で、ケルビム相手に一度目は逃げたが、コノミの叱咤を受けた二度目で臆病を克服し、ケルビムの角を折り、メビウスが勝利するのに貢献。
 第8話では、GUYSの手で透明怪獣ネロンガ吸電怪獣エレドーダスの電気能力が付加され、放電攻撃と透明化能力を身に付けたエレキミクラス(←外見は変わらない)となり、第9話にて高次元捕食体ボガール相手に電撃ノックアウトで初勝利を収めた。
 残念ながら直後に変異体となったボガールには電撃が通じず、一方的に敗れたが、素のボガールが惑星アーブを滅ぼし、古代怪獣グドン地底怪獣ツインテールを立て続けに捕食する様なつわものであったことを見落としてはならない(←つまり、「より成長したボガールミクラスが敗れたのは仕方ない」という理屈)。

 第13話では、召喚したのがカザマ・マリナ(斉川あい)だったために、全力を発揮出来なかったのか、ムカデンダーと交戦するもののダメージを与えられなかった。
 だが、第27話ではバーチャル空間とはいえ、メビウス救援するためにウィンダムとともに駆け付け、あのゼットンを電撃でグロッキーに追い込んだ。そして様々な怪獣達がマケット対象として検討されたその場において、やはりミクラスウィンダムこそが人類の味方として最適な存在と再認識されたのだった。
 更に第28話でも円盤生物ノーバを、第36話でも土塊怪獣アングロスを相手に苦戦するメビウスの危機を救い、勝利するのに大きく貢献した。

 電撃能力・透明化能力はオリジナルのミクラスが持ち得ない能力だが、データ上とはいえ、付加が可能だったことは、ミクラスの更なるのびしろを暗示しているといえ、今後への期待を持たせてくれている。


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令和三(2021)年六月一一日 最終更新