1.死神博士&地獄大使……初の大幹部邂逅

登場番組『仮面ライダー』第61話、『仮面ライダーV3』第27話・第28話
協力体制完全独立型
両者の友好度☆☆☆★★★★★★★
同時行動度★★★★★★★★★★
共闘度★★★★★★★★★★
改造人間紹介 死神博士(天本英世)と地獄大使(潮健児)はショッカーの大幹部で、両者の立場は対等である。
 死神博士は第40話にて初登場。設定によるとロシア人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ(日本国籍有り)で、人間であった頃の本名はイワン・タワノビッチ。
 母の死後、ポーランドのシモン教授の元で臓器移植の研究に没頭していたが、これが縁で(恐らくはナチスのポーランド侵攻後)にアウシュヴィッツで生体科学の研究員となった。  最愛の妹ナターシャが病弱なのを救う為に研究する人情家だったのだが、研究は妹の死に間に合わず、亡骸を冷凍保存して蘇生の道を求めていた探究心と愛情に皮肉にもショッカーの招聘という魔の手が伸びることとなった。
 『博士』の肩書きが示すように、マッド・サイエンティストとして尽力。その能力は「怪人づくりの天才」との異名取り、自身の戦闘能力・占星術・催眠術にも秀で、陣頭指揮を執る場にて必ず死人が出ることから『死神』の二つ名を得ることとなった。

 『新仮面ライダーSPIRITS』によると死神博士はヨーロッパ幹部時代に来日してゲルショッカーのにせライダー計画に先駆けて、仮面ライダー1号をスペック的に上回る6人の偽ライダーを生み出したが、皮肉にもその内の1人がショッカー最大の難敵の一人である仮面ライダー2号を生むこととなった。
 作戦失敗によりヨーロッパにてライダー1号と戦っていたが、初代日本支部幹部ゾル大佐(宮口二郎)の戦死を受けて二代目日本支部幹部に就任。しかし数々の作戦をライダー2号に打ち破られ、南米支部に左遷。
 その後第61話、第63話、第68話にて三度来日し、ヨーロッパ支部長時代以来の宿敵・仮面ライダー1号の首を取らんとしたがことごとく失敗。最後の登場・来日となった第68話にてイカデビルに変身してライダーキックすら受け付けない屈強さを見せつけたが、立花藤兵衛(小林昭二)の助言から弱点の頭部にライダーチョップを受け、最後はライダーきりもみシュートを受けて爆死した。

 地獄大使は第53話にて初登場。設定によると本名はダモン。アメリカ合衆国サンフランシスコのスラム街・バークランド=ストリートの出身で、ベトナムにてゲリラ戦に参戦。奇策と残忍さで敵味方に恐れられる。
 その後ガラガラヘビの研究家となり、北米西部の砂漠地帯で研究を続けていたが、数奇な人生をへて、幼少時から運命を共にしていた従兄弟・ガモンとともに影武者として新興国家のゲリラ軍の大佐に任命されて、革命を指揮する。
 だが、ダモンは激情家で行動派に対して、ガモンは冷徹な理知派だったこともあって、長年運命を供にしながら両者の中は極めて悪く、最終的にダモンはガモンの身代わりに銃撃を受けて死ぬところをショッカーに改造人間されて地獄大使となり、彼を見捨てたガモンは後にバダン暗闇大使(潮健児)となるのは周知の通りである。

 地獄大使として死神博士と並ぶ最高幹部となった後、世界各地に156の基地を建設し、毒殺や現場での陣頭指揮にかけてはゾル大佐死神博士に勝り、日本支部着任前は東南アジアで暗躍していた。手にした電磁鞭・アイアンクロー以外にも毒殺技術やシャーマニズムも駆使する多彩な戦術戦略を展開するも、冷静さと慎重さに欠ける欠点を持ち、ライダー1号2号の前にすべての作戦は失敗に終わり、首領(声:納谷悟朗)も彼を見限り、秘かにゲルショッカーを編成する始末だった。
 しかし地獄大使の忠誠心が揺らぐことは無く、組織を裏切った振りをして本郷猛(藤岡弘)を罠に嵌めようとして自らの身をギロチン台に架ける体の張り様を見せた。最後はガラガランダに変身してライダー1号ショッカーによる改造人間同士としては最後の一騎打ちを展開し、ライダーキックの前に敗れ、元の姿に戻ってリベンジ予告と「ショッカー軍団万歳!」の声を挙げ、壮絶に爆死した。


