15.キバットバットV世………そしてついに主役へ

登場『仮面ライダーキバ』全話
所属種族キバット族
人間体無し
死因
注目点シリーズ初の主役パートナー並びに体躯に似合わぬ膂力
概要 『仮面ライダーキバ』はモチーフに吸血鬼を採用し、随所に西洋ホラー要素を取り入れた作品である。
 人間に化け、人間の生命エネルギー(作中では「ライフエナジー」と呼称)を吸うモンスターであるファンガイア族が蔓延り、それは作中世界の20年前から始まっていた(それゆえ、同作の舞台は主人公・紅渡(瀬戸康史)が活躍する2008年と、主人公の父である紅音也(武田航平)が活躍した1986年を行き来していた)。

 謂わば、ファンガイア族は人間を食害する危険極まりない、共存すべからざる存在なのだが、登場した異種族はファンガイアだけではなかった。
 ウルフェン族、マーマン族、フランケン族などが登場し、劇場版や、名前のみの登場や、設定のみの存在まで上げればまだまだあるのだが、その中にキバット族があった。ちなみにキバット族はファンガイア族と同盟関係にあり、本来なら人類と敵対していてもおかしくなかったが、妙なプライドの高さから人類を見下したがゆえに戦闘関係に陥らず、内一体がひょんなことから紅渡と共闘することとなった。
 その一体こそが、キバット族の名門キバット家出身のキバットバットV世(声・杉田智和)であった。



コウモリらしさ コウモリというよりは、ヴァンパイアである。実際、仮面ライダーキバのモチーフとなったのはヴァンパイアで、本来、ヴァンパイアはコウモリと関係なかった。
 「ヴァンパイア=吸血コウモリの怪物」という図式が世の中に広く浸透しているのも、イギリス人作家ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』によるものである。同作にてヴァンパイアとなったドラキュラ伯爵は吸血コウモリに変身する能力を持つ訳だが、本来膨大な種類が存在するコウモリ科の殆んどは果実食か昆虫食で、他生物の血を摂取するチスイコウモリは南米産で、僅か3種しか存在しない。

 それゆえ、『吸血鬼ドラキュラ』以前のヴァンパイアは空を飛ばないものが大半で、世界各地に存在する伝説の吸血鬼は殆どがコウモリと関係がない(飛行能力を持っていたとしても、だ)。
 偏に『吸血鬼ドラキュラ』の怪奇小説界における世界的・歴史的ヒットがヴァンパイアをして、「コウモリの能力を持つべし。」との宿命(?)を強烈に植え付けたと云えよう。

 それゆえ、キバットバットV世を語るのに、「コウモリらしさ」は本来の筋から言えば外れており、本作の一角に挙げることに異を唱える閲覧者も少なくないと思う。ただ、そこはそこ、ドラキュラ以降に定着したヴァンパイアの一面とはいえ、「コウモリらしさ」を持つことに変わりはない。
 逆の云い方を云えば、直接戦闘に参加せず、機を見て飛来して噛み付きで対象者に多大な影響を与えた訳だから、その点はコウモリらしいと云える。前述の頁でも触れたが、チスイコウモリは吸血行動で狂犬病を初めとする細菌・ウィルスを媒介する存在でもある。仮面ライダーとしてのパワーアップの様な「多大な影響」に準えるのはちょっと(どころかかなり)強引な気がするが、行動・展開的には準拠すると考えている。



注目点 何と言っても、主人公と行動を共にした、の一言に尽きる。
 キバット族の名門、キバットバット家出身と云う肩書の割には、「よっしゃー、キバっていくぜー!」と云うフランクな口調の口癖が特徴的。

 紅渡の腕に噛み付くことで力を与え、渡を仮面ライダーキバに変身させるのが主な役回りで、掌サイズの体躯故直接攻撃に出ることは多くないが、爪の握力は500s、アゴの力は5tで、体当たりでファンガイアを怯ませたり突き転がしたりする等、戦闘力は高い。
 渡が幼い頃からの付き合いで、渡が内向的なこともあってやや過保護気味。
 知能面でも、巨大なモンスターを何体も使役し、音楽や絵画などの芸術に詳しく、やたら蘊蓄を披露したがる(冒頭での披露が多かった)。

 渡の保護者を自任している故か、どこか上から目線で小生意気でありながらコミカルな口調は20年の時代の行き来や、人類に仇為す魔族のもたらす暗い影を軽減させていた。
 実際、20年の長きに渡って人類の潜在的な脅威であった魔族の中にあって珍しく人間好き・世話好きで、経歴的に孤独だった渡にとってはパートナーである以上に、家族に等しかった。

 作中での活躍を事細かに記載すれば、『仮面ライダーキバ』そのものの解説になってしまうので割愛せざるを得ないが、『仮面ライダー』のコウモリ男に始まり、大半の作品に登場しながらその多くは強豪には程遠く、それでいて独特の存在感を細々と放ってきた。
 そんなコウモリ系改造人間も平成シリーズに入って厳密には改造人間ではなくなったが、このキバットバットV世が常に主役と共にある位置に就いたことで、長い歴史を経て様々な役割を網羅して来たコウモリ系改造人間(及び怪人)は他のモチーフ生物にはないステータスを得た様に思われる次第である。


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令和二(2020)年一一月一二日 最終更新