続・竹とんぼ−青春のしっぽ−
作詞 荒木とよひさ 作曲 堀内孝雄 編曲 川村栄二
解説 べーやんの42thシングル曲にして、24thアルバム『青春(ゆめ)のしっぽ』の1曲目に収録されている平成一一(1999)年『はぐれ刑事純情派』Part12の主題歌。
前年に同番組の主題歌となった「竹とんぼ」の続編曲でもある。
歌詞の中には「竹とんぼ」という歌詞は出てこないが、「竹とんぼ」が過去を懐かしむ色合いが強いのに対して、この曲では+αとして過去に囚われない事への呼びかけ的要素が強い。
「悪さをしても 道からそれても 逃げだすなんて 決してなかった」というやんちゃでも勇敢な過去に対して直前の歌詞で「乾杯しようぜ 昔の俺に」と誇る一方で、「涙をこらえて 心の故郷 ふりむくけれど 帰れはしない」と過去が回帰不能であることを訴えてもいる。
そして主人公が「お前」 (多分、幼馴染みかそれに準ずる友達)に対して「男じゃないか」と叱咤している事から現状は過去に比して苦しい状態になるのだろう。
人間は弱いもので、そんな過去に執着して、現況を嘆きたくなるが、そんな傾向に慄然と立ち向かう所にこの詩のコアがある。
勿論それが集約されたのがラストの「俺も お前も 流れ星じゃない」という刹那的な一喜一憂の否定である。
主人公は決して過去を否定していない。それを懐かしみ、戻りたい気持ちもともに。だからこそ「青春のしっぽ」につかまりたがっているのだ。だか、過去は決して戻らず、現在は必ず去り、未来もまたいずれ現在となり、過去となる。
そんな様を「流れ星」に例え、それを否定し切る様は秀逸である。「俺もお前」も、その瞬間だけ綺麗で、その瞬間で終ってしまう「流れ星じゃない」という訳である。
「竜馬のよう」な「チャンバラごっこ」とはダンエモンにとってもかなり遠い過去になっている。戻りようのない過去を懐かしむ余り、それに執着して未来に進めないのは愚の骨頂だが、過去なくして現在も未来もないことを忘れて学ぶ姿勢を持たないのもまた愚かと云えよう。
堀内の間へ戻る 令和五(2023)年九月二一日 最終更新