両者の邂逅 死神博士地獄大使が直に顔を合わせたのは第61話でのことである。南米支部に左遷されていた死神博士ナマズギラーを伴って来日した際に両者は対面した。
 日本に向かう途次、潜水艦内にて行川アイランド地下に基地を建設した地獄大使の着眼点を死神博士が褒めれば、握手を交わしながら「日本支部にとってまさに鬼に金棒」と云って死神博士の来訪を地獄大使は歓迎した。
 だが、ナマズギラーを「みやげもの」として引き渡した後、両者が行動を共にすることは無かった。しかしナマズギラーという改造人間を利用して仮面ライダー1号を暗殺するのは両者に共通した目的ながら、背景に見え隠れしたコンビネーションはかなりけったいなものだった。


コンビネーション考察 結論から云えば、死神博士地獄大使は互いを褒めているようで褒めていなかった。
 それは前述の褒め言葉にも表れていて、死神博士地獄大使の基地建設を褒めながら、潜水艦からの自衛隊機撃墜で基地の機密性を台無しにしているし、地獄大使死神博士の来訪を「鬼に金棒…」と云いながら「…と云いたいところだが、この地獄大使ひとりでは日本征服には力不足ということかな?」と嫌味をたれていた
 これで協力体制が成立するようだったらショッカーはとっくの昔に日本を征服していたことだろう。

 こんな調子が死神博士の改造したナマズギラーにも表れていて、ナマズギラーは怪人の分際で最高幹部の地獄大使にタメ口を叩いていた。
 この時、ナマズギラーは石倉五郎(三浦康晴)を捕えてきたのを殺そうとし、それを地獄大使に止められて激昂していのだが、一怪人の無礼を激情家である筈の彼が涼しい顔をして、「本郷猛をおびき寄せる人質だから殺してはいかん。」と至極丁寧に諭していたのを見ると、地獄大使の方でも死神博士が自分をどう見ているかは先刻承知だったようである。

 一方、地獄大使は五郎を、本郷猛を誘き寄せる人質として確保していたのだが、本郷と滝和也(千葉治郎)が立花藤兵衛からの通信で五郎が捕まったことを知ると、二人の頭上に現れた死神博士はその事実告げながら、「小僧の命が惜しければここから引き返すことだ。」と地獄大使の人質を利した誘引作戦をぶち壊すのだから恐れ入った
 そもそも本郷猛を暗殺する為に約二ヶ月ぶりに来日したのに、帰らせてどうするんだ?死神博士様よぉ!?

 この第61話の後、死神博士は二度来日したが、その時は地獄大使と全く絡まなかった。両者の為にも懸命だったと云えよう。ま、結局その作戦も失敗に終わり、死神博士はお亡くなりになった訳だが。

 後年、『仮面ライダーV3』の第27話にて両者がゾル大佐ブラック将軍(丹羽又三郎)とともに甦った際に、仮面ライダーV3打倒に関して地獄大使が「我ら悪魔の五大幹部が総掛りでやることではないぞ。」と云えば、「地獄大使の云う通りだ。儂の誇りが許さん。」と死神博士が同調し、ドクトルG (千波丈太郎)との共闘を半ば拒否していたが、もしかすると両者には第61話での自らの記憶から、悪の組織の大幹部同士が共闘することは困難と見ていたのかもしれない。


次頁へ
前頁へ戻る
冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和三(2021)年六月一〇日 最終更新